「平均何人、どのような方がこのコーナーを読んでいるのですか?」。
この連載を引き受けるにあたり、少々間抜けな質問をしてしまいました。担当編集者に苦笑いされた通り、紙面のどの領域を、どのような人が読んでいるかをつかむなど無理難題です。
しかしWebサイトでは「アクセスログ」という基礎データを活用することで、閲覧者の行動を読み解くことが可能。「訪問者の足跡」ともいえるアクセスログから行動パターンを分析するアクセス解析は、より良い訪問者サービスのためのマーケティング活動の基本となっています。
アクセスログの解析ツールは、無料・有料の物で数多く存在し、その利用方法も簡単。「Google」が無料解析ツールの提供を始めたこともあって、現在ではほぼすべての企業サイトが何らかの解析手段を持っているといって良い状況です。しかしながら、これらのデータが有効に利用されているケースは非常に少ないのが現実。その理由は2つ考えられます。
(1)「このデータから訪問者の行動をどのように推測し、より良い結果に結び付けるのか?」
データを読み解く側に「マーケティング」や「システム」、「ネット広告」といった異なる領域の知見が必要とされるため。
(2)「いったいどの数値を上げれば(下げれば)良いのか?」
そもそもWebサイト自体の目的や評価指標が設定されておらず、改善の方向が決められないため。
よくある「アクセス数を増やしたい」という要望にも注意が必要です。なんでも増えれば良いというわけではありあせん。
例えばユーザーが困った時に訪れるQ&Aコーナーなど、複雑な内容を分かりやすく誘導すること、つまりサイト内の導線を整理してあげることで、来訪者のページビューを格段に”下げる”ことが目標になる場合もあります。
アクセスログ解析の目的は「閲覧者の声を聞き、Webサイトの効果を上げること」です。冒頭の私の質問は言い換えれば「このコーナーを読んでくれる読者層を把握することで求められる内容を提供し、価値と満足度を最大限高めるにはどうすれば良いだろうか?」ということです。
さて、御社のアクセスログは何を語っているでしょう。専門家と一緒に、自社Webサイトの訪問者が何を考え、どのような行動を取っているのか、そのシナリオをイメージしてみてはいかがでしょうか。
(2009/06/10 中部経済新聞掲載)