インバウンドマーケティングの要となるブログの執筆。皆さんはどうされていますか?
社内の営業やマーケティング担当者に依頼するのはもちろん、社外のライターに発注する会社も多いと思います。その際に最も重要なことは「一定の質を保ちながら、見込み客を集客できるブログにすること」です。
今回は、ブログの内製と外注のメリット・デメリットを比較し、効果の出るブログ作成のためのよりよいチーム作りについて考えていきたいと思います。
ブログ執筆の方法としてまず手っ取り早いのが、社内の担当者に依頼することです。しかしこの方法、社内マーケティングチームの意図する記事を増やせる一方で、メンバーが忙しい業務の片手間で行うわけですから高い確率で遅滞しがちでもあります。
そこで以下にブログを社内で行うメリット、デメリットをまとめてみました。
当たり前のことですが社内を良く知る担当者がブログを書くことで、質のよい記事が手に入ります。書籍やWikipediaを検索してまとめたような表面的な内容ではなく、プロとしての経験や知見が反映された、専門性の高い記事にできるからです。
特にBtoB企業においてはブログを読むユーザーもその領域のプロであることが多いことから、やはり基本は社内で書くというのが望ましい形といえます。
ブログ記事を社内の担当者自身が書いていると、「このオウンドメディアもしくは自社サイトを自分が作り、自分が運営している」という当事者意識が自然に生まれてくるものです。
近い将来、仮に外部発注することが決まっている場合でも、最初だけは社内で行ってみるのがお勧めです。ブログ記事を書く難しさや大変さを身体で理解していると、発注するライターの気持ちが分かるので社内でディレクションしやすくなるからです。
ブログ記事の執筆を思いきって社内の若手に任せてみるのはどうでしょう。実は、ブログは大変教育効果が高いことが分かっています。自社商品や業界事情に関する知識を大量にインプットしなければブログを書けませんし、読む人にどう伝えるかを考えることで知識が整理されるのです。マーケティングにしろ営業にしろ、クライアントやパートナーとコミュニケーションを取るためには商品知識が必要不可欠です。インプットだけの教育だと、若手の成長が早まりません。ぜひ、アウトプット型の教育として記事作成のタスクを若手にアサインしましょう。
一方で、デメリットもあります。
既存業務に加えてブログ執筆もこなすとなると、かなり業務過多になると思われます。文章を書くのに慣れていないうちは、1本書くのに丸一日費やすことも珍しくはないはずです。単位時間あたりの生産性の観点からは、残念ながら得策とは言えません。
文章を書くこと自体は誰にでもできることですが、実際に書いてみると事前に想定していたレベルをクリアするのが意外に難しいものです。特にBtoBのビジネスでは、自社商品や業界特有の情報などを、知識のない訪問者に対してもかみ砕いて説明し、分かりやすく伝わる文章を書かなければいけないからです。
質の低い記事を投稿するのは、むしろ企業にとってはマイナスに作用することもあることから注意が必要です。
企業ブログの場合、特定のキーワードからの流入を高めるためのSEO対策も重要です。検索エンジンに最適化された(SEOを意識した)文章を書くのは、ただ日記のような文章を書くよりも高い技術を必要とする作業と言えます。読みやすく、しかも検索順位を意識した文章を書くには一定レベルの経験と知識が必要です。
ここまでは社内で記事を書くメリット、デメリットを考えてきましたがやはり社内では余裕がないので、クラウドソーシングやエージェンシー経由で外部ライターに発注することを考えるケースも出てくるはずです。
そこで次は、ブログ執筆を外注するメリットとデメリットについてご説明します。
社外のリソースを活用して記事を増やせるので、社内のメンバーはコア業務に注力できます。記事の企画・ディレクション、マーケティング効果の分析・PDCA、インバウンドマーケティングの戦略検討など、より「上流」の工程に集中できるのは外注の大きなメリットです。
ライターの能力次第にはなりますが、自社の商品やサービスについての一見難しい内容を分かりやすくかみ砕き、読みやすい文章にしてくれるライターも一定数存在します。そうしたライターに出会うことができ、適切にディレクションできれば、検索順位が上がりやすく、SNSでの拡散も期待できる良記事を手にすることができます。しかし、ご存知のようにライターの質は非常に幅広いので十分注意が必要です。
ライターを複数雇うことで、記事を量産できます。検索順位を挙げるためには、ある程度の文字数を持つ記事が一定量必要になります。社内ですべて書くのは大変ですが、社外ライターであれば50記事や100記事を1~2カ月程度でそろえることも可能です。スピードを持って一気にサービスを立ち上げたり、ブランド認知を高めたい場合には非常に有効です。
一方、外注にも課題はあります。
クラウドソーシングの登場によって、ライターの数をそろえるだけなら容易になりました。しかし、クラウドソーシングのライターは玉石混交で、なかなか質の点で満足できるライターは多くはありません。
そこでどうすればいいか?後ほど、この質を担保する方法についてもご説明します。
よいライターを集めたいのであれば、それなりの予算を費やす必要があります。仮に記事単価5000円で200記事を作るとしたら、ライターに支払うコストだけで100万円になってしまいます。上層部に理解がないと、予算の獲得がボトルネックになってコンテンツ作成が進まないケースも出てきます。いくら安いからといっても一定レベル以下の記事は会社のブランドを落としかねません。
執筆を依頼しさえすれば、あとはライターに全て任せてOKというわけではありません。そもそもターゲットは誰か、目的は何か、そのためにどういった記事が必要かなどを明確にした上でライターに対して適切な指示をしなければいけませんし、さらに上がってきた記事の内容に問題はないか、修正・編集する必要があります。
キーワードやタイトル、記事の方向性、商品知識など、ライターに必要事項を事前に説明するとともに、誤字・脱字や文章の流れなど、じっくり中身を読んで編集する手間はやはりかかるのです。
ここまで見てきたように、社内で記事を執筆するのも、外注するのもそれぞれ一長一短があります。しかし、共通して必要になのは、「インバウンドマーケティングのためのチーム作り」です。担当者一人の個人プレーになってしまったら、集客(見込み客獲得)の成果は期待できません。
具体的には、以下のような役割の人たちでチームを作ることが必要です。
・編集長(編集者)
・ライター
・データ分析
・クリエイティブ担当
・SNS担当
イラストや写真撮影が必要ないのであれば、クリエイティブ担当を置かなくてもよいでしょう。また、SNSで拡散する必要もないのなら、SNSのアカウント担当を置く必要もないでしょう。兼任も多いに考えられます。
しかし、編集長(編集者)・ライター・データ分析機能は必須です。特に記事のプランニングやチェックなどの編集作業、また記事をアップした後のアクセス数や流入元などの分析は社内の担当者が行う必要があります。
ここで避けるべきは、「ライターに記事をただ書いてもらう」だけに終わってしまうことです。データ分析を元にしたPDCAのないインバウンドマーケティングは、土ならしや水まきをせずに植物を育てるようなものです。種だけまいても、花を咲かせる可能性は低いのです。
現実的に考えると、集客のために機能させるにはある程度まとまった数の記事が必要です。それだけの記事を執筆するには、社内のリソースだけでは足りません。外注して、外部のライターに任せる部分が必然的に出てきます。
そこで問題になるのが、前述の通り記事の質を一定に維持すること。質の悪いジャンクな記事を増やしても、むしろ逆効果です。そこで外注記事の質を担保するために、「ライター選び」「ディレクション」「記事のチェック」の三つが不可欠です。
いいライター選びや記事執筆ディレクション、編集のノウハウが社内にないのであれば、マーケティングエージェンシーにお任せするのがやはり安心です。自社で依頼したい要件を共有すれば、成果に向けて具体的に動いてくれるでしょう。最近では「クラウドワークス」や「ランサーズ」などのクラウドソーシングでライターを集めやすくなりましたが、これも玉石混合で管理が煩雑になりがちです。
読者のペルソナ、ブログの方向性、トーン&マナー、目的・目標、狙う検索キーワードなどを最初にライターと共有する必要があります。特に、複数のライターに記事執筆を依頼する場合は、記事の統一性を保つためにもマニュアル的な資料を用意するとよいでしょう。
上がってきた記事を、編集者がしっかりチェックすることも欠かせません。ライターと言っても誤字や脱字がありますし、商品知識の間違いや情報の薄い点などが見られるものです。社内の人間しか知らないことは必ずチェックすることで、より質を高めることができます。「文章を書くプロ」だからと言って遠慮する必要はありません。