未曾有の不況が吹き荒れた2009年。
Webを活用したマーケティングやビジネスも大きく変化しました。09年最終の今回は、今年話題になった2つのキーワードで、1年を振り返ってみたいと思います。
【クラウドコンピューティング】
09年はSaaS(ソフトウェア アズ ア サービス)という考え方が普及した年でした。クラウドコンピューティングは「ソフトウェアやデータを手元のコンピューターに置くのではなく、(雲の中のような)インターネットの向こう側に置く」という考え方やサービスを指します。インフラやシステムを利用者単位の月額費用で手軽に運用でき、投資リスクが少ないことからも注目を集めました。「システムは所有から利用へ」の流れが加速し、システム構築のスピードとコストが激変した1年だったといえるでしょう。実務でもクラウド関連のお問い合わせは増加傾向で、講演のテーマに要望されるケースも増えました。セールスフォース・ドットコム社主催のイベントで講演させていただいた「クラウドのマーケティング活用事例」は実に1000人をこえるお申込があり、企業担当者のクラウドへの関心の高さを実感したのものです。
【ツイッターのブレイク】
「いまなにしてる?」という質問にこたえるかたちで短いテキストを投稿するミニブログサービスが伸びました。気軽に素早く投稿できるのが特徴で、ユーザー同士が「リアルタイムに、ゆるやかに」つながる機能を持つ「ツイッター」。アメリカ大統領選挙、イラン大統領総選の抗議活動で活用されたことが話題になり、日本でも爆発的にユーザーが増加しています。モバツイッターなど、日本の携帯環境で活用できるインフラや、専用のiphoneアプリが、利用スタイルにピッタリはまったことなども大きな理由でしょう。企業と消費者の関係性を緊密にする上、安価なマーケティングツールであることから期待と注目を集めました。また、マイクロソフトやグーグルとの提携も発表され、検索エンジンにリアルタイムな情報が流れ込む事が予想されています。
2009年、変化し続けるWeb環境は、消費者の行動様式、ビジネスモデルの両面に大きな影響を与えました。
今年のトレンドは、「新しい発想で、コストダウンを実現しながら、実質の価値を高め、効果を上げる。」というリアルな要望だったのかもしれません。
不況が続く中部地区ですが、Web活用で光が差し込む余地はまだまだ残されていると信じています。さて、2010年はどのような戦略を描きましょうか。
(2009/12/30 中部経済新聞掲載)