「A:なるほどね。ちょっと込み入ってきたので、この流れで打合せにしましょう。5分後いける?」
「B:了解です」
「C:かしこまりました」
「D:会議室押さえました」
「E:資料プリントします」
これは、ウチの会社でよく見られる風景。しかし、実際には誰も話しているわけではありません。全てのスタッフによるリアルタイムな情報交換、インターネットメッセンジャーの画面上の会話です。2枚のディスプレイの一部に常時開いている会話用のウィンドウで、必要に応じてメッセージを送り合っています。
ビジネスの基本は「報・連・相」といいますが、スピードが求められる今の時代、情報共有のためにいちいち会議を開いていたのでは間に合わないことばかり。必要なメンバー間での情報共有は、作業を進行しながら行いたいものです。
より多くの社内情報の流れを最小限の時間と手間で把握するための工夫として、メッセンジャーは革新的な効果をもたらします。関係情報を横目で見ながら作業を続けられますし、「了解です!」を送信するのに1.5秒もかかりません。
話をしなくなって、社内コミュニケーションが悪くなるんじゃないか。と心配されることもありますが、むしろ良く事の方が多いと感じます。例えば、上司とのコミュニケーション。部長のデスクにうやうやしくお邪魔して「今、お時間よろしいでしょうか?」声をかけるタイミングをとるのは難しいものです。メッセンジャーであれば、上司の作業を中断させてしまう心配もありません。緊急性に応じて、上司側で優先順位をつけてもらえばいいのです。
出張時や外出時にもとても便利。モバイル環境が整った現在では、どこにいてもメッセンジャーに参加することができます。
「A:書類こちらで預かってました、お持ちしましょうか?」
「私:無理でしょ、今新幹線だもの。メールしてよ」
「A:なんだ、席にいらっしゃるのかとw」
同じフロアで仕事をしているのと変わりません。
話した履歴が残せるのも、物忘れがひどくなった世代には朗報。メールの正確さや記録性と、会話のスピードをあわせもつメッセンジャーは、新しい「会話」や「議論」の方法論といえます。
社内共有しているファイルの場所を送信したり、参照すべきWeb情報のURLを送信する、といった作業にかかる時間も全社で考えると馬鹿に出来ないもの。無駄な時間やストレスは減らして、クリエイティブな作業に集中できる環境は、企業競争力につながるでしょう。
「メッセンジャーは友達同士のコミュニケーション」という固定観念を捨て、ビジネス活用を考えてみてはいかがでしょうか。
(2009/12/23 中部経済新聞掲載)