BtoB企業の海外進出が進む中、Webサイトにおいても何らかのグローバル対応を予定されている企業も多いのではないでしょうか。
これからは多言語化はもちろん、各国ごとに異なるユーザー傾向に合わせたきめ細かいWebマーケティング活動がますます重要になってきています。
今回は自社サイトのグローバル対応時にWeb担当者が知っておきたい点をまとめてみました。
「Webサイトのグローバル対応」と聞いて、まず思い浮かべるのは「多言語サイトの構築」であると思います。
既に多くの企業で英語・中国語をはじめ、関係する国や地域の言語に対応したサイトが運用されるようになってきています。
しかしほとんどの場合、日本語サイトの内容とデザインはそのままで、言語のみを変えるケースが多いのではないでしょうか。
実は、日本に独自のインターネット文化があるように、海外のインターネット文化も国によって大きく異なります。
既に多くの企業で英語・中国語をはじめ、関係する国や地域の言語に対応したサイトが運用されるようになってきています。
アルファベットは26文字+数字・記号で構成されているのでフォントデザインのバリエーションが豊富で、欧米の言語圏ではタイポグラフィ=フォントの選び方や取り扱い、レイアウトが日本に比べて非常に重視されます。またファイルサイズやコストがコンパクトなため、Webサーバー上にフォントファイルを置き、Webデザイナーの意図するフォントを表示できるようにした技術「Webフォント」の利用が進んでいるのも特徴です。
また日本を始め東アジアでは情報がぎっしりと並んだコンパクトなレイアウトが多いのとは対照的に、欧米では空白の効いたシンプルなWebデザインが好まれます。
さらに、色彩への配慮も重要です。
例えば同じ赤色でも欧米では情熱や愛、中東では危険や警告、また南米では白と組み合わせると宗教をあらわす・・というように意味が違ってきます。
以上のように国内向けのWebデザインをそのまま海外向けに流用することで、本来伝えたいメッセージが、海外ユーザーにはこちらにそのつもりがなくても間違って受け止められる可能性がある点を十分考慮し、デザインを検討することをお勧めします。
SEOが重要なのは日本と変わりませんが、各国で主に使われている検索エンジンシェアはかなり異なります。
Googleのシェアは全世界で高い傾向にあるものの、日本で「Yahoo! Japan」のシェアが一定数あるように、中国なら「百度 (Baidu)」、韓国なら「NAVER」、ロシアなら「Yandex」のように、ローカル検索エンジンのシェアが高い国もある点に留意しましょう。
Webサイトを閲覧する端末・OS・ブラウザなどの環境も国や地域によってかなり異なることから、ユーザーが見られなかったり、使えない機能がないような配慮が必要です。
例えば、日本企業内ではInternet Explorer (IE)が主流ですが海外ではGoogle ChromeやFirefoxなどIE以外のブラウザの使用比率が高い傾向にあります。
既に多言語サイトをお持ちの企業であれば、アクセス解析ツールでターゲットの国や地域での実際の閲覧ブラウザの比率を調べてみることをお勧めします。
その上で、自社のPCやブラウザだけで見た目や動作をチェックするのではなく、ターゲットの国や地域に合わせた環境で確認を行うようWeb制作会社にも依頼しましょう。
これを読んでいる方が海外、特に欧米地域をターゲットとされている企業であれば、「欧米においてはBtoB分野でもWebマーケティングが大変重視されている」ことを再認識する必要があります。
日本国内の同業他社がまだ手を付けていない施策も、海外企業では多くの場合先行して行われていると考えた方が良いでしょう。
一歩も二歩も先を行く海外の競合企業と同じ土俵に立つには、各国の状況に合わせたWebマーケティングへの取り組みが一層必要となります。
例えば、自社の事業に関するキーワードの検索順位はターゲットの国では何位でしょうか。
上位に表示されない場合は、自社の製品の性能がどれだけ良くてもビジネスチャンスを逃していることに他なりません。国内では良く知られた企業であってもそれは同じです。インターネットを舞台にしたグローバル競争はもう始まっているのです。
また、過去の記事「積極投資としてのツール導入の時代」でご紹介したマーケティングオートメーション(MA)も、アメリカのBtoB企業においてはかなり普及しており、データに基づく分析や営業アプローチの強化など実際のマーケティング活動で大きな成果を上げています。
今後グローバルな事業展開を進めていくにあたって、ことWebマーケティングの領域では国内よりも海外にこそ注力する時代になっていると言えるのではないでしょうか。