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中国Webサイト最前線Vol.1「モバイルオンリー」という考え方

作成者: タービン・インタラクティブ|2015年04月27日

凄まじい速度で経済発展を果たしている中国。
ビジネスシーンはもちろん、Web制作の事情も同じように目まぐるしく進化しています。
実は中国のそれは、欧米や日本とは似て非なるもの。
香港に生まれ、育った私がそうした中国の最先端Web事情をお話したいと思います。
中国への進出を図る企業担当者のご参考になれば幸いです。

「モバイルオンリー」という考え方

中国では日本人が当たり前としているWebサイトの常識やルールが通用しなかったり、反対にそれほど大事にされていないものが大きな価値を持っていたりします。

そのひとつがモバイルサイトの取り扱い方。 

現在日本でもワンソースでPCからスマホまで管理する「レスポンシブデザイン」という構築手法や、モバイルサイトでの使いやすさを優先する「モバイルファースト」という概念が広がりつつあります。

どれもモバイルサイトの重要性を物語っていますが、企業サイトを考える上では「PCサイト>モバイルサイト」という認識が一般的です。 

では中国ではどうなのでしょうか?

実のところ、「レスポンシブデザイン」や「モバイルファースト」のような概念自体が希薄です。

なぜなら、モバイルサイトとPCサイトに対する価値観が根本的に異なり、

「モバイルサイトはPCサイトの縮小版である」という考え方ではなく、 「モバイルサイトとPCサイトはまったく別物である」という考え方が強く根付いているのです。 

さらに、近年のスマホの普及によって、中国でのモバイル端末によるネットの利用人口が爆発的に増加し、PCでのネット利用人口を上回ってしまった1ことで、多くの企業はもはやPCサイトすら持たずに、モバイルサイトのみ提供するケースが多く見られるようになりました。

こうして中国ではモバイルサイトがメイン、PCサイトがオプション扱いとなり、次第に「モバイルオンリー」と呼ぶべき状態に移り変わっていったのです。

携帯番号=身分証明?!

とはいえ、どこの国でもスマホの普及によってモバイルネット利用人口は爆発的に増えているのでは?とお考えかもしれません。

実はここで肝心なのは人口の数よりも、中国でのモバイルの使い方と日常生活での位置づけなのです。

【こんなに違う?中国モバイル事情】

・ 中国での携帯番号は日本でいう免許証、アメリカでいうソーシャルセキュリティナンバー2と同様に重要なものです。したがって携帯電話、または中の SIMカードの紛失・盗難は、身分証明書と財布を同時になくしてしまうことと同義であると言えます。

・中国ではメールアドレスの浸透度が欧米や日本より低く、ほとんどのWebサービスは携帯番号がログインIDやパスワードリカバリーとして使われます。

・日本でもおなじみの「おサイフケータイ」は中国ではより広く利用されており、交通費からレストランの食事代や映画のチケット代まで、5000円以内の買い物であれば認証不要でモバイルをかざせば支払うことができます。

・統計によると、自動車普及率がアメリカは1000人/789台のところ、中国では1000人/91台。つまり、中国は公共交通機関の利用率が高いため、通勤通学中にモバイルでネットを閲覧する時間が多いことが伺えます。