「マーケティング部門が苦労して創出した引き合いを、営業がフォローしてくれない」
「営業部門が訪問するにも、マーケのリストは確度が低すぎて使い物にならない」
それぞれが成果を求めて前向きに取り組むほど、部門間の戦いは激しくなり、やがてはそれぞれがあきらめムードに・・・
そんなストーリーは多くの会社でみられる光景なのかもしれません。
Webサイトを活用した様々なマーケティング施策が可能になったことで、リード(引き合い)の数が増えるのは喜ばしいことですが、その確度にもまた大きな幅が出てくるものです。
互いの見込顧客(リード)へのアプローチの違い、その構造的な課題を考える必要があります。
マーケティング部門の意見 | 営業部門の意見 |
---|---|
|
|
リード(見込み客)を創出するために、マーケティング部門は日々努力をしています。
Webサイトの更新や、SEO対策、広告の出稿、メールマガジンの配信やソーシャル対応など、さまざまなオンライン業務が存在し、新しい手法に対する研究もかかせません。
もちろん、展示会や業界紙への出稿、取引先ネットワークへのDMやプレスリリースの配信など、従来からある業務も減ってはいないでしょう。
以前に比べて、引き合い(リード)の状況がデータとなり可視可されたこともあって、マーケティングのレイヤーではより科学的なアプローチが浸透しています。努力によって獲得した大切なリードが、営業によって適切に案件化されフォローされていないと感じるマーケティング担当者は多いようです。
一方、営業サイドの活動内容もITによって進化し、より効率的により可視可されたかたちでお客様のフォローを行うスタイルが一般化してきました。
Salesforce CRMなどのSFAツールの活用はその転機になっています。従来Excelで個人や小チームで管理されていた案件は統一の顧客データベースに格納され、その対応状況を一覧できるよう求められるようになりました。従来であれば見落とされていたような確度の低いリードも、正しくフォローされているか管理されます。
タイミングを見極め、プライオリティを設定する営業にとって行動量の配分は重要ですが、既存顧客のフォローや営業部門がもつリードのフォローでいっぱいになってしまっては、確度の見込めない新規のリードに手が回らないのも無理はありません。
そこで、営業による商談化、その商談の成約率向上のためにはリードの創出だけではなく、確度をたかめるためのリードナーチャリング(育成)が重要なプロセスとなります。
リードをそのまま引き渡すのではなく、マーケ部門で適切な情報提供やスコアリングを行い、営業の活動を受け入れやすい状態(ホットな状態)になった引き合いリストを提供することが重要になっているのです。情報提供によって心理的な距離を短くする、いわば初期の営業活動のエッセンスをマーケティング活動の一環として自動化する取り組みとも言えるでしょう。
「顧客は商談の場で営業担当者に会うまでに57%の購買サイクルをすでに完了している」
という数字も発表されています。※CEB2012「The Challenger Sales」より
商談前の情報収集段階の重要度が増しているのは間違いありませんが、このフェーズの担当はマーケティング部門ということになります。「セルフサービス」で営業活動を代替してくれるリードに対してキャンペーンを組むためには、営業的な感覚が必須でしょう。
マーケティングと営業は切り分けられるべきではなく、それぞれが互いのフィールドのデータを参照しながら共に進む、新たなフォーメーションが求められています。
それを実現するのが、マーケティングオートメーション(MA)の仕組みとセールスフォースオートメーション(SFA)の接続です。営業部門がキャンペーンの状況を確認したり、マーケティング部門がリードの進行状況を把握することで、よりよいPDCAサイクルが回り始めるはずです。
マーケと営業をデータでつなぎ、それぞれが見込顧客の反応を感じながらビジネスを進められる時代。ベテラン営業マンと若手Web担当者がコンビを組んだら、最強チームをつくることができるでしょう。
「マーケティング vs 営業」の戦争に、終止符が打たれるときも近いのではないでしょうか?