第29回:メッセンジャーを活用

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年12月24日

「A:なるほどね。ちょっと込み入ってきたので、この流れで打合せにしましょう。5分後いける?」
「B:了解です」
「C:かしこまりました」
「D:会議室押さえました」
「E:資料プリントします」

これは、ウチの会社でよく見られる風景。しかし、実際には誰も話しているわけではありません。全てのスタッフによるリアルタイムな情報交換、インターネットメッセンジャーの画面上の会話です。2枚のディスプレイの一部に常時開いている会話用のウィンドウで、必要に応じてメッセージを送り合っています。

ビジネスの基本は「報・連・相」といいますが、スピードが求められる今の時代、情報共有のためにいちいち会議を開いていたのでは間に合わないことばかり。必要なメンバー間での情報共有は、作業を進行しながら行いたいものです。

より多くの社内情報の流れを最小限の時間と手間で把握するための工夫として、メッセンジャーは革新的な効果をもたらします。関係情報を横目で見ながら作業を続けられますし、「了解です!」を送信するのに1.5秒もかかりません。

話をしなくなって、社内コミュニケーションが悪くなるんじゃないか。と心配されることもありますが、むしろ良く事の方が多いと感じます。例えば、上司とのコミュニケーション。部長のデスクにうやうやしくお邪魔して「今、お時間よろしいでしょうか?」声をかけるタイミングをとるのは難しいものです。メッセンジャーであれば、上司の作業を中断させてしまう心配もありません。緊急性に応じて、上司側で優先順位をつけてもらえばいいのです。

出張時や外出時にもとても便利。モバイル環境が整った現在では、どこにいてもメッセンジャーに参加することができます。

「A:書類こちらで預かってました、お持ちしましょうか?」
「私:無理でしょ、今新幹線だもの。メールしてよ」
「A:なんだ、席にいらっしゃるのかとw」
同じフロアで仕事をしているのと変わりません。

話した履歴が残せるのも、物忘れがひどくなった世代には朗報。メールの正確さや記録性と、会話のスピードをあわせもつメッセンジャーは、新しい「会話」や「議論」の方法論といえます。

社内共有しているファイルの場所を送信したり、参照すべきWeb情報のURLを送信する、といった作業にかかる時間も全社で考えると馬鹿に出来ないもの。無駄な時間やストレスは減らして、クリエイティブな作業に集中できる環境は、企業競争力につながるでしょう。

「メッセンジャーは友達同士のコミュニケーション」という固定観念を捨て、ビジネス活用を考えてみてはいかがでしょうか。

(2009/12/23 中部経済新聞掲載)

第28回:Webリテラシー

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年12月17日

「読み書き算盤、インターネット」

15年前、広告会社で働いていたころに私の上司がよく使っていた言葉です。算盤(そろばん)といわれても、若い方にはピンと来ないかもしれませんね。電子計算機が登場するまでは、王者の座に君臨していた四則演算の最強ツール。私が子供のころにはまだまだポピュラーな習い事でしたから、多少の覚えもありますが、それでも算盤とインターネットを並べられると、当時はなんだか可笑しく聞こえたのを憶えています。

しかしながら「これからのビジネスには「読み書き算盤」つまり「読解、筆記、計算」に「情報検索やツールの活用技術」を加えた4つの基本能力が必要だよ。」というこのメッセージは、とても重要なものでした。

現在では「Webリテラシー」とよばれる、この4つめの必須能力の重要性を、幅広い年代に伝えるための表現だったわけです。さすがは広告会社の部長と、今更ながらに感心したりします。

Webリテラシーは「情報について理解・整理し、活用するために、インターネットを活用する能力」と表現できそうです。

しかし、企業のWeb担当者ともなれば、一般レベルより高いWebリテラシーが求められます。ユーザーとして活用するためだけでなく、ユーザーが利用するためのWebサイトを運営するのですから、当然といえば当然ですね。

1.「複数のチラシを見比べながら、賢く買い物をする能力の高い主婦に必要なリテラシー」が身についてはじめて
2.「見比べられた上で、主婦が殺到するチラシをつくる能力の高い担当者に必要なリテラシー」にトライすることができるようになるのです。

実際の現場では、若い担当者の「インターネットは苦手で」という言葉に、実に高い確率で出会います。学生時代からネットを活用して勉強し、Webやメールを活用して友人関係や恋愛関係を築いてきた世代は1.のリテラシーは高いのですが、当たり前のものであるだけに、2.のリテラシー、意識的に作り手側の立場で仕組みを考えることが苦手のようです。

企業情報の発信者として勉強しなくてはいけないことは、今も昔も変わりません。多くの一般ユーザーが情報発信する現在では、むしろ勉強すべき内容は種類も多く、アップデートが早いのです。

お客様に喜んでもらうために磨き続ける「マーケティング」や「クリエイティブ」「システム」に関する知識。「現代Web担当者の読み書きそろばん」であることは、間違いなさそうです。

(2009/12/16 中部経済新聞掲載)

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