第23回:SNSをマーケティングに

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年11月12日

「ソーシャルネットワークを、マーケティングに活用しよう!」

ミクシィやフェイスブックのような、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)が流行している昨今、活用するのは当然・・とは思っていても、実際にどうすればよいか具体的にイメージできるマーケティング担当者はまだまだ少ないのではないでしょうか?

今週、私は広告テクノロジーの現在を見るためニューヨークに滞在中。世界最先端の広告技術カンファレンス「アドテック・ニューヨーク」の会場には全米から、広告代理店、マスメディア、ネットメディアや広告主企業の担当者など、多くの関係者が集まっています。

見渡す限りに並んだ展示ブースでは、マーケティング効果の測定や最適化から、動画のソリューション、調査サービスやコンテンツ配信、広告配信ネットワークや、その配信ネットワーク向け最適化サービスまで、実に様々なジャンルのサービスが紹介されているのですが、昨年の展示と比べて感じるのは、多くのサービスで、「SNSとの連動」がアピールされているということです。

SNSは、利用するユーザー間の「人と人とのつながり」を強化するサービスともいえますが、この「人と人とのつながり」の機能を、マーケティングのサービスに結びつけようという動きが増えているのです。

SNSは外部のアプリケーションと連動できるよう、ユーザーデータの接続仕様を公開しているものが多いため、コミュニティでの登録データや活動データを利用して、ユーザーに便利でマーケティングにも効果のあるサービスを提供しようと、各社アイディアを競っていました。

昨夜ホテルで見ていたテレビの討論番組には、ツイッターのアカウントやフェイスブックのコミュニティが表示されていました。フェイスブックやマイスペース、ツイッターなどの、ソーシャルネットワークサービスの利用者が激増し、彼らがネットワーク上で「互いに影響し合っている状態」です。これをいかに企業のマーケティングに活かし、ゴールにつなげるか。アメリカの企業にとっては、最も関心の強い課題となっているようです。

(2009/11/11 中部経済新聞掲載)

第22回:ネットだからできるお手軽「別注」

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年11月5日

「金色のアッパーソールにシルバーのライン、ベースはブラックで踵はレッド。ロゴマークはゴールドで靴紐はシルバーに。刺しゅうされる名前は『turbine』にしよう」。

先日のマラソン大会に出場した私のランニングシューズが、ウェブ上で誕生した瞬間です。

物余りの時代、消費者にうける物作りはどんどん難しくなっているといわれます。そんな中、趣味やライフスタイルが多様化し続ける「顧客」に合わせて商品んを提供する、BTO(ビルド・トゥ・オーダー)の提案はあらゆる領域に広がっています。

そしてその一因はやはりインターネット。受注から生産、発送に至る各工程に一貫してインターネットとデータベースが関与することで、圧倒的なコストダウンが可能になってきました。しかし、本来コストのかかる「特別注文」の工程を、消費者に負担を強いることなく、サービス提供側に変わってもらうには、ウェブサービスにも工夫が必要です。

私のスニーカーが生まれた「Nike iD」のウェブサイト上では、自分の希望するさまざまな色の組み合わせに挑戦できます。自分がデザインしたシューズのリアルな画像は、広告写真のように美しく、友人に自慢したくなるほどです(デザイナーの欄には自分の名前まで記されているではありませんか!)

自分がデザインしたシューズは、何種類も保存でき、その中から気に入ったものをいつでも購入できるというわけです。サイズを変更して、友人に購入してもらうこともできます。自分の所属しているチームがあれば、メンバーでデザインコンテストを開催して優勝デザインを全員で購入するというような楽しみ方もできるようになっています。

もちろん、楽しく注文を完了するというフロントの楽しさだけではなく、同じものがない無限の組み合わせに近い製品を正確に作り上げる工場のライン設計や、品質管理のフローにも特別なものがあるに違いありません。海外から発送されたにしては納期の早さも驚きです。

パソコンの壁紙として設定した「自分だけのスニーカー」を眺めて2週間足らずで、海外の工場から直送された段ボールには、まさにイメージ通りの1足と大きな感動が詰まっていました。

私がウェブサイト上でクリックしたのがスタートの合図となり、海の向こうの工場で、私が想像したカラフルなシューズが、整然とできあがり、仲間と一緒に船旅をしてきたというドラマ。

そんな新しいものづくりを体験する料金としては安すぎます。なにしろ、通常の流通で販売されるベース製品と比べても、ほとんど金額は変わらないのですから。

(2009/11/04 中部経済新聞掲載)

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