第40回:ネット情報取得の変遷(最終回)

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2010年3月10日

「受動的な情報摂取」から、「積極的な情報取得」へ。

インターネットは、ここ十数年で消費者の行動を大きく変えたと言われます。では、インターネットでの情報取得方法それ自体も、大きく変わっているのをご存じでしょうか?「ポータル」から「サーチ」、そして「ソーシャル」へ。私たちの行動様式に大きな影響を与えたトレンドを整理してみましょう。

1.ポータルの時代
インターネット黎明期は、テーマ毎に多くのコンテンツを有する「ポータルサイト」を起点に「ネットサーフィン」を行うのが主流。Yahoo!JAPANは、1996年、運営スタッフがWebサイトを確認しながら登録作業を行うディレクトリサービスとしてスタートしました。ユーザーは、ポータル運営者(=プロの情報選者)のオススメを信じて情報を取得していたのです。

2.サーチの時代
Web上の情報量が爆発的に増大し、人力によるポータル運営が間に合わなくなると、プログラムとデータベースで、自動的に情報を整理する方法が優勢になりました。いわゆる「検索エンジン」です。「すべての情報を整理する」企業として登場したグーグルを中心に、より「ハズレのない」検索結果がもたらされ、ユーザーは「検索」のセルフサービスで、精度の高い情報取得をするようになります。

3.ソーシャルの時代
そしてここ数年、ユーザー間のコミュニケーション手段である「ソーシャルメディア」の利用時間伸長とともに、ツイッターやミクシィで紹介される内容がメインの情報ソースになるケースも増えています。フォローしている著名人や知り合いのオススメ情報、ミクシィのコミュニティの記事からリンクされる、オススメの情報をチェックする。もともと自分の興味にマッチした人格からのオススメですから、さらに「ハズレのない」結果がもたらされることになります。気がつけば、ネットメディアを閲覧したり、検索をする回数自体が減ってきている・・・・。というのが、昨今の先進的なネットユーザーに見られる傾向でしょう。

さて、みなさんの周りはいかがですか?

企業Web活用の基本は、ユーザーの行動やニーズを知ること。みなさん自身が様々なスタイルでネットやツールを活用してみることが重要です。百聞は一見にしかず、やってみなければ価値が理解できないことも多いのですから。

当連載は、今回が最終回となります。長らくお付き合いいただき、ありがとうございました。
過去の連載内容は
http://www.turbine.co.jp/sp/chukei/
でご覧いただけます。
それではまた、どこかでお会いしましょう。

(2010/03/10 中部経済新聞掲載)

第39回:スルーする技術

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2010年3月4日

「あっさりスルーされちゃってさ・・。」「すんません、スルーしてました。」

最近よく使われる言葉ですが、この現代語の意味をご存じでしょうか?正解は「無視する」「気にしない」。英語の「through」の本来の意味は「・・・を通り抜けて」。ドライブスルーなどのスルーですが、これが転じて「聞き流す」になり、さらに「無視する」になったようです。

最近のコミュニケーション業界には、「スルー力(するーりょく)」という言葉が登場しました。インターネットを中心とした情報技術の進化によって、私たちが取得可能な情報流通量は10年前の500倍になっていると言われます。受動的に浴びている情報の量も、相当量に増えています。その中で、正しい判断に必要な情報を手に入れるためには、情報を探しにいく技術と同様に、「不必要な情報をスピーディーに無視する力」、つまり「高いスルー力」を身につけるかがポイントになるという訳です。

いかがでしょう?皆さんの生活スタイルを振り返ってみても、なるほどと思われるのではないでしょうか。

企業は、コミュニケーション相手がこのような「スルー力」を身につけた人々であることを意識しなくてはいけません。私たちは今、自分に関係ないと判断したテレビコマーシャルをスキップし、雑誌の広告ページを一気にとばし、Web上の広告バナーが目に入らないように目線を動かす技術を身につけて、自分が選択すべき情報を手に入れることで、自分の考え方をつくりあげているのです。

それでは、スルーされない企業になるにはどうしたらよいのでしょう?

それには、スルーされない人になる方法が参考になります。クラスで人気者になる「面白い人」、会話のイニシアチブをとる「話を聞いてもらえる人」には共通点があるものです。

・自分の話ばかりせず、周りの人に気を配る人
・その場にいる人が興味を持つ言葉で話す人
・つねにハッピーな気分を分け与えている人
・周りの人に、心から興味を持っている人

企業のメッセージは「広告」から「情報」へ。自社のメッセージを伝えることに終始せず、消費者の声に耳を傾け、その興味にあわせた話法やサービスを提供。消費者が楽しくなるようなコミュニケーションを意識し研究する必要があると思うのです。そのためには、企業自身が消費者に心から興味をもつことが大切なのではないでしょうか。

(2010/03/03 中部経済新聞掲載)

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