企業にとってサイトリニューアルのきっかけは様々です。
自社のリブランディングだったり、新しいコンテンツ管理システム(CMS)の導入だったり、そもそも閲覧数が低かったり、何年も経 過してデザインがイケてなかったり・・。
では、リニューアルにかけた時間とコストが十分な「成果」につながるかといえば、残念ながら多くはそうでないようです。
プロジェクトには準備が大切であることがわかっていながら、Webサイトに関してはなぜかあまり事前準備をしないまま進んでしまうことがその一因です。
ネット上にはWeb制作に必要なチェックリストは既に複数存在しています。しかし、多くの場合リニューアルの成功や失敗を大きく左右する大切なことを見逃しています。
それはサイトリニューアルがいかに企業のマーケティング活動に影響するかという点です。
ウェブサイトはただの「入れ物」ではありませんし、リニューアルはデザインやユーザビリティの話だけではないのです。
見込み客(リード)獲得から育成、営業戦略まで皆さんのビジネスに大きく影響するのです。
成果を意識する全ての皆さんに、マーケティングを意識したサイトリニューアルができるようなチェックリストをお作りしました。
リニューアルで、御社のサイトを長らく成功しつづける「マーケティングマシン」に変身させましょう。
リニューアルの前に、まずはサイトの現状を把握し、記録してください。下記のところから始めるといいでしょう。
アクセス解析の指標例
□ ページビュー数、訪問回数(セッション数)
□ 訪問人数(ユニークユーザー数)
□ 直帰率
□ 滞在時間
□ コンバージョン数
□ ECサイトにおける売上状況
※アクセス解析ツールの設定が必要な場合があります。
アクセス解析の指標例
□ 重要キーワードでの検索順位ランキング
□ 重要キーワードのインターネット全体における検索回数
□ 重要キーワードでのWebサイトへの流入数
□ ユーザーテスト
□ アイトラッキング調査(視線行動分析)
※視線行動解析とは、ユーザーの眼球の動きを測定することで視線を捉え、ユーザーがどのようにページを見ていくかを映像で分析する手法です。
□ ヒューリスティック調査
※ヒューリスティックとは「経験則」という意味で、経験豊かな専門家が経験則に照らし合わせてサイトの様々な問題点を明らかにしていくというものです。
Googleアナリティクスのアクセス解析について詳しくはこちらの記事もご覧ください。
「超初心者のためのアクセス解析入門Vol.1 【時間軸編】」
「超初心者のためのアクセス解析入門Vol.2【訪問回数編】」
サイトリニューアルをしようと考えているのであれば、明確な理由や目的を持つ必要があります。「予算消化のため」や「上層部から指示されたから」などでは明確な理由になりません。
リニューアルする理由や目的を明確にし、その成果を測るための目標を作成しましょう。そして、その目標をチームやデザイナー、パートナー会社に伝えましょう。目標設定には下記のような例があります。
良質な問い合わせ数を5件/月 ⇒ 10件/月に増やす
□ サイト訪問数の増加
□ 直帰率の減少
□ フォーム離脱率の減少
Web閲覧をきっかけにした新規来店客数が1年後に
全来店客数の20%を占めるようにする
□ 商圏都道府県からのサイト訪問数の増加
□ スマートフォンからの訪問比率の増加
□ クーポン画面の到達数の増加
上記の例のようにサイトの種別や目的によって、目標の優先順位は変わってきます。
まずは「何の指標を優先するか」を決定してから、具体的な成果指標を作成していきましょう。
サイトリニューアルは多くの成果を生み出せる反面、想定外のマイナスの結果をもたらす可能性があります。御社の現状のサイトには、今までに築き上げてきた 「財産」がたくさん含まれています。
□ 頻繁に閲覧されているページ・コンテンツ
□ ネット上で共有・拡散されているページ・コンテンツ
□ 重要キーワードで検索順位が高いページ・コンテンツ
□ ネット上で数多くリンクされている(=被リンクの多い)ページ
例えば、被リンクの多いページを削除してしまったら、検索エンジン側の評価が下がり、検索順位のランキングも下がるかもしれません。マーケティングを意識していないWebデザイナーはこのような点をあまり意識していないことが多いため、十分注意してください。
1. まずは競合企業をピックアップしましょう
2. 事業内容や強みなど、経営視点で競合を分析しましょう
3. 競合企業のサイトをじっくり研究しましょう
例えば、下記のような観点で研究してみましょう
□ 重要キーワードの検索順位
□ 競合企業のサイトの良い点(デザイン/使いやすさ/コンテンツ など)
□ 競合企業の悪い点
□ どのようなオファーをしているか
□ ソーシャルメディアの活用状況
4. 良い点・悪い点をメモしていきましょう
競合企業のサイトを研究することは即ち相手を真似するということでは決してありません。比較することで競合を超えるためのアイデアを出すことができます。
5. 競合企業のサイトを分析したら、相手よりうまくできること・相手と違ったやり方でできそうなことをリストアップ
競合サイトの分析に使えるツールの一例
● SimilarWeb (http://similar-web.jp)
任意のサイトのアクセス解析データと同等の指標を集計できます。
● Marketing Grader (http://marketing.grader.com)
任意のサイトの概要を自動でレポート生成します。
コンテンツを考案する前に、まずは自社の強みや、提供する価値を明確にする必要があります。
その明確になった強みや価値をサイト全体に反映させます。ターゲット層を顧客化するためには、御社で購入やお問い合わせをする理由やメリット、「自分のニーズに合っているものを適切に提供しているか?」というユーザの疑問に、サイト上ですぐに答えを出さなければいけません。
また、自社独自の価値(Value)を書くときは、誰が読んでも分かるように書きましょう。
私たちはこれまで多くの製造業を中心とするBtoB企業のWeb戦略を支援してきました。
大規模サイトの構築から安定的なサイト運用、ネット広告を使った集客施策、メール配信で見込み客を育てるリードナーチャリング、
CRMの導入までBtoBマーケティングのすべてのフェーズに携わりノウハウを蓄積してきました。
BtoB企業の課題を知り尽くした私たちだからこそ出来るマーケティングサービスを提供いたします。
● マーケティングのフレームワーク(3C分析・4P分析・5フォース分析など)を使い、自社の強みを考えてみましょう。
● 社内で様々な組織を横断したチームによるワークショップがお勧めです。
自社独自の価値を明確にするための方法について詳しくはこちらの記事もご覧ください。
「Webサイトで見込み客を獲得するために~「自社の強み」を可視化する方法」
「定番こそ見直すべし!ユーザーを魅了する「会社概要ページ」にする7つのコツ」
御社のサイトは自社が言いたいことを言う場ではありません。訪問してくる人はみな「私にとって(このサイトは)どんなメリットがあるの?」と心の中で思っているからです。
彼らが求めるものと合致するコンテンツを作るためには、ペルソナを中心にサイトを作る必要があります。
ペルソナとは御社のターゲット層を「人」単位で分割した理想のお客様のこと。その人物像には実際のデータに基づいたデモグラフィック、性格、ネットでの行動パターン、企業での立場、好みや悩みなどが含まれています。
現在の顧客をなるべく多く分析し、共通点を洗い出します。
名前、性別、年齢、職業、業種など、自社の顧客を代表する人物として具体的な設定を付けましょう。
彼らはどんな問題や悩みを解決しようとしていますか?普段どんな情報を探していますか?そしてどんな情報があれば彼らの仕事上の成功の助けになるのでしょう?
● ペルソナ作成には社内で部署横断型のワークショップをお勧めします。
● ペルソナが出来たら、彼らがネット上でどんな感情に沿ってどんな行動をするかの一連の流れをシナリオ化してみましょう。
その中で必要なコンテンツが見えてきます。
ネット上で御社のサイトを見つけやすくすること(検索エンジン対策=SEO)は何にもまして最優先事項であることは間違いありません。
どんなに素晴らしいサイトを作っても、誰にも見つけられなければ、お問い合わせや資料請求の数や売り上げが増えることにはなりません。
また、サイトリニューアルしてからSEO対策を別に実施すると、二度手間や余計なコストがかかってしまいます。SEO効果の継続や向上を意識したサイトリニューアルを行いましょう。
「ユーザーが何を求めて検索しているのか」を知ることで、「自社がどのようなキーワードを検索しているユーザーに求められているか」、そして「どのキーワードでSEOを行うか」について計画を立てることができます。
チェック3にもあったようにどのページがSEO的に最も
強いか(PV数、被リンク率、検索順位ランキング)を把握しましょう
リニューアルの際、ページの移設や変更の際に、検索エンジン側の評価が落ちないように、しっかりと「301リダイレクト」をかけておきましょう。
※301リダイレクトとは...サイトの移設(ドメインの変更)や、ページのURLを変更する場合に、変更前のURLから変更後のURLへ、ユーザーと検索エンジンを自動で誘導(転送)するための仕組み
キーワード調査でニーズが高いと判明したキーワードは、ページや
コンテンツの作成時にも重要な要素となります。調査の結果、ニーズが高いと判明したキーワードに関しては、そのキーワードを織り込んだテキストを作成するようにしましょう。
SEO対策について詳しくはこちらの記事もご覧ください。
「企業サイトは「常時SSL」化すべきか?」
「レスポンシブWebデザイン導入で注意すべき4つのポイント」
「SEO対策でよくある5つの失敗」
「メタディスクリプションを味方にしてアクセスアップするには」
「もしも自社サイトのアクセス数が減少してしまったら?」
□ デジタルカタログ、ホワイトペーパーのダウンロード
□ お問い合わせ
□ メルマガの登録
□ 無料お試し版 コンサルティング、出張デモなど
サイトは見た目も大事ですが、何をするべきか、その機能に集中してください。リード獲得のために、たくさんのCTAを用意しましょう。
ユーザーがどれぐらいこれらのCTAを利用したか・問い合わせをしたか、カウントできるように、社内体制やツールを整備することも必要です。
例1:Webサイト掲載専用の電話番号を取得し、Webサイトを閲覧した上での電話問い合わせと判別できるようにしておく。
例2:Googleアナリティクスの目標設定で、ダウンロード数や問い合わせフォームの完了数をカウントできるように設定しておく。
CTAについて詳しくはこちらの記事もご覧ください。
「訪問者をリードにするには?CTA(シーティーエー) を徹底解説!」
ブログの記事を書くときには、6で作ったペルソナを活用しましょう。
彼らが必要とする情報は何か、どういった観点から書くと共感を得られるかなどを具体的に考え、書くことで効果が増すことを実感できるでしょう。
● コンテンツの追加や継続運用のためには、自社内で頻繁に更新するための人的リソースの確保や運用ツールの用意が必要です。
● コンテンツ作成作業をアウトソースするときも、編集方針は自社で明確に持っておくことが重要です。
コンテンツ制作を継続的に行う秘訣についてこちらの記事もご覧ください。
「ビジネスブログを【業務】として継続するためのポイント」
これまでマーケティングを意識したサイトリニューアルについてご説明してきましたが、もちろん見た目のWebデザインを疎かにして良いということではありません。
大切なのは、「取り敢えずデザインを格好良くしたい」というアプローチではなく、「自社の顧客層に響くデザイン(ペルソナ作りましたよね?)」
「サイトの目的に合ったデザイン(CTAは準備できましたか?)」という観点でWebデザインを決めていくことです。
1〜9で分析したこと・考えたことをデザインに反映させることで、マーケティング機能を果たすWebデザインが実現できるのです。
● デザインの検証方法として、ターゲットに響くデザインになっているかどうか、公開前にターゲットに近いモニターに実際に検証してもらうユーザーテストがお勧めです。
● また複数のデザインパターンを予め用意しておき、自動的にランダムに出し分け、どのパターンが最も反応を得られるか検証する方法(A/Bテスト)もお勧めです。
Webサイトのデザインについてはこちらの記事もご覧ください。
「実はとっても大事な 「際(きわ)」のお話。」
「企業担当者が知っておきたいWebデザイン講座~ホワイトスペース(余白)で差をつける!」
Webを戦略的に活用していかなければならないとお感じの企業ご担当者に向けた、成果に繋がるWebサイトの作り方をわかりやすくまとめたチェックリストです。リニューアル時にぜひご参考ください。