かつてフランスの哲学者:ジャン=ポール・サルトル(※1)はこう言いました。
「人間は自由であり、常に自分自身の選択によって行動すべきものである」と。
この言葉の背景にはサルトルが生きていた時代、特に1930~1940年代という時世がありますから、今現在とでは異なる意味を持っています。
彼らが生きたのは、「選択の自由」を禁圧された時代でした。
しかし現代を生きる私たちには、幸福なことにそれがあります。例えば「結婚」や「転職」というような人生における大きな分岐点から、或いはインターネットでちょっとした買い物をするというような小さな場面においてまで、様々な選択肢が用意されています。 しかしそれが逆説的に、時に私たちを苦しめることも事実です。
「何を選んでよいのかわからない・・」
そのような経験がみなさんにもないでしょうか。
例えばランチに何気なく入ったイタリアンの店で、パスタを選ぶとしましょう。ミートソースのパスタか、ホワイトソースのパスタか。
そもそも何気なく入った店ですから、パスタは食べたいなと思ったものの、ミートソースかホワイトソースかまでは全く考慮していませんでした。
差し出されたメニュー表を凝視する私の視界の片隅で、店員の若い女性がまだかまだかと待っている。その無言の抑圧に耐えかねて「じゃあ、ミートソースのパスタで」と、とりあえず注文をする。しばらくしてミートソースのパスタがテーブルに運ばれ、麺にフォークを絡ませたその刹那、微かに飛び散ったソースがシャツの袖先をちょんと滲ませて、そこでようやく私は自分自身の選択に誤りがあったことに気付く。
私が着ていたのは真っ白のワイシャツでした。
どうもこんにちは。タービン・インタラクティブ ディレクターの竹市です。
さて、いささか前置きが長くなってしまいましたが、このブログでは「パワーポイントの使い方」というテーマで、効率良く資料を作成するコツをご紹介していきます。前回は「フォントの初期設定」についてご紹介しました。
今回は第二弾として、色の選び方とその初期設定の方法について解説していきます。
パワーポイント(※2)を使って資料を作成する際、悩みどころのひとつは「使う色の選び方」ではないかと思います。
パワーポイントのカラーパレットに表示される数々の色の中から、どの色を選択するか。どの色を選択し組み合わせれば見た目の良いプレゼン資料に仕上がるか。
もしかしたら読者のみなさんの中には、Googleで「パワーポイント 色」などと検索をしてこのブログに辿り着いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。私も色の選び方にはいつも頭を悩ませています。
そうした私たちの悩みをいつも解決へと導いてくれる「Google検索」では、この「色の選び方」、「色の選択」というキーワードが、日々どれくらいの量で検索されているでしょうか。Googleトレンド(※3)によると「色 選択」というキーワードは、下記のような検索ボリュームとなっていることが判明しました。
このグラフを目の当たりにしたら、かのサルトルもきっと腰を抜かすことでしょう。
なんと、私たち現代人にとって「色の選択」の悩みは、「人生の選択」における悩みよりも深く、それはつまり「色の選択」が「人生の選択」よりも遥かに重要であることを示しているのです。
なんという悲劇でしょうか。「色の選択」が「人生の選択」よりも重要だなんて。
しかし、今この文章を書いている私にとって、気掛かりで仕方ないのはそんなことではありません。白いシャツの袖先に滲んだミートソースのシミです。ミートソースのシミなのです。果たして、このシミは洗濯をすればちゃんと落ちるのでしょうか。
ここでついでに「シミ 洗濯」の検索ボリュームも調べてみましょう。
なんと「人生 選択」と「シミ 洗濯」はほぼ同等の検索ボリュームではありませんか。これはもはや悲劇なのか、はたまた喜劇か、どう解釈してよいのかわかりません。しかし、もしもサルトルがこの結果を見たならば、きっとこう言うのではないでしょうか。「人生とは白いシャツに付着した一点のシミである」と。うむ、ここにひとつ新たな名言が誕生しましたね。
「人生とは白いシャツに付着した一点のシミである」
はて、私は何を書いているのでしょうか。本題に移りましょう。
パワーポイントを使って資料を作成する際、使う色の数は次の3つが基本とされています。
例えばこのタービンの「TURBO BLOG」に使われている色で考えると下記のようになるでしょうか。
使う色が多すぎると乱雑な印象になり、本当に伝えたいことがわかりにくくなってしまいます。資料の目的はあくまで読む相手に内容を伝えること。 色の選択は3色、多くても4色までに抑えることを心掛けましょう。
次に、その3〜4色を選ぶポイントを。
パワーポイントのカラーパレットの中から3〜4色を選ぶのもいいですが、あらかじめ登録されている色をそのまま使うより、自分自身で色を作成した方が、「より手の込んだ資料」になります。そうした小さな手間がライバルに差を付ける、ちょっとしたコツです。
ではここで、ライバルに差をつける資料を作成するにあたり、弊社デザイナーがオススメする季節感を演出する配色をご紹介しておきましょう。
では早速、スライドマスターを使って色を設定する方法をご紹介していきましょう。
このように各色を細かに設定することも可能です。
普段よく使う色はもちろん、自社のコーポレートカラーなども設定しておくと便利かもしれませんね。
では最後に、今回の設定内容を、次にパワーポイントを起動しても適用されるように、テンプレートとして保存します。
ファイルの種類をPowerPointテンプレートとすると、ファイルの保存先が自動で
「C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Microsoft\Templates」になりますが、これで問題ありません。
保存すると、次にパワーポイントを起動したときも、今回の設定内容が反映されるようになります。仕事でパワーポイントを使う機会が多い方には便利な設定ではないでしょうか。
今回は「パワーポイントを使って効率良く資料を作成するコツ」というテーマで「色の選び方と初期設定」の仕方をご紹介しました。色の選び方と初期設定の主なポイントは次の3つです。
こうすることで何かと時間がない中でも、効率良く資料を作成することができるのではないでしょうか。まだまだパワーポイントの使い方は奥が深いですが、ご参考になれば幸いです。
<注釈>
※1 フランスの哲学者・小説家・劇作家。1905年6月21日生まれ1980年4月15日没。主な著書に「存在と無」「嘔吐」など。
※2 この記事ではPowerPoint2010の使用を想定しています。
※3「Googleトレンドは、ある単語がGoogleでどれだけ検索されているかというトレンドをグラフで見ることができるツールです。