「サイトリニューアルするからには成果を出したいけど、具体的にどうすればいいの?」「初めて担当するので、進め方がわからない…」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
今回は、数々のWebサイトリニューアル案件に携わってきたタービン・インタラクティブの経験をもとに、リニューアルを検討されている方に向けて、「期待した成果を出すためのWebサイトリニューアルの進め方」を解説します。
本記事は、2024年7月23日ウェビナーで配信した内容をブログ化しております。
動画でご視聴されたい方向けに、本ウェビナーのアーカイブ動画もご用意しておりますので、ぜひご視聴ください。
期待した成果を出すためのWebサイトリニューアルとは?そもそも何?
今回のテーマ「期待した成果を出すためのWebサイトリニューアル」ですが、「期待した成果」とは、そもそも何でしょうか?
この章では、この「期待した成果」について、掘り下げて考えていきます。
「期待した成果」とは?
かなり抽象的に感じられるかもしれません。
弊社にお問い合わせいただくWebサイトのリニューアルをご検討中のお客様の中にも、ヒアリングを重ねていくと「会社としてはやらなければならないことだから、とにかく進める」という状況の方が多くいらっしゃいます。
しかし、Webサイトのリニューアルには、仮にすべて自社内で対応できる場合でも、企画から制作まで作業分の人件費はかかりますし、弊社のような支援会社に委託する場合には、直接的な費用も必要です。そのため、かけた費用に対して、何らかの成果がでなければ無駄な投資になってしまう可能性があります。
その上で「期待した成果」
これは何を意味しているのでしょうか。
そもそも「期待した成果」というものは、人によって、担当している業務によって、責任によって、内容や範囲・捉え方が変わります。
例えば、企業サイトのWebサイト運営者の場合は
- Webサイトへの訪問者数が増えること
- 更新作業が楽になること
- ミスなく更新ができること
営業担当者の場合であれば
- 製品情報やサービス内容が詳細に掲載されていること
- Webサイトからの問い合わせの成約率が低いので、成約率の高い問い合わせが増えること
経営企画や営業企画の担当者の場合は
- Webサイトからの問い合わせで売上が年間1億円増えること
- 競合他社と比べて、企業価値が高い企業だと思われる状態になること
広報・IRの担当者の場合は
- 株主・投資家に対して迅速かつ公平な情報開示が手間をかけずにできること
- 個人投資家の数が増えること
採用担当者の場合は
- 新卒の応募人数が増えること
- 中途の人材紹介会社経由ではない直接応募が増えること
このように会社や立場・役割によって、「期待した成果」は大きく違います。
Webサイトリニューアルをする理由を明確にする
そこで改めて考える必要があるのは、Webサイトリニューアルをした結果、「何」を「どうしたい」のか?ということです。
前述のとおり、「期待する成果」は立場や役割によって異なるため、「何」を「どうしたいのか」を明確にしなければ、「期待した成果」が出せたかどうかがわからなくなってしまいます。
とはいえ、これは会社視点のお話です。
あなたが、あなたの会社が、「こうしたい」と思っているだけです。
Webサイトで「誰」に「何をしてほしい」のか
Webサイトリニューアルを計画する際に、本来考えなければならないのは「誰」に「何をしてほしい」のかです。ここでの「誰」は、Webサイト訪問者のことを指します。
しかし、Webサイト訪問者は多種多様です。さまざまな人が、さまざまな目的や状況、タイミングでWebサイトを訪れます。
多種多様なWebサイト訪問者に対して、次にどのような行動を促したいのかを明確に考える必要があります。そうしなければ、情報を発信する意味が薄れてしまいます。
もし、訪問者がWebサイトの内容を見て「ふうん……」と呟くだけでサイトを閉じてしまったら、どれだけ長く閲覧されたとしても、何の成果にもつながりません。
Webサイトリニューアルで「あなた」は「何をしたい」のか
とはいえ、Webサイト訪問者のことは当然考えつつも、「あなた」は「何をしたいのか」については明確にしておかなければなりません。
会社の方針や業務内容・立場など、さまざまな部署の人がそれぞれの考えのもとで意見が挙がることも予想できます。
しかし、Webサイトリニューアルを担当し、最終的に任されているのは「あなた」で、やらなければならないのも「あなた」です。周囲の意見も大切ですが、「あなた」が「何をしたい」のかについても明確にしておきましょう。
周囲の意見に振り回された結果、「期待した成果につながらないWebサイトリニューアル」という誰も望んでいない結末にはなりたくありませんよね。
Webサイトリニューアルで解決したい「課題」は何か
少し話を戻すと、「期待する成果」を得るには、前提として「課題」が存在しているはずです。課題があり、それを解決することで成果が得られる、という構造です。
もし課題が存在しないのであれば、すでに成果が出ているはずで、改めて成果を期待する必要もありません。つまり、期待する成果を得るためには、課題を明確にし、その課題に対する具体的な対策を講じることが重要です。
次の章では、課題をどのように明確化し、解決していくかについて、さらに深掘りして考えていきます。
期待する成果を出すために考えるべきポイント
この章では、「期待した成果」を出すために、課題に対してどのようなポイントをしっかり考える必要があるかについて、掘り下げていきます。
5W2Hで課題を整理する
課題にも多様な種類があると思いますが、わかりやすくするために「5W2H」で整理するのがおすすめです。
5W2Hとは、What、Who、Why、When、Where、How、How much の頭文字です。
この各項目を、具体的に「課題を解決する」という軸に沿って言語化しましょう。
このままでは、とても抽象的ですので「期待した成果を出すためのWebサイトリニューアル」を目指すために、具体的にやるべきこと・考えるべきことに落とし込んで考えていきます。
「現状」と「ステークホルダー」の理解を深める
Webサイトリニューアルで「成果を出す」という軸で考えると、大きくは「現状」と「ステークホルダー」の理解を深めるところまでさかのぼります。
まず、上段の「現状理解」についてです。現在の状況を正確に把握するために、自社および他社の分析を行います。
次に、下段の「ステークホルダーの理解」です。ステークホルダーとは、今回のWebサイトリニューアルに関わる「すべての利害関係者」を指します。
Webサイトに関わる関係者は社内外に多岐にわたるため、それぞれの人に対して「何を伝えるべきか」を明確にすることが重要です。
この2点を押さえた上で、目指すべきゴール、つまり「生み出すべき成果」とは何なのかを検討・決定し、その成果を達成するために必要な対応策を考えます。そして、具体的な実施事項として「やるべきこと」「作るべきもの」を決めていきます。
なお、資料の都合上、現状理解とステークホルダーの理解を上下に分けて記載していますが、さまざまな要素が絡み合うものなので、全体を把握した上で、広い視点から理解・検討をしていただければと思います。
では次に、考えるべきポイントの重要な部分を順番にご紹介していきたいと思います。
・現状理解
まず、「現状理解」です。現状理解は、「What」「Who」「Why」の部分が主に関係します。ここでは、よく利用する自社分析・競合分析のフレームワークである「3C分析」と「SWOT分析」についてご紹介します。
・3C分析
3C分析とは、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つのCを軸に、市場環境を分析するフレームワークです。
この分析をおこなう際は、理想を書くのではなく、正直な現在の状況に基づいて記入していくことが大切です。
また、各項目とも「お客様の声」と「自社の感覚」という2種類の視点から分析することがおすすめです。視点が違うことによって、感じ方も変わってきますので、課題や対策を考えるときに役立つ情報が得られます。
さて、各項目の中身を見てみましょう。
顧客(Customer)では、顧客のターゲット層、行動、感情、満足度、リピート度、など、顧客の分類と行動を中心に、現状を書き出していきます。
次に競合(Competitor)です。
競合となる会社や商品・製品は何か、強みは何かを書き出していきます。
強みについては、例えば、製品やサービスの品質、価格、マーケティング戦略、営業戦略、販売戦略、顧客満足度などが指標になります。
そして最後に「自社(Company)」です。
自社の製品、サービス、他社との差別化ポイントや強みは何か、お客様が選んでくれる理由などを明確にしていきます。
・SWOT分析
続いて「SWOT分析」です。
SWOT分析は、特に自社に絞って、内部環境と外部環境の2軸で、強み・弱み・機会・脅威の4項目に分類して分析する手法で、経営戦略を立てるためのフレームワークとしてよく使われています。
まず、内部環境から見ていきましょう。内部環境は、自社の社内のことを考える項目です。
強みの部分は、他社と比べて優れていることを書き出します。
例えば、製品やサービスに関することであれば、品質の高さや、知名度の高さ、安さといった点が挙げられます。
また、人材面で熟練のスタッフが多数在籍していたり、管理体制や交代制での効率の良いスタッフマネジメントなども、強みのポイントとして挙げられると思います。
弱みは、強みとは反対にマイナス面を書き出していきます。
他社と比べて製品やサービス品質が低かったり、金額が高かったり、営業所や店舗が少ないといった点が挙げられます。
次に外部環境です。
競合他社や市場全体、経済全体、また、経済を取り巻く法律や制度、仕組みなど、広い範囲で見ていきましょう。
機会についてですが、成長産業への新規参入や、昨今よく言われるデジタル化、デジタルトランスフォーメーションなど、時代の波に乗ったり新しいチャンスを切り開く要素を探すと考えやすいかと思います。
次に脅威です。
例えば「競合他社が自社と似たような商品を格安で販売している」や「近隣にライバル店が出店している」、他には「これまでのお得意様から急に注文が来なくなったと思ったら、別の会社に乗り換えられていた」などが当てはまります。
どれも自社にとってはつらい状況で、且つ、自社の努力では改善・排除が困難なものだと思いますが、現状を正しく理解するためにも、冷静に書き出してみましょう。
今回ご紹介した、「3C分析」「SWOT分析」をおこなうことで、自社および競合の現状を大まかに把握し、目指すべきゴールを考えるための基礎にしていきましょう。
「目指すべきゴール」の理解を深める
では次に、「目指すべきゴール」についてです。
目指すべきゴールについては、「What」「Where」「How」の部分が主に関係してきます。
「マッターホルンの頂上まで登りますか? 麓の山小屋でランチしますか?」
この質問に対して、
「マッターホルンの山頂まで自力で登ること」をゴールに定めるのであれば、頂上までどのようにして登るか、そしていかにして降りてくるか、という点にフォーカスして考えれば良いと思います。
しかし、「アルプスの雰囲気を感じながらランチを楽しみたい」をゴールとして定めるのであれば、わざわざ山頂まで登る必要はありませんし、仮に「山頂からの景色を楽しみながら」という条件が付いたとしても、山頂まで行く方法はヘリコプターでも、誰かに運んでもらうでも……(運んでもらえるのかはわかりませんが……笑)いい訳です。
さまざまな方法の中から、安全面や金額面、難易度等の条件に基づいて選択肢を決定することができます。
急に突拍子も無い質問を例題として投げかけてしまいましたが、ここで重要なのは、どこで何をすることがゴールなのかということを明確にすることです。
達成したいこと、目指すべきゴールは、具体的にはどういうものなのかを、しっかり考えて設定しましょう。
大事なポイントは3つになります。
- 今どこにいて、目的地はどこなのか
- 目的地では何をするのか
- 目的地にはどのようなルートでたどり着くのか
Webサイトリニューアルの目的地と現在地
では、具体的に「Webサイトリニューアルの目指すべきゴール」にたどり着くための方法・作戦を考えるための例をご紹介します。
左側の現在地の部分には、現状思っていることや感じている課題などが入ります。デザインが古いことや、セキュリティ対策ができていないなどです。
これに対して、右側の目的地では問題が解決できていて、Happyな状態のものが入ります。
最新のデザイントレンドを採用したWebサイトになっていることだったり、セキュリティ対策が定期的に実施できるなどがあります。
この現在地と目的地、よくAs-Is / To-Beと言われますね。こちらを明確にすると「Webサイトリニューアルを考えていたけれど、ゴールにたどり着くには違う方法の方が良いのではないか?今の状態でもそこまで問題ではないのでは?」といった考えに行き着く可能性もあります。
どのゴールにたどり着くのかという根本的な部分から考え、最適な解決策を導き出せれば幸いです。
ステークホルダー
では次に「ステークホルダー」です。ステークホルダーは、「Who」にあたります。
Webサイトに関わるステークホルダーは、社内外に多く存在します。
一例ですが、こちらの画像をご覧いただければ、いかに多岐にわたるかがお分かりいただけると思います。もちろん、状況によってはここに記載されていないステークホルダーが含まれる場合もあるでしょう。
ステークホルダーとは「Webサイトリニューアルに関する利害関係者」ですので、Webサイトリニューアル全体に大きく関係してきます。
どのような人がいるか、彼らが何を考え、何を望んでいるのかを正しく理解することが大切です。
それぞれのステークホルダーが現在どのようにWebサイトに関わっているのか、リニューアル後にその関わり方がどのように変化するのか、また、どのような変化を望んでいるのかを理解しましょう。
サーバ・システム
次は、Webサイトを公開・運用するために必要な「サーバ・システム」です。
「Who」と「Where」が該当します。
まず、左側の「サーバ負荷」についてです。WebサーバはWebサイトを公開するために必要なものですが、ユーザーからのアクセスが増加するとその分サーバの負荷が高まります。アクセスが集中しすぎると、サーバが耐えきれず停止してしまう停止してしまう恐れもあります。
そのため、どれくらいのユーザーが訪れるのか、過去の実績や今後の見込みを想定して、どの程度の負荷に耐えられるサーバを用意するべきかを、考慮しておく必要があります。
次は右上の「CMS(Contents Management System)」です。
CMSは、Webサイト上のコンテンツ(テキストや画像など)の編集や、新しいお知らせページの作成など、Webサイト上のコンテンツを管理する仕組みです。
Webサイトの管理者にとっては頻繁に使用するツールなので、なるべく楽に管理ができることはもちろん、まだ下書き中のコンテンツを誤って公開してしまわないような機能が求められる場合もあります。
3つめは「セキュリティ」についてです。
つい最近も大企業のサーバがハッキングの被害にあい、個人情報が漏洩する事件が発生しています。このような事態が起きると、企業の信頼を損ねたり、ひいては企業価値の低下にもつながる恐れがあります。
そのためWebサイトを運営管理していく上で、セキュリティ対策は常に行っていかなければならない重要な課題です。
Webサイト訪問者、管理者、セキュリティ責任者など、それぞれが必要とする条件に対して、最適なサーバやシステムを選定し、どこにWebサイトを置くのが良いのかを検討することが大切です。
スケジュール
では次にスケジュールです。これは「When」にあたります。
スケジュールは成果を出すための指標として非常に重要です。細かく作れば良いのではなく、成果を出すための全体のスケジュール設計をしたうえで、詳細を詰めていくような作り方が良いと思います。
Webサイトはリニューアルして公開したら終わりではなく、公開してからが本番です。
リニューアル後に成果を出すためには、どのようなスケジュールが良いのかを考える必要があります。
全体の大きなステップとしては、次の3ステップに分類されます。
- 要件定義・戦略策定
- Webサイト構築
- 運用
1.要件定義・戦略策定
「要件定義・戦略策定」では目的や目標、ゴールを明確にしたうえで、作るべきもの、やるべき施策とはどのようなものかを決めていきます。
2.Webサイト構築
次に「Webサイト構築」です。
マーケティング機能を重視したWebサイトの場合は、マーケティングのために必要な機能なども同時に組み込んでいきます。
3.Webサイト構築
そして、最も重要なのが「運用」です。先ほどもお伝えしたとおり、Webサイトは構築して公開したら終わりではなく、公開してからが本番です。
情報は常に新しいものを発信していかなければなりませんし、発信している情報が成果を出しているか、調査分析し、成果が出ていない場合は、原因の調査や対策を行わなければなりません。
どのように運用していき、成果につなげるかを念頭においてスケジュールを考えましょう。
こちらのスケジュールは、先程の大まかなスケジュールのうち、STEP1〜2の部分を少し詳細化したものです。いつ頃どのような作業をするのか、そのうえで誰が何をいつまでにしなければならないのかを把握し、進めていきましょう。
予算・見積
次は、「予算・見積」についてです。これは「How much」に該当します。
Webサイトリニューアルにはさまざまな費用が掛かります。
全体として何年計画で成果につなげるのかを念頭に、その期間にかかる全体の費用を把握して、予算計画を立てるようにしましょう。
社内都合・優先順位
最後に「社内都合・優先順位」です。これは「What」「Why」「When」「How much」が該当しますが、ほぼ全てに通ずる部分があるかもしれません。
会社の置かれている状況によって、どうしても譲れない点や、それとは反対に後回しでも大丈夫といった部分が存在します。また、影響力の大きい部署の方からの意見の場合、やらざるを得ないという状況になることも多いと思います。
とはいえ、すべてのステークホルダーの要望や想いをすべてかなえることは、実質不可能なのが現実です。そのため、「目指すべきゴール、つまりは期待する成果」を基準に優先順位を決めましょう。ここの基準が変わってしまうと、「期待した成果」が出せなくなります。
優先順位の決め方としては、大きく4つに分類しています。
- 必須事項
- できれば期限内に達成したい
- 期限は決めていないが、達成したい
- やらなくても良い
上記4つに分類し、優先順位と期限を決めましょう。
関連記事:ホームページ(Webサイト)リニューアルの進め方と成功事例
Webサイトリニューアル失敗例の事例紹介
ここからは、私が実際に経験した「期待した成果を出すためのWebリニューアル」にならなかった失敗例をいくつかご紹介したいと思います。
失敗例1.社内ステークホルダーへの調整不足
1つ目の事例は「社内ステークホルダーへの調整不足」です。
状況
Webサイトリニューアルプロジェクトは順調に進んでいるように見えましたが、公開直前でお客様の社内承認を得る際に、「思っていたものと違う」という意見が出てしまいました。
原因
この問題の原因として、取引企業様のステークホルダーへの確認や承認のプロセスが十分に整理されていなかったという点が挙げられます。プロジェクトの重要な関係者に対して適切なタイミングで確認や承認を得ていなかったことが大きな要因となりました。
結果
結果として、サイトの設計やデザイン、コーディングをもう一度やり直しし、その影響でスケジュールの遅延や追加の費用が発生し、プロジェクト全体に大きな影響を与えてしまいました。
改善策
問題を防ぐためには、取引企業様の社内ステークホルダーの役割や承認プロセスを事前に明確に整理し、各段階で誰が何を確認・承認する必要があるのかをしっかり把握しておくことが重要です。
特に、プロジェクトの初期段階で重要な関係者を特定し、承認を得るタイミングを明確にしておくことで、同様のトラブルを未然に防ぐことができます。
この改善策を実施すれば、スムーズなプロジェクト進行とコストの削減が可能になります。
失敗例2.スケジュールの認識不足
2つ目の事例は「スケジュールの認識不足」です。
状況
Webサイトリニューアルプロジェクトにおいて、スケジュール管理の認識不足が原因で公開が遅れてしまう事例がありました。プロジェクトの全体スケジュールや詳細なタスクを示したガントチャートを作成し、定例会も実施していましたが、スケジュールどおりに進行しなかったのです。
原因
主な原因は、プロジェクトの進行状況やタスクの遅延が適切に共有・理解されていなかったことです。定例会ではスケジュールの確認を行っていましたが、「どのタスクが遅れているのか」「遅延がプロジェクト全体にどのような影響を与えるのか」といった重要なポイントが十分に説明・共有されていませんでした。
そのため、プロジェクトメンバーがスケジュールの重要性や遅延のリスクを正確に把握できていなかったのです。
結果
結果として、リニューアルは目標の日程までに完了せず、公開が遅延しました。さらに、運用開始も遅れたことで、期待していた成果が出るタイミングも遅れてしまいました。
改善策
このような問題を防ぐためには、定例会の際にスケジュールの進捗状況や遅延の有無を詳細に報告し、プロジェクトメンバー全員で共有・理解することが重要です。
具体的には、「誰が、どのタスクを、いつまでに完了させるべきか」を明確にし、各タスクの進捗を管理する仕組みを整える必要があります。このような改善をおこなうことで、プロジェクトの進行状況を常に把握し、遅延を最小限に抑えながらスムーズに進めることが可能となります。
失敗例3.スコープになかった追加要件
3つ目の事例は「当初スコープ外の追加要件」です。
状況
Webサイトリニューアルプロジェクトにおいて、当初予定していなかった要件が途中で追加され、進行に大きな影響を及ぼした事例があります。当初は日本語サイトのみをリニューアルする予定でしたが、プロジェクトの途中で「英語サイトも同時にリニューアルしたい」という要望が出てきました。
原因・結果
この変更の主な原因は、お客様の事情が途中で変わったことにあります。しかし、英語サイトの追加は、日本語サイトの単純な翻訳ではなく、日本語サイトをそのまま翻訳するのかや、どのコンテンツを英語化するのか、また誰がいつ翻訳をおこなうのかなどを検討する必要があり、これらの決定に時間がかかり、その結果、日本語サイトのリニューアルスケジュールにも遅れが生じてしまいました。
改善策
このような問題を防ぐためには、プロジェクトの初期段階で、全体のスコープや要件をしっかり計画し、明確にすることが重要です。
また、途中で要件変更が発生することも考慮し、その場合の影響範囲やリスクを事前に把握しておく必要があります。特に、追加要件がプロジェクト全体に与える影響を正確に評価し、関係者全員で共有することが欠かせません。
これにより、柔軟な対応が可能となり、スケジュールの遅延やコストの増加を最小限に抑えることができます。
まとめ
「期待した成果を出すためのWebサイトリニューアルの進め方」で重要なのは、「成果を出すために何をすべきか」を決めるために、現状とステークホルダーを正しく理解することです。この2つを正しく理解したうえで、目指すべきゴールや対応策を決め、具体的な行動を決めていきましょう。
さらに、ゴールや対応策、実施事項を検討する際には、多くの注意点があります。5W2H(Who, What, When, Where, Why, How, How much)の各項目を常に頭において、抜け漏れがないように進めていただければ幸いです。