SNSやスマホの普及により、情報の主体が売り手側から購買者側にシフトしています。こうした中、電話やDMを使って企業が一方的に売り込みを行う「アウトバウンド」な営業活動に対して、購買者自身に自社サイトを見つけてもらう「インバウンドマーケティング」が日本でも注目を集めるようになりました。
ちなみにインバウンドとは「外から内へ」という意味の形容詞で、最近は訪日観光客を指すことが多いようですが、「インバウンドマーケティング」はそれとはまったく違いますのでご注意ください。(以前、観光インバウンドのお話と間違えて当社のセミナーに来られた方が実際にいらっしゃいました・・)
この記事では、見込み客を集めて顧客に育てるインバウンドマーケティングの基本ステップと各ステップに必要なアクションを順番にご紹介したいと思います。
インバウンドマーケティングはアメリカ「HubSpot社」共同創業者であるブライアン・ハリガン、ダーメッシュ・シャアによって提唱されました。
この2人による「インバウンド・マーケティング」という本も出版されており、(原書名は「INBOUND MARKETING~GET FOUND USING GOOGLE,SOCIAL MEDIA,AND BLOGS」)グーグル、ソーシャルメディア、ブログで顧客に自社サイトを「見つけてもらう」ための様々な方法を紹介しています。
また、他にも関連書籍を紹介しております。
興味のある方はぜひこちらを読んでみてください。
【厳選】インバウンドマーケティングとは?体系的に学べるオススメの本をご紹介
では早速見ていきましょう。
インバウンドマーケティングは、ユーザーを潜在顧客から推薦者までの5つのステージに分けて考えます。
順番に顧客ステージを上げていくためには、一人ひとりのユーザーに役立つコンテンツを適切なタイミングとチャネルで提供していきながら、自社製品やサービスへの購買意欲を高めていくことが必要です。
それではステージごとにどのような施策が必要とされているのでしょうか。MA(マーケティングオートメーション)ツールHubSpotの機能とともに具体的に見ていきましょう。
「ATTRACT(惹きつける)」は、潜在顧客に自社サイトを見つけてもらい、訪問してもらうためのステージです。いわゆる集客と違うのが、誰でもいいからなるべく多くの訪問者を集めればというわけではなく、ビジネスターゲットとなる適切なユーザーを惹きつけ、自社サイトに訪問してもらうことがインバウンドマーケティングでは重要であるとされています。
そのためには、自社にとっての理想の顧客像=バイヤーペルソナの作成が欠かせません。
バイヤーペルソナとは、性別・年齢などの基本情報から、どのような仕事と役割を持ち、どのような目標・課題を抱えているかなどの個人的な背景から抽出される要素をすべて含めた「自社にとっての理想の顧客像」を指します。
このバイヤーペルソナの目標・課題、行動パターンに沿ったコンテンツを提供することで、検索結果やソーシャルメディア上で「見つけられ」やすくし、自社サイトへの訪問者を増やすということが可能になるのです。
この適切なユーザーをサイトに惹きつけるために役立つ、HubSpotの機能には以下のようなものがあります。
ブログ – インバウンドマーケティングはブログを書くことから始まる、と言われますが潜在顧客を自社のWebサイトに呼び込むためにブログは最良の方法です。ここで重要なのはバイヤーペルソナの抱える悩みや問題意識に応える教育的なコンテンツを発信すること検索やソーシャルメディアで見つけてもらいやすくすることです。
ソーシャルメディア – 価値あるコンテンツや有益な情報はソーシャルメディアを使って積極的にシェアしていきましょう。バイヤーペルソナがよく使うソーシャルネットワーク上での交流が重要です。
キーワード -現代のユーザーの多くは疑問に思ったらすぐにPCやスマホで検索行動を行います。自社サイトをそこで見つけてもらうためには、検索しているキーワードが検索エンジンで上位表示されなくてはいけません。そのためにはバイヤーペルソナの抱える課題や興味に基づいたキーワードを抽出し、それを元にコンテンツを作成する必要があります。
Webサイト - 潜在顧客を惹きつけるためには、魅力的で役に立つコンテンツを装備したWebサイトへの最適化が必要です。自社のサイトはどうでしょうか?一度見直してみましょう。
「CONVERT(転換する)」は、自社サイトに呼び込んだ訪問者を見込み客(リード)へと転換するステップです。この場合の見込み客(リード)とは、「自社から連絡が取れる状態」であるユーザーのことで、そのためには少なくともEメールアドレスの取得が必要です。
このEメールアドレスを取得するために、たとえばeBook、ホワイトペーパー、業界情報などのユーザーがプロフィール情報を差し出してでも欲しいと思う価値のある情報を提供しましょう。
「訪問者」を「見込み客」に転換するためのHubSpotの機能は以下のとおりです。
Calls-to-Action(CTA) - CTAとは、サイト訪問者にebookやホワイトペーパーのダウンロードなどのアクションを促すボタンやリンクを指します。サイト内にCTAの掲載数が少ない、デザインが魅力的でない、場所が見つけにくいなどの理由でクリックされない場合、見込み客の獲得は難しくなりますので注意が必要です。
ランディングページ – ランディングページとは、サイト訪問者がCTAボタン(リンク)をクリックした先にあるページのことで、ebookやホワイトペーパーなどのオファーを提供するページです。ここでオファーと引き換えに訪問者の連絡先や個人情報をフォームに入力してもらうことで、見込み客の獲得ができるのです。
フォーム – フォームは訪問者を見込み客へ変換させるために大変重要な要素です。なるべく簡単に入力できるようフォームの項目を最適化して、より多くの見込み客を獲得しましょう。
コンタクト – 集めた見込み客情報(名前、企業名、メールアドレスなど)をマーケティングデータベースで一元管理し、トラッキングします。そうすることでEメール、ランディングページ、ソーシャルメディア上での見込み客の行動把握やそれに合わせたコミュニケーションを見える化し、より効果的なマーケティング施策が可能になります。
「CLOSE(顧客化する)」は、いよいよ見込み客を顧客へと転換するステップです。
このステップでは、サイト内での行動情報を参照しながら、個々の見込み客のニーズに合った最適なコンテンツの提供を通して、購買意欲を高めていきます。マーケティングチームは顧客の購買意欲が一定基準にまで達した優良な見込み客(MQL=Marketing Qualified Leads)を営業に引き継ぎ、よりパーソナライズされた対応によって顧客化を目指します。
見込み客を顧客へと転換する、クロージングするために役立つHubSpotの機能は以下のものがあります。
リードスコアリング – HubSpotでは見込み客(リード)に対して、所属部署、役職などの属性情報や自社への関心の強さ、購買意欲を示すWebサイト上の行動データを自動で数値化することが可能です。見込み客が購買プロセスのどのステージにいるかを判断して、個々の対応を行ったり、場合によっては営業マンへの引渡しを検討する際に非常に有用な機能です。
Eメール –サイト訪問者がフォームに個人情報を入力しホワイトペーパーをダウンロードしても、すぐに顧客になるわけではありません。まだ顧客になる段階ではない見込み客に対しては、関連性の高い有益なコンテンツにフォーカスした継続的なメール配信を通じて、信頼関係を構築するとともに購入の意向を高めていきます。
マーケティングオートメーション - 見込み客をナーチャリング(育成)するプロセスを自動化させる機能です。たとえば、あるホワイトペーパーをダウンロードした見込み客に対しては、その内容に関連したeBookやセミナー情報をメッセージを変えてメール配信するなど、ニーズや購入検討段階に合わせたコミュニケーションを自動的に行うことができます。
マーケティングから営業までの統合レポート - マーケティングチームが持つ有効な見込み客を獲得方法、営業チームの持つ効果的なクロージング方法など、お互いの持つ情報を統合することで、より効果的な見込み客育成(リードナーチャリング)のプロセスの構築が可能になります。
リードスコアリングについて詳しくはこちらをどうぞ
リードスコアリングを始める前に!押さえておきたいリードスコアリングの基本知識
Eメールマーケティングについて詳しくはこちらをどうぞ
目的によって使い分け!リード育成プロセスで使う3つのEメール手法
「DELIGHT(満足させる)」とは、自社の製品やサービスの購入者(顧客)を、推薦者(プロモーター)へと転換するステップです。インバウンドマーケティングでは、顧客になった人々に対しても関心の高いコンテンツを継続的に提供していきます。自社の製品・サービスへの満足度をさらに高めることで、アップセルを可能にしたり、他者への推薦者(プロモーター)となってもらう関係づくりを目指します。
「顧客」を満足させ、「推薦者」に転換するために使用するHubSpotの機能には以下のものがあります。
スマートCTA – HubSpotではバイヤーペルソナとライフサイクルステージに基づき、異なる顧客に対して、異なるCTA(オファー)を自動で表示することができます。
ソーシャルメディア - HubSpotでは、複数のソーシャルメディアへの投稿やソーシャルリスニングを一つの場所で行うことができます。ソーシャルメディア上のリアルタイムな顧客の声に耳を傾けることで、迅速にサービスを提供し顧客満足を上げられます。
Eメールとマーケティングオートメーション – 新しい製品や機能、導入事例の紹介など、顧客へ転換した後も、顧客が必要とするコンテンツの提供によって、バイヤーペルソナの課題解決や目標達成の継続的な手助けを行うことができます。
バイヤーペルソナについて詳しい解説はこちら
【サンプル有】ペルソナとは?インバウンドマーケティングの視点から解説
HubSpotが提唱するインバウンドマーケティング成功の4ステップ、いかがでしたでしょうか?
インバウンドマーケティングの全ステップで共通するのは、ターゲットであるバイヤーペルソナの課題や行動パターンに沿って、「役立つ、あるいは教育的なコンテンツ」を提供することが重要であると言えそうです。
自社サイトにターゲットユーザーを惹きつけ、見込み客を獲得し、顧客そして推薦者へと転換していくためのインバウンドマーケティングの考え方とその実現に特化したツールであるHubSpot。
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