展示会はBtoBマーケティングの最もポピュラーな施策の1つです。同じテーマのもとで多数の関連企業が一堂に会するため、参加者は効率的に情報収集をおこない、出展する企業にとっても多くの新規リードを獲得できる格好のチャンスといえます。顔を合わせて直接PRできるのも電話やオンラインとは異なる展示会ならではの強みでしょう。
しかし、毎年のように出展しているのに「今ひとつ展示会の効果を実感できない」「成果が出ているかよく分からない」という状態に陥っていませんか。今回は展示会で成果を得るポイントと、効果を測る具体的な計測方法についてご紹介します。
そもそも何を目的に出展するのか、目標設定は明確になっているでしょうか。目指すゴールが明確であれば達成に向けて準備をスムーズに進められ、展示会の成果も測りやすくなります。まずは出展の目的を整理しましょう。一般的に展示会で期待できる成果は、認知度向上のための「自社ブランディング」と、将来的な受注につながる「新規リードの獲得」の大きく2つです。
展示会は開催テーマに関心のある関係者が集まるため、自社の製品・サービスの認知度を効率よく向上できる場です。すでに製品がある程度知られている場合もブースのつくり込みや配布物、看板などの工夫によって、より鮮明なブランディングができます。
展示会は将来的に受注につながる新規リードや案件を獲得できる場でもあります。実際、この新規リードの獲得をメインの出展目的に設定している企業がほとんどでしょう。
参加者と顔を合わせて話ができるため、製品・サービスをダイレクトにPRできるのはもちろん、相手の反応を見たり情報を引き出すことができるのも重要なポイントです。参加者はテーマに関心があって会場を訪れます。良い取引先が見つかればすぐにでも商談を始めたい人もいれば、まだ最初の情報収集の段階にいる人まで様々です。そうした相手の状況や潜在的なニーズ、課題などを会話を通して得ることで、その後のアプローチをより効果的におこなえ、ひいては受注につなげることができます。
出展の成果はどのような方法で測定できるのでしょうか。目的に応じて以下のような効果測定方法があげられます。
製品・サービスの認知は、自社ブースを訪れた来場者数を指標に用いるのが一般的です。加えて会場で配布するパンフレットやフライヤー、ノベルティなどの数も管理し、それぞれ配布できた数を計測しましょう。さらに、「製品を知らなかった人にどれくらい認知されたか」「ブランドイメージをどの程度確立できたか」といった数値で計測しづらいものはアンケート調査などが有効です。
展示会の成果指標として非常によく用いられるのが名刺の獲得数です。自社ブースを訪れる人は製品やサービスに興味を持ってくれた見込みリードであり、その際に獲得した名刺の数は見込みリード獲得数の指標になり得ます。
ただし、獲得した名刺の全てを同等にカウントはできません。まず、視察目的の競合他社や既存の関係者などリードになり得ない人は除外します。次に、見込みリードの質に目を向けましょう。関心度があまりに低かったり、決定権を持たない人の名刺を大量に獲得しても、その後の受注にはなかなかつながりません。あらかじめ獲得すべきリード像を社内でかためておき、例えば役職者は2点、役職のない人は1点などスコアリングのルールを決めておくことで意味のある数字を算出することができます。
商談の獲得数は納得度の高い非常に有効な成果指標です。そこで事前に決めておきたいのが商談の定義です。どこまで話が進めば商談といえるのか、接客やアポイントも商談としてカウントするのか、今後良好な展開が見込めるパートナー候補の発掘まで含むのか。社内の関係者で認識をかためて共有しておきましょう。
展示会をきっかけに受注に至った成約数を成果の指標に用いるケースもあります。この場合、決めておきたいのはカウントする項目です。成約に至った「案件の数」なのか、全体の「受注額」とするのか、目標に沿って基準を決めましょう。
また、BtoB取引の場合は展示会から受注に至るまで1年以上の期間を要するケースも想定されます。検証をおこなうタイミングを短期、中期、長期などで区切るといいでしょう。
当然ですが展示会の出展にはコストがかかります。かけた費用に対して見合った成果が得られたのか、社内の経営層が特に気にする指標が費用対効果(ROI)ではないでしょうか。
費用対効果(ROI)は「利益・効果÷展示会の総費用」で算出できます。計算式の除数(割る数)と被除数(割られる数)に当てはめる内容を見ていきましょう。
「展示会の総費用」は、文字通り展示会の出展にかけた費用の合計額です。主催者に支払った出展費をはじめ、ブースの設営費、ブース内の掲示物、配布したノベルティやパンフレットなどの制作費、必要に応じて運営に関わったメンバーの人件費などを全て洗い出して算出します。
出展の最終目的は製品・サービスの受注なので「利益・効果」には成約に至った受注金額(または件数)を当てはめるのが分かりやすい指標といえます。しかし、展示会後すぐに受注に至るケースは稀です。ほとんどの場合、長い時間がかかるので指標の算出もすぐには計算できません。
そこで、代わりによく用いられるのがリード数です。ブースの来場者数、アポイントの数、商談に至ったリードの数など、自社の目的に沿った「有効リード数の基準」を決めて利益・効果にあてはめて指標にしましょう。
展示会の効果は、出展後の成果振り返りや次回出展の検討に用います。「新規リード獲得の数」や「リード獲得コスト」など、出展目的に対して、何で成果判断するべきか、社内で事前に認識を合わせておくことも大切です。
また、その後の成約数などから、展示会出展がそもそも有効なのか、改善点はあるかなど、他チャネルの施策とも比較して予算やマーケティング戦略に反映していきましょう。
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展示会参加者の多くは「情報収集」層といわれています。目当ての製品・サービスがなく来場しているということは、言い換えれば、その場で関心を引かれたブースに足を止めているということです。
もし自社ブースに人が集まらないのなら、原因は製品やサービスそのものではなく、ブースの設計にあるのかも知れません。製品を実直に説明することはとても大切ですが、まずは足を止めてもらわなければ何も始まりません。たくさんの人に立ち寄ってもらえるブースづくりにも目を向けてみましょう。
出展のたびに多数の名刺を獲得しているのに、肝心の案件化や受注につながらない。そういう場合は、展示会での対応や事後のフォローを見直してみましょう。
相手の情報や課題を引き出し、獲得した名刺を適切にセグメントできているでしょうか。それに基づいたフォローを行い、情報をアップデートしながらナーチャリングしていけば必ず成果に結びつくはずです。
展示会は当日だけでなく、出展の事前・事後の準備とフォローで成果に大きな差が出ます。成果を伸ばす5つのポイントは次の通りです。
先ほど費用対効果(ROI)の算出方法をご紹介しましたが、展示会のROIを厳密に定義することは実際、非常に難しいものです。しかし、成果が測りにくいからといって出展自体が目的になったり、上層部への報告用に意味のない数字を算出していては真の成果を上げることはますます難しくなります。
展示会を価値あるものにするには、まず明確な目的とターゲットの設定が必須です。何をもって成果とするのか、期待する利益や効果の目標値を設定し、それを社内でしっかり共有しましょう。目標が明確であればターゲット像も定まり、ブース設計や付随するコンテンツにもブレがなくなります。たとえ設定した目標を達成できなかったとしても何が足りなかったのか振り返りがしやすく、次の成功に向けて施策のブラッシュアップができるのです。
展示会の参加者の多くは情報収集に訪れたライト層です。まだ製品・サービスへの関心が低い彼らがつい足を止めてしまうようなブースをデザインしましょう。例えば、ブース内をテーマカラーで統一する、印象的なキャッチコピーをパネルで展示する、目を引く動画を流すなど視覚的なデザインが効果的です。ノベルティを配布したり、ブース内で簡易セミナーを開催する手もあります。人が集まっている他社ブースから集客アイデアを参考にするのもおすすめです。
展示会の開催前に、自社ブースの来場者を増やす工夫はおこなっているでしょうか。自主的に訪れた初対面の参加者を新規獲得することも大切ですが、自社のハウスリストを使って自社ブースに来てもらえるよう事前に参加を呼びかける手もあります。
連絡が途絶えているリードがいるなら展示会は再接触をはかるチャンス。企画内容や出展ブースの位置などをメールで案内しましょう。この機会にアプローチしたいリードには無料招待券を配布するなど特別感を演出するのも上手な手法です。
展示会で名刺を獲得した相手には必ずお礼メールを送りましょう。名刺交換をした翌日などなるべく早く送るのが理想的です。素早い対応をすることで相手の記憶に残りやすく、誠実さも伝わります。
しかし、せっかくメールもどこからかコピペしたような文章では印象に残りません。相手の元には競合他社からも同様のお礼メールが複数来ているはずです。ブースで話した内容など送る相手に合わせたひと言を添えて差をつけましょう。
繰り返しになりますが、展示会参加者の多くはまだ情報収集段階のライト層です。すぐに具体的な商談や受注につながることはめったにありません。獲得した見込みリードをここから自社のリードへ育成していけるかが展示会成果の大きな分かれ道。そこには営業部門のフォロー、そしてマーケティング部門のナーチャリングが不可欠です。
しかし、ほとんどの担当者がこの中長期的なフォローの重要性を理解しながら、現実には実施できていません。そのため、ほとんどの企業が展示会の効果を実感できないでいるのです。では、展示会で新規リードを獲得し受注につなげている企業は何が違うのでしょうか。
最大の違いはナーチャリングの基本である「リード管理」です。展示会で獲得した名刺にお礼メールを送ったきりではいつまでも成果は上がりません。いまだに名刺を担当者の個人レベルでエクセル管理していませんか。
名刺はCRMなどで一元管理し、共有しましょう。社名や連絡先など見込みリードの基本情報はもちろん、その後の営業アプローチや反応、メルマガの開封状況、Webサイトの閲覧履歴など行動を追うことでリードの検討度の変化を把握できます。関係部署でそれらを共有できればアプローチのタイミングを逃すことなく、成約までしっかりと導くことができるのです。
展示会の参加者は自社の課題を解決する情報収集のために展示会を訪れます。彼らの課題に解決のヒントを与えることができれば新規リードと新たな受注を獲得できますが、それは会場にブースを並べる競合他社も同じです。つまり、せっかく獲得した優良な見込みリードもフォローを間違えば他社へと流れてしまうおそれがあるのです。
展示会で成果を上げるには、まず出展の目的を明確にし、最終的に受注へ導くまでのフローをしっかり設計することが重要です。私たちタービン・インタラクティブは展示会のコンサルティングに多数の実績があります。展示会の成果が上がらない、その問題が何かつかめない、頭打ちの成果をもっと伸ばしたい場合など、ぜひお声掛けください。実感を得られる展示会を一緒に成功させましょう。