タービンインタラクティブが発信するターボブログ、Webマーケティングの最新情報をお届けします|タービン・インタラクティブ

Webサイトで見込み客を獲得するために~「自社の強み」を可視化する方法

作成者: タービン・インタラクティブ|2015年01月27日

私たちがWeb戦略を支援させていただく中で最も重視している点の一つが、「自社の強みを明確にすること」です。

御社のサイトを訪れるユーザーは必ず「この会社は他社と比べてどこが優れているのか」という視点でWebサイトを見ています。

自社の強みが明確に打ち出されておらず、競合他社との違いが不明瞭な場合には、お問い合わせをしてもらえる可能性は極めて低いと言えるでしょう。

自社の強みを明確にするために有効な手法

誰もが知っているブランドを持つ企業とは異なり、BtoB企業の場合には「自社の強みを明確にすること」が、Webサイトで見込み客を獲得するための生命線です。

そこで本日は、自社の強みを明確にするために有効な手法を2つご紹介させていただきたいと思います。

もともとこの手法は新規事業立ち上げや新商品開発の際に使われるものですが、BtoB企業に関してはそもそも自社の強みが曖昧であることが多いものです。

ぜひご参考いただければと思います。

ポジショニング・マップ

1つ目は、昔からよく使われている「ポジショニング・マップ」です。

ポジショニング・マップとは、縦横2軸の要素を設定し、競合他社はどこに位置するか、自社はどこに位置するかを見ていくことで、自社の強みを発見するというものです。

ビリーズブートキャンプは、黒人男性のビリー隊長による軍隊式エクササイズで7日間でやせるという斬新なコンセプトのDVDです。日本中で大ヒットしたので覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

当時、自宅でできるダイエットは「置き換えダイエット」のような食品、または「ヨガのDVD」のようなものしか存在していませんでした。つまり、左下のポジションは空いている状態です。そこへ、自宅でジム並みのつらいエクササイズができる「ビリーズブートキャンプ」が現れ、競合がいないため、市場を独占状態できたと分析することができます。

(もちろんヒット要因は他にもビリーのキャラクターの面白さやメディアへの露出量や取り上げられ方、時代性など様々な要素があったわけですが・・)

以上のようにポジショニング・マップは大変シンプルで使いやすいツールのひとつです。

しかし一方で、競合他社と比較できる要素が縦と横の2項目しかないため、部分的にしか競合と比較することができないことや、そもそも縦横2軸に採用した比較要素そのものが間違っていたり、見当違いだったりする場合には自社の強みに気づくことができないというケースもあります。

強み発見の定番手法として有名な「ポジショニング・マップ」ですが、かなり経験を積んだ熟練マーケッターでないと使いこなせないのが難点であると言えるでしょう。

戦略キャンバス

これは数年前話題になったビジネス書「ブルーオーシャン戦略」で紹介されていた手法で、ポジショニング・マップよりも比較的簡単に使いこなせるうえに、自社の強みを明確に発見することが可能なツールです。

出典:ブルーオーシャン戦略(W・チャン・キム、レネ・モボルニュ著)

戦略キャンバスとは、横軸に「顧客に提供する価値」を、縦軸に「その大小」を示したチャートのことです。

サウスウエスト航空の場合、他の航空会社より勝っているのは「心のこもったサービス」「スピード」「便数」の3つだけで、その他は全て負けています。

これはたまたま負けているのではなく、最初から「捨てている」のです。

だからこそ余分なコストをかける必要がなくなり、自動車での移動と張り合う水準まで運賃を抑えることができ、それがお客様に選ばれる要因になっているのです。

サウスウエスト航空の機内食は決して美味しいとは言えないし、高級ラウンジはなく、座席の選択肢もなく、ハブ空港での乗り換え利便性も悪い。

でも、心のこもったサービスが受けられるし、速いし、便数も多い。

そして、何よりほかの航空会社より、「圧倒的に安い」。

そこに価値を感じる一定層のお客様から常に選ばれるため、航空業界が軒並み厳しいなか、常に利益を上げ続けることができているのです。

対照的に、すべての競争要因に力を入れているほかの航空会社は、サウスウエストの運賃の安さに太刀打ちするのは不可能です。

全ての要素において、平均点以上のサービスを提供しようとしているが故に、ライバルの動きに合わせざるをえなくなり、高コストのビジネスモデルに縛られて、動きが取れなくなってしまっているのです。

「取捨選択」。

これがブルーオーシャン戦略で解説されていた、競争する必要のないビジネスモデルの作り方です。

この戦略キャンバスを、自社の強み発見にも使うことができます。

戦略キャンバスを「自社の強み発見」に利用するには?

Step1.まずは横軸の項目「顧客に提供する価値」を決めます。

具体的には競合他社をリサーチして、「自社業界の製品やサービスとその内容」を挙げていきます。

ここでスムーズに要素が挙がってこなかったときは、「自社の業界の製品やサービスをバラバラに分解すると、どんな要素でできているのか?」を問いかけると効果的です。

航空業界の例で言うと、飛行機を利用するというサービスをバラバラに分解すると「運賃」「機内食」「ラウンジ」「座席の選択肢」などなど、上表の要素でできているわけですよね?

これと同じことを、自社の業界でやるということです。

「戦略キャンバス」は一回で完璧なものを作る必要はありません。何回も書きなおすことで、ブラッシュアップしていきますので、まずは一度作ってしまいましょう。

Step2.次に競合他社について、横軸の項目「顧客に提供する価値」のそれぞれの縦軸の位置を決め、折れ線グラフ化します。

このとき、まずは暫定的でいいので、1項目を縦軸の真ん中に位置づけてしまうと、他の項目をどこに位置づければいいか考えやすくなります。

例えば、サウスウエスト航空の競合他社の場合、「ハブ空港での乗り換え利便性」を縦軸の真ん中に位置づけています。

この項目を基準に、他の項目はどこに位置づけていくべきか考えていくというイメージです。

しかし、ここで「何と比べて高いのか低いのか」ということで悩んでしまい、どの項目も縦軸のどこにも位置付けることができず、折れ線グラフが書けないということもあるかと思います。

その場合は、まずは、横軸全ての項目を縦軸の真ん中に位置づけて、横まっすぐの線を引いてしまうのもひとつの手だと思います。

その上で次のステップで、自社と比較していくことで、横軸の項目それぞれについて、競合他社と比較して、自社が提供している価値が高いか低いかを判断していくことができます。

Step3.最後に自社について、横軸の項目「顧客に提供する価値」のそれぞれの縦軸の位置を決め、折れ線グラフ化します。

自社の強みについては、なかなか客観的になれず、気づけないものですが、ステップ2の時点で競合他社の折れ線グラフを描いてあるため、横軸の項目ごとに比較していくことで、自社の強みや弱みが浮かび上がってくると思います。

サウスウエスト航空の場合、ほかの航空会社にはない「便数」という項目が出てきています。

このように、自社でしか提供していない要素が出てきた場合、それは自社の強みになり得る可能性があります。

以上の3つのステップで「戦略キャンバス」を使うことで、自社の強みを炙り出すことが可能になりますので、ぜひ一度、実践されることをお勧めします。

どうしても上手くいかないという場合、もし可能ならですが、既存の取引先に「自社と付き合おうと思ったのは何が決めてになったのか」聞いてみるのも1つの手だと思います。

「サポートが充実していた」「営業マンの対応がよかった」「仕事ぶりが信頼できた」など、機能や価格以外の要因が出てくることも珍しいことではありません。

最後に・・自社の強み発見法については、弊社が創業以来、数十年培ってきたノウハウを10項目に分けて、わかりやすくご説明した特別レポート「Webサイトリニューアルのための10のチェックリスト」でもご紹介しております。

こちらの記事にもまとめていますので、是非ご確認ください。
Webサイト制作を成功させるためのチェックリスト10