これからインバウンドマーケティングを始める企業は、訪問者を増やし、フォームに情報を入力してもらい、新規見込み客(リード)をどれだけ獲得できるかが関心ある事だと思います。
しかしインバウンドマーケティングを進め、順調にリード獲得数が増えてくると、マーケティング担当者は、毎月営業に渡せるリードがその中のごく一部でしかないことに気づきます。
リードによって受注確度がバラバラなのです。
そこで多くのマーケティング担当者が質の高いリードを抽出するためのリードスコアリングの導入をするべきだという結論にいたります。
今記事ではリードスコアリングを導入する際に、ポイントとなる指標、目的や効果などをまとめました。
リードスコアリングとは、相手の属性や行動から、どの程度の購買意欲があるか、リードにポイント(点数)を割り当てることを言います。リードに採点基準を設けることにより、セールスチームとマーケティングチームは適切にリードを分類し優先順位付けを行うことで、効率良くアプローチすることができます。
リードスコアリングの基本は、このブログ内の
「リードスコアリングを始める前に!押さえておきたいリードスコアリングの基本」で紹介しております。合わせてご覧ください。
スコアリングを行う際の手順は数多くありますが、ここでは高度過ぎず安直過ぎないおすすめの方法をご紹介いたします。
*高度なスコアリングとして、ロジスティック回帰分析を使用する手法(データマイニング)もありますが、今回はマーケティングオートメーションにおけるリードスコアリングついて説明します。
まずは現状の分析からです。
「集めたリードのうち顧客化した数」を「獲得した全リード数」で割って算出を行います。
公式
(顧客化した数)÷(新規リード獲得数) = (全体のCVR)
例
50 ÷ 1000 = 5%
属性と行動履歴を要素として、営業チームへのヒアリングや分析レポートからポイントになりそうなものを選別します。
例としては、
などがあげられます。
これらの要素を選別するには前述の通りヒアリングや分析レポートを鑑みて行いますが、個人の裁量が大きいので、この作業を行う人の人数が複数人いれば、複数の異なるモデルになっても問題ありません。
ステップ②で作成した要素に該当するコンタクトをそれぞれグループ化し、グループごとのコンバージョン率を計算します。
公式
(各グループの顧客化した数) ÷ (各グループの新規リード獲得数) = (各グループのCVR)
例
グループ①「無料トライアルのリクエスト」
50 ÷ 200 = 25%
グループ②「製造業界」
10 ÷ 100 = 10%
グループ③「印刷業界」
3 ÷ 60 = 5%
グループ④「化粧品業界」
2 ÷ 80 = 2.5%
グループ⑤「従業員数50人以下」
60 ÷ 500 =12%
全体と各グループのコンバージョン率を比較し、大幅にコンバージョン率の高いグループを探します。スコアリングのためのポイントを割り当てる要素とポイント数を決定します。
割り当てるポイント数はコンバージョン率に応じて決めてください。
ポイント数はどうしても恣意的になってしまう部分があると思いますが、次の例のように、できるだけ一貫性を持たせるよう意識しましょう。
今回例として、前述したデータをもとに以下を設定してみます。ステップ①で算出した全体のコンバージョン率が5%で、ステップ③で算出した「無料トライアルをリクエストした」グループのコンバージョン率が25%です。
「無料トライアルをリクエスト」グループは、全体のコンバージョン率の5倍だということになります。
そのため、この要素を持つリードに5ポイントを加算するということが考えられます。
公式
(各グループのCVR) ÷ (全体のCVR) = (比率)
(比率) ÷ 100 = 倍数
要素のスコア値
例
グループ①「無料トライアルのリクエスト」
25% ÷ 5% = 500%
5倍なので +5点
グループ②「製造業界」
10% ÷ 5% = 200%
2倍なので +2点
グループ③「印刷業界」
5% ÷ 5% = 100%
1倍なので +-0点
グループ④「化粧品業界」
2.5% ÷ 5% = 50%
0.5倍なので -2点
グループ⑤「従業員数50人以下」
12% ÷ 5% = 240%
2.4倍なので +2点(四捨五入)
スコアリングを設定するポイントは以上です。
以下からは、スコアリングで考えるべきデータをご紹介します。
加点減点するべき項目選びに迷ってしまったり、それぞれの種類の情報からわかる事柄を詳しく知りたい方は下記を参考にしてください。
または上記の公式を当てはめて計算するにはリード数が足りない方も、是非一読ください。
前述した基本のスコアリングの流れを実践する際に、特に考えるべきデータの種類を記していきます。これらの項目についてグループ化し、上記の公式に当てはめ加点減点をしていくことでより精度の高いスコアリングができるようになるでしょう。
また、リード数が少なく、まだ公式に当てはめるには至らない状況であれば、これらの内容を元に、ある程度マーケターの主観で要素のポイント数を仮置きして、実績が出てきたときに整合性をとっていきましょう。
デモグラフィックは人口統計学的属性、つまり性別、年齢、住んでいる地域、所得、職業、学歴、家族構成など、その人のもつ社会経済的な特質データのことを言います。
あなたのビジネスの理想的な顧客像(ペルソナ)を作成する段階で、例えば「幼い子供を持つ保護者」や「企業の最高情報責任者」などといった、デモグラフィック情報を持つ特定のターゲットを描けているはずです。
ランディングページ上のフォームでデモグラフィック情報を収集するようにしましょう。
リードが入力した情報によって、そのリードがあなたのターゲットオーディエンスにどの程度当てはまるのかを知ることができます。
またターゲットに当てはまらないリードのスコアを減点すれば、見込みの低いリードを営業チームの営業案件から外すことができます。
例えば、あなたのビジネスが特定のエリアのみを対象としているのであれば、そのエリア(市町村、都道府県、郵便番号、国など)ではないリードに対しては、マイナスポイントを付けることが考えられます。
BtoBビジネスでは多くの場合、企業のサイズや種類や業界といったセグメントで特に注力しているターゲットをお持ちであるかと思います。こうした情報もランディングページのフォームで収集しましょう。
ポイントの加算と減算の考え方はデモグラフィック情報と同じです。
ユーザーがWebサイトの中でどのような行動を取ったか追跡することで、購買意欲の高さを推測することができます。
過去にリードから顧客となったコンタクトは、
資料ダウンロードについてはあらかじめ資料をTOFU、MOFU、BOFUと分けて作成することで、数や興味だけでなく質も考慮することができます。
また、サイトページの閲覧でも同様に、トップページに訪れるよりも「料金ページやサービス詳細ページ」の方が価値が高いと判断し、高ポイントを付けられます。
まとめると、
高く設定する | 低く設定する | |
資料ダウンロード |
・ダウンロード数が多い |
・ダウンロードが少ない |
ウェブサイト閲覧 |
・閲覧ページが多い |
・閲覧ページが少ない ・トップページなどの閲覧がほとんど |
行動情報からのスコアも積み上がるだけでなく、もちろん減点の要素もあります。
特に時間が経つにつれ行動が変化していったリードの場合です。
Webサイトを閲覧したり資料をダウンロードしていても、パタリと行動が止まってしまって時間が経過したリードは、関心がなくなってしまっていることが予想できます。
よって、一定期間ウェブサイトを閲覧しなかったリードからはポイントを減算しましょう。その期間を10日にするか、30日にするか、はたまた90日にするかは、そのビジネスの営業サイクルによって変わってきます。
Eメールのスコアリングは、ユーザーが受診しているメールだけで判断するには不十分です。
メールスコアリングのポイントは、
といったところでしょう。
例えば、
とあればエンゲージメントの高いリードだと判断できるでしょう。
提供するサービスや商品にもよりますが、SNSにおけるブランドへのエンゲージメントを見ることでも、リードの関心がどの程度かを測ることができます。
「あなたのツイートやFacebookの投稿をクリックしている。」
「リツイートや共有をしている。」
上記の行動回数に着目します。
ターゲットとしている購買層がSNSでアクティブな層であれば、一定のフォロワーを持つリードに追加ポイントを付けることを検討するのも良いでしょう。
フォームの内容からスパムとわかる情報もあります。
システムが機械的に判断できる設定を行い、マイナスポイントを付与しましょう。
BtoBのビジネスであれば、Gmail等のフリーメールを使っているリードからポイントを減算することも検討しましょう。
例えば下記のようなフォーム情報です。
例)
・xxxxx@gmail.com → フリーメール
・12345@yahoo.com → 数字の連続
・qwerty@hotmail.com → キーボード上で連続する文字列