新年度が始まり、企業が営業戦略を考える上でマーケティングオートメーションへの期待は高まる一方です。先日名古屋で行われた
株式会社マルケトのバイスプレジデント小関氏とタービン・インタラクティブ代表の志水によるマーケティングオートメーション対談第二回をお伝えします。WEBサイトの制作方法は二次元から三次元へ?
小関:
Web構築を手がけられているタービンさんにとって、マーケティングオートメーションの登場で制作の現場が変わることはあるのでしょうか。
志水:
はい。私たちの仕事の中で重要な要素のひとつがいわゆる「情報設計」と呼ばれる領域です。バラバラの情報を整理し、カテゴリーに分けて構造化することでユーザビリティを向上させたり検索エンジンに最適化することを緻密にやっています。 いままでこれらの情報構造はスタティック(静的)で平面的でした。
志水:
しかしマーケティングオートメーションは、ユーザー一人ひとりの状態に合わせて自動的に出すメッセージを変えることができます。それを前提にWebサイトを作るということは、今までとまったくアプローチが違ってくるわけです。
小関:
ユーザーがどういった人でWEBサイトに何を求めているかによって情報構造だったり、見せ方が大きく変わっていくわけですね。
志水:
はい。「誰に対しても同じ」の平面的な発想ではもはや意味をなさない。これからは様々なユーザーの動きを視野に入れた、いわば二次元から三次元への発想の転換が必要なんじゃないかと思います。
極論すれば百人いれば百通りの見せ方を想定しておく必要があるということです。 トップページも今まで決まったものを見せていたのが、過去に資料をダウンロードしてくれたユーザーにはこのメッセージ、初めての人にはこれ、というようにデータを参照しリアルタイムで自動的に出すページが変わっていく。
小関:
そうですね。
志水:
つまり制作の現場とデータがつながっていくわけです。 マーケティングオートメーションでは営業とマーケティングがより緊密につながっていくという点において革新的ですが、クリエイティブ業界もその変化を受けることは必至です。
今のところ制作側の視点でマーケティングオートメーションを語っている人はまだあまりいないようですが、これは極めて大きな変化だと考えています。
WEBクリエイティブもデータドリブンに変化していく
小関:
今のお話を聞いて、以前私どものお客様からトラッキングが出来る前提のサイトの作り方について伺い、大変面白かったことを思い出しました。
そのサイトではクリックすると同じコンテンツに遷移するバナーを違うデザインで2種類作り、わざと近いところに置いてるんです。
1つは明らかにサービスに対する興味が強いユーザー向けのデザインとメッセージで、もう1つはそれほど興味がないユーザー向けのデザインとメッセージ。
ユーザーが選べる状態で並べることで、クリック先のページは同じなんだけれども興味の度合をスコアリング出来るんですね。
「何ページぐらい見たか」とか「このページを見たか」と言うスコアリングだと、結果として起きたことしかわからないんですが、トラッキングできるサイトになっているとどちらのバナーを選んだかもスコアリングできる。
そのご担当者は「選んでもらう状態にしてデータをとることが重要だ」と仰っていました。
この方法は、WEBの作り方としては正しくないかもしれないし、構造化もされていないかもしれない。しかしユーザーの要望度合いを判別したいというマーケティング観点からするとしっかりと機能しているわけです。
なるほどこんなこともやれてしまうんだな、と驚きましたね。
志水:
それはかなり思いきったやり方ですね。
ユーザビリティ的にどうかという議論もあると思いますが・・。
いずれにせよマーケティングオートメーションでWEBサイト制作の考え方がデータドリブンに地盤から変化していく、大きな転換期だと思っています。
今まで属人的で感覚的だったクリエイティブがより目的思考型になるわけで、実は当社のクリエイティブチームも「結果にコミットすること」に対して非常に自覚的です。
小関:
なるほど。クリエイティブの領域も大きく変わるということですね。
大変勉強になりました。