Webサイトを運営する企業にとってSEO(Search Engine Optimization)の知識は重要です。Googleの検索エンジンのアルゴリズムは非公開のため、Webページの検索順位を上げる絶対的な方法は存在しません。
ただし、GoogleからWebサイトを評価する基準としていくつかのヒントが出されています。シリーズ初回となる今回はGoogleが示すページ品質評価の仕組みについて解説していきます
GoogleはどのようにWebページを評価しているのでしょうか。ヒントはGoogleが公開している「検索品質評価者ガイドライン」にあります。
検索品質評価ガイドラインとは、Googleが外部に委託している検索品質評価者に向けて、検索結果の品質を評価するための指針をまとめたものです。約170ページ以上にわたって評価項目が具体的に記載されていますが、大きく3つの要素に大別されます。
ページクオリティ(Page Quality)
該当のWebページの内容がどれくらい目的を満たしているか
ニーズとの一致(Needs Met)
該当のWebページが(モバイルの)検索ユーザーのニーズにどれだけ一致しているか
モバイルでの使いやすさ
モバイル検索のユーザーにとって使い勝手の良いWebページとなっているか
近年、PCでの検索よりもスマートフォンでの検索が多くなっていることから、Googleでは「モバイルファーストインデックス(Mobile First Index、または頭文字を取ってMFI)」というスマートフォンでの見やすさを重視する方針を採っています。そのため、検索結果の品質評価もスマートフォンで閲覧した場合のウェブサイトを基準として評価しています。
この検索品質評価はあくまで評価者がWebサイトを評価するための指標であり、サイト運営者に向けたものではありません。また、ガイドラインに記載されている項目を実践したからといって必ず自社のWebサイトの評価が上がるわけでもありません。あくまでGoogleが目指す検索評価の概念を学ぶためのものとして押さえておくべきでしょう。サイト運営者に向けては「検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド」というものが公開されているため、こちらを参照することをおすすめします。
検索品質評価ガイドラインおよび検索エンジン最適化(SEO)スターターガイドの中にはコンテンツ制作において極めて重要な「E-E-A-T」と呼ばれる概念が登場します。
E-E-A-Tとは、「経験(Experience)、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)」の4つの英単語の頭文字を取ったもので、コンテンツの評価を左右する4つの要素のことです。
経験(Experience):
Web サイトやWebページのコンテンツの内容に応じた経験(製品や場所のレビュー、経験談など)が織り込まれているかどうか
専門性(Expertise):
Webサイトやコンテンツの作成者が特定の分野(トピック)の「専門家」とみなされるかどうか(※ここで言う「専門家」は社会的な地位や資格を問うものではなく、特定の分野について詳しい者を指す)
権威性(Authoritativeness):
Web サイトやコンテンツの作成者は、特定の分野(トピック)において、多くの人に認められている存在であるかどうか
信頼性(Trustworthiness):
Web サイトの運営者及び Web サイトの内容自体が、信頼できるかどうか
検索品質評価ガイドラインには、E-E-A-TによってWebサイト内のコンテンツの品質評価に影響を及ぼすと記載されています。つまり、E-E-A-Tの評価が高ければ、Googleからの評価も高くなる傾向にあると考えて良いでしょう。
特に健康や経済などに関連するコンテンツはYMYL(Your Money Your Life)と呼ばれています。このようなジャンルは間違った情報が流布された場合、人の暮らしに致命的な影響を与えるため、他のコンテンツよりも厳しく評価されます。そのため、よりE-E-A-Tを意識して、検索したユーザーが信頼できる情報を提示しておくことが重要です。
ポイントとなるのは「Webサイトへの訪問者にとって興味深く有益な情報を提示できているか」です。
自分自身がGoogleで何かを検索する状況に置き換えて考えてみましょう。
例えば、検索して訪問したWebサイト内に嘘の情報が書かれていたら、もう二度とそのサイトを信頼しないでしょう。情報は正確であることが絶対条件で、トピックによっては最新情報を求めることもあり得ます。
無数の情報から、どれかを取捨選択する場合、何を重視するでしょうか。ブログなら独自情報や執筆者のプロフィールがあればその記事を信頼できますし、ショッピングなら他のユーザーの口コミやレビューを参考にできます。
普段から私たちはインターネットで情報を集める際、どのサイトが自分にとって有益かどうか、無意識に状況に応じて判断しているはずです。
重要なのは「WebサイトまたはWebページに訪れたユーザーを満足させる」ことです。自分がGoogleで検索する側としてWebサイトを見直して、訪問したユーザーを満足させるヒントを探してみましょう。
情報の正確性や独自性だけでユーザーが満足するとは限りません。例えばブログの中に、正確で信頼できる結論が載っていたとしても、たどり着くまでに長いスクロールをしなければならない場合や広告が多いとわずらわしいと感じるでしょう。
コンテンツの中身だけでなく、ユーザビリティも考えてみましょう。具体的には、長い記事はジャンプリンク付きの目次がある方が読みやすいですし、興味関心の高いユーザーに向けた関連情報のリンクがあると便利でしょう。また、ページの表示速度が早ければストレスなく記事を閲覧できます。
コンテンツを作る前に、ユーザーが欲していることは何か、盛り込むべきことは何か、常にユーザー目線に立って制作しましょう。E-E-A-Tの概念を理解しておけば、より有益なコンテンツ制作の役に立つはずです。
今回の記事ではコンテンツ制作を行う上で持っておきたい心構えを中心に説明しました。次回は、どのような構成、書き方であればより多くの読者に読んでもらえるのかなど、コンテンツ制作における具体的なTipsを解説します。