「マーケティング活動に思うような成果が出ない」とお悩みではありませんか?多くの企業が直面するこの課題には、実は共通の要因が隠れています。
今回は、マーケティング活動がうまくいかない根本的な理由とその要因を分析し、改善すべきポイントをご紹介します。後編の記事では、実際のよくある失敗事例とその具体的な解決策をご紹介します。自社のマーケティング活動を客観的に見直し、効果的な戦略を立てるためのヒントとしてお役立ていただければ幸いです。
本記事は、2024年11月12日ウェビナーで配信した内容をブログ化しております。
動画でご視聴されたい方向けに、本ウェビナーのアーカイブ動画もご用意しておりますので、ぜひご視聴ください。
マーケティングの成果が出ていないと感じる主な理由
マーケティングに取り組んでいるものの、なぜか成果が出てないと感じる理由にはいくつかありますが、その中でも特に重要なポイントは2点であると考えます。
- マーケティングのゴールが曖昧であること
- 営業部門に渡したリードが活用されていないこと
まず、ゴールが曖昧な場合、マーケティングの取り組みが成果につながっているか、「何を達成したのか」が明確になりません。結果、単なる業務報告にとどまってしまい、成果も評価できません。
また、営業に渡したリードが活用されないケースもよくあるのではないでしょうか。
マーケティングチームが品質の良いリードを提供しても、営業側が適切にアプローチしてくれなければ商談や成約につながりません。営業とマーケティングチームの連携が不十分なためにリードが放置され、成果につながらないだけでなく、その間に競合へと流れてしまう危険すらあります。
それぞれの課題を掘り下げながら、対策について解説いたします。
マーケティングのゴールが曖昧で成果を実感できない
まず、大前提として成果を感じるためには、何らかのゴールを決めておく必要があります。
ゴールがなければ、自分がゴールに到達したのか、あるいはまだ到達していない場合でも、あとどれくらいで到達できそうかを把握することができなくなります。
つまり、マーケティング活動のゴールが曖昧だと、成果を実感しづらいという問題です。
これは、マーケティング活動には考えるべきこと、やるべきことが非常に多いという背景もあるでしょう。マーケティング業務としては、コンテンツ作成・メール配信・展示会への出展・ダイレクトメールの送付、広告の出稿など、多岐にわたります。
また、それぞれの業務を実施するだけでなく、実施後の分析やレポート作成も必要です。さらに、その分析結果をもとに改善策を検討し、実際に試していくというプロセスを繰り返し進めていくことになります。これらの業務は継続的かつ長期的におこなう必要があるため、「プロジェクトが終了した」といった明確な区切りが感じづらくなる側面もあると思います。
そもそもマーケティングの目的を考え直してみると、営業担当者の方に見込み客を引き渡すこと、つまり商談を発生させることと言えるでしょう。
しかし、1年間で何件の商談を発生させる必要があるのか、またそれを月ごとに分けた場合、1カ月に何件必要なのか、具体的な数字を決めきれていないケースもあると思います。
その結果、「熱心な取り組み、頑張っている点」をアピールしたくても、具体的な成果を語れず、「こんな作業を頑張りました」という活動内容しか報告できません。
このように、実際にどんな結果が生まれたのかが不明瞭なままになり、成果を評価する側も評価される側も難しい状況になってしまうのも、よくあるパターンかと思います。
とはいえ、マーケティング部門の業務としては、商談を生み出すことが重要な役割です。
商談が発生した後は、営業担当者の方がその商談を進め、受注・納品を経て初めて売上につながります。
このビジネスの流れを正しく把握し、マーケティング活動が最終的な売上にどのように貢献したのかを明確にしないと、成果が出たかどうかを正確に判断できない状況に陥ります。
対策:マーケティング活動のゴールを明確にする
対策として、マーケティング活動のゴールである「商談創出」を、明確な数値で設定することが大切です。
具体的には、1年間で何件の商談を生み出す必要があるのかを決め、その数字をもとに「毎月何件商談を生み出せば年間目標を達成できるか」を計画する必要があります。
ただし、月ごとに見込み客の状況変化を考慮する必要があります。たとえば、予算を立てる時期や取引先を探す時期、最終的な決定をおこなう時期や納品時期など、それぞれのタイミングがあります。これらのタイミングに合わせて、どの時期にどれくらいの商談を生むべきかを考えながら、商談創出数を計画していくのが理想的です。
特に、商談を生み出しにくい時期もありますね。予算を立てている時期は、まだ情報収集の段階で、「この要件だと予算はいくらくらいかかるだろう」といった大まかな検討をしている状態です。この段階では商談を具体的に進めるのは難しく、こうした時期には商談目標数を控えめに設定するのが現実的でしょう。
ただし、営業側がその段階の商談も必要としている場合もあります。そのため、マーケティング部門は営業チームと連携し、どのような商談が必要かを確認した上で、月ごとの計画を調整しながら商談数を設定していくのが望ましいと思います。
営業に渡したリードが活用されず、成果につながらない
2つ目は、営業に見込み客を共有しても、商談につながらず活用されないケースです。
マーケティング側では、ペルソナやバイヤージャーニーに基づいて施策を設計し、商談対象となる見込み客を営業に渡しているにもかかわらず、営業がそれを積極的に活用せず、結果として商談が進まない状況に陥ることがあります。このような場合、マーケティング活動が営業の役に立っているのか分からなくなってしまいます。
もちろん、ワークショップなどでペルソナやバイヤージャーニーを作成し、それに基づいてマーケティング施策を実施することは重要です。その際に、営業担当者にも参加してもらいながら方向性を決めることも正しいアプローチと言えます。
しかし、それを施策に活用して生み出した見込み客や商談が、営業が求めているものと一致しているかどうかは、実際にやってみなければ分からないという現実もあります。
営業担当者は、マーケティングの専門家であることが少ないのが現実です。
実際に、ワークショップで仮想のペルソナやバイヤージャーニーを一緒に作り、それに基づいて商談や見込み客を生み出した後、営業担当者が実際に営業活動をおこなう際に「このターゲットで本当にいいのか?」という疑問が出る場合もあります。
こうした場合、しっかりと営業から具体的な情報やフィードバックを得ることが重要です。そこから、ペルソナや施策を見直し、必要に応じて修正や再構築をおこなう必要があるでしょう。
実際に創出した見込み客が営業の要望に合っているかどうかは非常に重要なポイントです。しかし、それを確認するためには、見込み客を営業に共有し、営業がその方と商談を行い、その結果がどうだったかをフィードバックとして得なければ判断できません。
対策:マーケティングのゴールと前提条件について営業と合意する
営業担当者は、必ずしもマーケティングの専門家ではないことが多いため、ペルソナやバイヤージャーニーを作成するワークショップの際に、必要な情報を正確に共有できていない場合もあると思います。
一方で、マーケティング側は専門知識がある分、「これが正しいはず」と考えて進めてしまうことがありますが、実際の営業現場では状況が異なることもよくあります。
こうしたギャップが生じないよう、お互いに注意深く状況を観察し、しっかりと考えながら進めることが重要だと感じています。
マーケティング活動のゴールと前提条件、2つの視点で対策しましょう。
・営業や自社目標をふまえたマーケティング活動の「ゴール」を意識
まず、マーケティング部門は、創出した商談を営業に引き渡した数だけを見るのではなく、その商談の成果まで想定するとよいでしょう。例えば、商談の受注率はどのくらいか、そして1件の商談がどの程度の売上につながるかといった点です。
これらの数字は、営業チームの平均的な受注率や売上金額をもとに設定することができます。また、マーケティング部門から営業に引き渡した見込み客がすでにいる場合は、その実績を参考に設定するのも有効です。
ただし、一度決めた数字がずっと変わらないわけではありません。受注率や単価は変動するため、定期的に営業の方と情報共有しながら指標を見直し、更新していくことが大切です。このプロセスを繰り返すことで、より現実に即した目標や計画を立てることができるようになります。
大切なのは、営業とマーケティングの間で共通の認識を持つための場をしっかり設けることです。受注率や売上金額の目標を設定した後、商談を営業に引き渡しますが、実際にマーケティング活動を進める中で、想定と結果に乖離があることも間々あります。
営業からのフィードバックを定期的に得られる仕組みを整えておけば、マーケティング活動や見込み客の条件について軌道修正をおこなうことができ、その結果、価値がある見込み客を営業へ渡すことができるようになっていきます。
関連記事:【図解】KPIとは?意味や具体例、設定方法を簡単にわかりやすく解説
・マーケティング活動で追うべき「前提条件」を営業部門と合意する
もう一つは、前提条件の認識のずれです。
リードが活用されない背景には、マーケティング側と営業側で「理想とする見込み客像」がずれていることも考えられます。そのずれを解消するために、双方が納得できる見込み客の条件を明確にし、共有するプロセスが必要です。
そのためには、営業側が求める見込み客の条件をしっかりヒアリングし、これまで引き渡した見込み客や商談について評価を聞くことが重要です。具体的に「良かった点」や「悪かった点」、特に改善が必要な部分を営業から詳しく聞き出し、役に立つ見込み客を創出できるよう議論を重ねる必要があります。
こうしたコミュニケーションを通じて、マーケティングと営業の認識のズレを解消し、より効果的な見込み客を生み出す仕組みを構築することが大切です。
マーケティング・商談・受注までの基本プロセス
ここまで、マーケティング活動の成果が出ていない理由と対策についてお話ししてきましたが、改めて基本に立ち返り、マーケティング活動から受注までのプロセスを整理してみましょう。
マーケティングチームが担う4つのステージ
マーケティングチームの業務範囲は、一般的に以下の4つのステージに分かれます。
ここではシンプルにするため、インサイドセールスの部分は省略していますが、実施している場合はマーケティングと営業の間で実施すると考えていただければと思います。
こちらの図では、4つのステージにおいてそれぞれ、マーケティング担当者がやるべきこと、考えるべきこと、そして見込み客が考えること、行動することをプロットしております。
1.マーケティング戦略立案
「誰に・何を・どのように提供するか」を設計する段階です。市場調査、競合分析、強み・弱みの分析、ターゲット選定、目標設定、施策設計などを行い、マーケティング活動の基盤を作ります。
2.見込み客の獲得
まだ接点のないユーザーとつながるための施策を実施します。具体的には、広告、メディア出稿、展示会などを活用し、見込み客との最初の接点を作ります。
関連記事:リード獲得とは?BtoBで見込み客を増やす効果的な施策の選び方
3.見込み客の育成
接点ができたユーザーを商談対象とするかどうか判定をおこないます。商談対象であればニーズがありそうな情報を提供し、フォーム送信などのアクションを促します。
4.見込み客の抽出
商談につながる可能性の高い見込み客を選定し、営業に引き渡します。抽出の基準はさまざまですが、見積もり依頼やお問い合わせフォームの送信などは明確に商談対象であるといえます。
その後、ステージ5で営業チームが商談を行い、成約へと進めることで一連の流れが完結します。
ここまで基本の流れを整理しましたが、冒頭でお伝えした「マーケティングの成果が出ていないと感じる理由」を照らし合わせると、下記の図のようになります。
関連記事:BtoBマーケティングの基本プロセス:効果的な戦略立案・手法まで全体像を解説
マーケティング成果が見えにくいと感じる3つの原因と対策
マーケティングの成果が見えにくいと感じる主な原因は、次の3つです。
-
営業へ引き渡す見込み客の目標件数
-
営業活動後のフィードバック(商談の質)
-
成約後の売上に関するフィードバック
多くの場合、マーケティングの業務範囲が「見込み客の引き渡し」で終わってしまい、その後の商談や成約の状況が見えていないことが、成果を実感しにくい要因だと、おわかりいただけるかと思います。
すでに、マーケティングをしっかりと実践されている方の中には、「その部分はすでに取り組んでいる」「他にも課題がある」と感じる方もいるかもしれません。
今回は、各ステージの原因と対策を詳しく解説することは難しいため、省略させていただきますが、課題を特定する方法としては、マーケティングの最終ステージ(ゴール)から遡って原因を探るのが有効です。
関連記事:BtoBマーケティングの基本プロセス:効果的な戦略立案・手法まで全体像を解説
具体的には、次のような点を確認してみてください。
-
各ステージでどのような施策を実施しているか
- 不足している施策がないか
- 施策の目標と結果の違い、その理由
これらを一つずつ検証し、改善を重ねることで、課題の本質が見えてくるはずです。
施策ごとに分析を重ねて「2.見込み客の獲得」まで遡っていっても、課題が明確にならないという場合もあるかもしれません。
その場合は、「1.マーケティング戦略立案」に課題がある可能性が高いです。ペルソナやバイヤージャーニーまで遡り、理想のお客様像を改めて見直すことをおすすめします。
「そもそも理想のお客様はどのような人物」か、「その顧客が課題を抱えたとき、どのように考え、どのような行動をとるのか」。これらを再検討し、戦略を見直すことで、より効果的なマーケティング施策が見えてくるはずです。
関連記事:【テンプレ付】BtoBペルソナの作り方とは?注意点と活用メリットを解説
関連記事:バイヤージャーニーの基本と作成方法を解説!BtoBマーケに欠かせない理由とは
後編の記事では、実際の事例をもとに、マーケティング活動におけるよくある失敗と要因分析・改善アプローチをご紹介します。
後編記事はこちら
まとめ
マーケティング活動の成果を実感しにくい、具体的な原因や対策は、企業さまのマーケティング活動状況や市場環境、競合の動きによって異なり、一概に断言することは難しい部分もあります。
実際の事例や解決策も含めて詳しく話を聞きたい、一緒に考えてほしいといったご要望があれば、是非お気軽にご連絡ください。