突然ですが、御社ではブレスト、されていますか?
タービンでは、新しいプロジェクトをスタートさせる前には良くブレスト(ブレインストーミング)を行います。
ブレストは、ひとりでは絶対に出てこないアイデアを数多く得るための有効な手段である一方、「コツ」を知らないと単に無駄な会議になってしまうことも多いものです。
そこで今回は、実際に弊社でも取り入れている「ブレストを行う際のコツ」についてUXデザインチームの福井が紹介していきます。
“ブレインストーミングとは、アレックス・F・オズボーンによって考案された、集団でアイデアを出し合うことによって相互交錯の連鎖反応や発想の誘発を期待する技法である。
(Wikipedia参照)”
ブレストは、新しいプロジェクトを始める際などに、広くアイデアを集めるためにチームメンバーを集めて行います。
一つのテーマに沿ってアイデアを競うように出し合うことで、参加者同士の相互作用、つまり誰かが出したアイデアから新たなアイデアが誘発される効果を得ることができるのが最大のメリットです。
ブレストを行う上で注意したいことは、ブレストは「アイデアの相互作用、誘発を狙う場所」であって「情報を得る場所、議論する場所」ではないということです。(ここはよく混同されがちです)
そのためにブレスト中のルールを定めることが大変重要です。
まずは考案者のオズボーン氏による4つの原則をご紹介します。
いわゆる、「批判をしない」というルールです。
「批判をするとモチベーションが下がるから」ということもそうですが、
ブレストで一番重要なことは、アイデアの拡散ですので、
そこでそのアイデアが止まってしまうような、批評や結論付けを行うことは厳禁です。
人の出したアイデアにどうしてもひとこと物申したい場合は、批判ではなく、
便乗して、少し変えた別のアイデアを出すようにする心がけが重要です。
いいアイデアを出すことよりも、とにかく数多くのアイデアを出す事が重要です。
「今思いついたアイデアはダメだな・・」と自分自身で判断するのではなく、
とりあえず場に出してみて、そこから別のアイデアが派生することに期待しましょう。
アイデアが多いほど、別のアイデアに派生する可能性が上がっていきます。
面白い奇抜なアイデアを歓迎しましょう。
ムリにふざける必要はありませんが、頭に浮かんだアイデアは恥ずかしがらずにどんどん発表しましょう。
奇抜で突拍子もないアイデアが、ときに発想を広げる突破口になるものです。
他の人から出たアイデアを利用して、組み合わせたり、少し変えてみたり、「全てのアイデアに便乗して」みましょう。
一見同じようなアイデアでも、細部が異なればさらに別のアイデアにつながる可能性があります。
ここからは、タービンで実際にブレストを行う際のフローを、コツと合わせてご紹介します。タービンでは上記の4原則に加えて、いくつかのルールを追加しています。
参加人数は、少なすぎるとアイデアが十分拡散せず、多すぎると収拾がつかなくなるため、 3~5人位にしています。※メンバーは、ベテランと若手、営業と制作など、できるかぎりバラバラの職種で多様性を持たせるようにします。
特に、ベテランをいかにしてメンバーに組み込むかで、ブレストの質は大きく左右されます。
ただし、パワーバランスが偏りすぎると特に若手がリラックス出来ないので、突出して偉い人と立場の低い人は一緒には呼ばないなどの配慮も必要です。
あまり長いと集中力が途切れてしまうため、大体1時間位で収まるように会議時間を設定するようにしています。
半日以上前にお題をメールでメンバーに告知します。
<事前に共有すること>
- 何についてのアイデアが必要か
- 対象ターゲット(わかっていれば)
- 解決すべき課題(わかっていれば)
- あれば参考データなど
サイトのコンテンツ案のブレストの場合は、現行サイトと競合サイトは事前チェックしておくなど、 最低限の現状把握は各自で行っておきます。
タービンでは、最低3つはアイデアを事前に考えてきている状態からブレストをスタートするようにしています。
※共有する情報として、予算、納期などのこちら側の事情による制約はあまり具体的に明示しない方がいいでしょう。一見、実現不可能なアイデアでも、形を変えると企画につながるアイデアに発展する可能性があるからです!
ブレストに必要な備品を用意します。
- 模造紙 2枚~
- ふせん 正方形のポストイットがおすすめ
- ペン サインペンなど(ボールペンは見にくいので不可)
- シール 最後にお気に入りのアイデアを投票する際に使用
ファシリテーターから、本日のテーマとブレストルールを参加者に説明します。
※主に主催者がファシリテーターとなり、ブレストの進行を担当します。
※ファシリテーターは、ルールが守られているかのチェックや時間管理のほか、 出たアイデアをその場でグルーピングしていく役割を担います。
まずは事前に考えてきたアイデアを各自ふせんに書きだします。
あとで誰の発言かわからないよう、全員同じ色のふせんに同じペンで書いていきます。
ふせんに描くアイデアは、イラストやマンガで描いてもOKです。
1人づつ、アイデアを読み上げながら、ふせんを模造紙に貼っていきます。
この時に発表者のアイデアに反応して「こんな風にしても面白いね!」という話が出てくるなら、それも書き出します
※このように、自分の考えをアウトプットすることで、自分だけの意見が「その場の意見」となります。
他の人のアイデアを忘れないためにも、発言は必ずふせんに書いて皆が見える場所に貼りだすようにします。
新たに思いついたアイデア、他に誘発されたアイデアをどんどん発表し合います。
この時、ファシリテーターは書きだされたアイデアをリアルタイムでグルーピング(KJ法※1)しながら模造紙に貼っていきます。
※模造紙は1枚だとスペースが足りない場合が多いので、2枚つなげた方ががよいです。
※グルーピングにはある程度慣れが要求されます。 例えば美術館サイトのコンテンツ企画であれば、事前に「来館前、来館中、来館後」、などある程度軸を決めておき、 ふせんを貼る場所の大枠を決めておくとよいでしょう。
設定時間になったらアイデア出しを終了し、 各自気になったアイデアや、盛り上がったアイデアにシールを貼ります。(1人3票)
ここで多くのシールを集めたアイデアは「優良案」として優先的に企画への反映を検討します。
ふせんが貼りだされた模造紙を写真にとって関係者にメールで送って共有します。
グルーピングが十分出来ていない場合は、一度持ち帰った後でグルーピングしてから共有します。
↑意味的に近いアイデアをグルーピングし、グループを表すラベル(タイトル)をつけることで、アイデアの全体像を俯瞰して見ることができます。
これまでブレストにおけるルールをいくつか紹介してきましたが、 特に重視すべき点は下記の3つです。
特に、アイデアはリラックスしている時に最も出てきやすいということもあり、 【全員がリラックスした状態で参加できているかどうか】が一番重要なポイントですので主催者は雰囲気作りに気を配ってくださいね。