モバイルがわからなくなってきました。
といっても、「最近のケータイは難しくて使いこなせない!」という話ではありません。「モバイルの概念を整理する」必要があると思ったのです。
7月1日、データ通信サービス「UQ WiMAX」がいよいよサービスを開始、中部圏でも利用できるようになりました。WiMAXは「IEEE 802.16e」と呼ばれる技術による、屋外でのインターネット接続サービスの仕様。現在の3G携帯電話データの通信速度である最高7.2Mビット/秒にくらべ、理論値で40Mビット/秒と、より高速なモバイル通信環境として注目されています。
これだけお話すると単に「モバイル接続サービスが速くなった」という印象ですが、重要なポイントは別にあります。今回登場した「UQ WiMAX」、実は「ケータイ事業者による新しいネット接続サービス」ではありません。
ところで、「IEEE 802.」といえば、聞き覚えがある方はいらっしゃるでしょうか?「IEEE802.」はネットワークに関する標準規格。IEEE 802.11といえば、みなさんのオフィスやご自宅にある「無線LAN」の規格ですね。ノートPCをはじめ、iPhoneをはじめとする通信端末、WiiやNintendo DSi、PlayStation3やPSPなどのゲーム機、プリンターやデジカメ、ポータブルミュージックプレーヤーなど、今では様々なデバイスがIEEE 802.11の無線LANでつながっています。
モバイルWiMAX(IEEE 802.16e)は、この無線LAN(Local Area Network)の技術と兄弟関係にある無線MAN(Metropolitan Area Network)の規格。少し乱暴に言ってしまうと「すごく遠くまで電波が届く無線LANのようなもの」です。「ケータイで電話をかけてネットにつないでもらう」のではなく、「街じゅうに電波が届く無線LANのオバケに直接つなぐ」サービスだと言えるのです。
「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」がネットワークにつながることで様々なサービスが提供され、人々の生活をより豊かにする。いわゆる「ユビキタス社会」のイメージにより近づいたように思います。
さて、次世代モバイル環境が生み出す、新サービスの可能性やビジネスインパクトとはどのようなものでしょうか?(次回に続く)
(2009/07/15 中部経済新聞掲載)