「読み書き算盤、インターネット」
15年前、広告会社で働いていたころに私の上司がよく使っていた言葉です。算盤(そろばん)といわれても、若い方にはピンと来ないかもしれませんね。電子計算機が登場するまでは、王者の座に君臨していた四則演算の最強ツール。私が子供のころにはまだまだポピュラーな習い事でしたから、多少の覚えもありますが、それでも算盤とインターネットを並べられると、当時はなんだか可笑しく聞こえたのを憶えています。
しかしながら「これからのビジネスには「読み書き算盤」つまり「読解、筆記、計算」に「情報検索やツールの活用技術」を加えた4つの基本能力が必要だよ。」というこのメッセージは、とても重要なものでした。
現在では「Webリテラシー」とよばれる、この4つめの必須能力の重要性を、幅広い年代に伝えるための表現だったわけです。さすがは広告会社の部長と、今更ながらに感心したりします。
Webリテラシーは「情報について理解・整理し、活用するために、インターネットを活用する能力」と表現できそうです。
しかし、企業のWeb担当者ともなれば、一般レベルより高いWebリテラシーが求められます。ユーザーとして活用するためだけでなく、ユーザーが利用するためのWebサイトを運営するのですから、当然といえば当然ですね。
1.「複数のチラシを見比べながら、賢く買い物をする能力の高い主婦に必要なリテラシー」が身についてはじめて
2.「見比べられた上で、主婦が殺到するチラシをつくる能力の高い担当者に必要なリテラシー」にトライすることができるようになるのです。
実際の現場では、若い担当者の「インターネットは苦手で」という言葉に、実に高い確率で出会います。学生時代からネットを活用して勉強し、Webやメールを活用して友人関係や恋愛関係を築いてきた世代は1.のリテラシーは高いのですが、当たり前のものであるだけに、2.のリテラシー、意識的に作り手側の立場で仕組みを考えることが苦手のようです。
企業情報の発信者として勉強しなくてはいけないことは、今も昔も変わりません。多くの一般ユーザーが情報発信する現在では、むしろ勉強すべき内容は種類も多く、アップデートが早いのです。
お客様に喜んでもらうために磨き続ける「マーケティング」や「クリエイティブ」「システム」に関する知識。「現代Web担当者の読み書きそろばん」であることは、間違いなさそうです。
(2009/12/16 中部経済新聞掲載)