現代のビジネスにおいて、Webサイトはオンライン行動が浸透したユーザーとの重要な接点です。ブランドイメージの形成や売上への寄与といった影響も大きく、企業の顔や窓口の役割も果たしています。Webサイトリニューアルはそのポテンシャルを最大限に引き出す絶好のチャンスといえますが、一方でリニューアル後に検索順位の低下や問い合わせが減少するなど、結果的に失敗に終わってしまう企業も少なくありません。
Webサイトリニューアルは、関わる人員も多く、時間とコストもかかる一大プロジェクトです。担当者として自社サイトをリニューアルするなら、絶対に失敗したくないですよね。
今回は、Webサイトリニューアルで陥りがちな失敗例や、成功させるためのポイントをご紹介します。
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目次
サイトリニューアルのよくある失敗例
サイトリニューアルが失敗しやすい理由
サイトリニューアルを失敗させない5つのポイント
サイトリニューアルを成功させるプロジェクトの進め方
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Webサイトリニューアルは時間、コスト、人員を多く費やすプロジェクトです。自社の売上を伸ばすためには欠かせないプロセスですが、デザインなど視覚的な部分に気を取られる、経営陣の好みを優先するなど本来の方針とは異なるところを重視してしまうケースもあります。
まずは、リニューアル後に判明しがちな3つの失敗例と原因をチェックしていきましょう。
Webサイトリニューアルでありがちな失敗の一つとして、サイトへの流入数減少があげられます。これはSEO対策が不充分であることが大きな原因です。
具体例でいえば、コンテンツの削減や変更をおこなう際に「なんとなく古いから」と気付かないうちに検索流入が多いコンテンツを削除してしまうことや、安易にドメインを変更してしまうことが原因にあります。
検索エンジンはWebサイトのコンテンツ数も評価の指標としており、コンテンツ数の減少がSEO評価の低下につながる可能性があります。削除する前には、必ず対象ページの流入数などを調査するようにし、迷ったら可能な限りコンテンツを残す方向で検討していくのがおすすめです。
また、ドメインを変更するとこれまで積み上げてきたSEO評価も全て白紙になってしまうため、それが検索順位の低下につながる可能性があります。
もしURLやドメインの変更をおこなう場合は、旧URLのSEO評価を引き継げるように「301リダイレクト」を設定しましょう。これを怠るとリニューアル前の評価を引き継ぐことができなくなってしまいます。
また、検索エンジンはユーザーの利便性を評価基準にしているため、アニメーションの多用でページの表示速度が遅い、スマートフォン閲覧に適していないなど、利便性が悪いと判断されれば表示順位が低下する可能性があります。
これまで蓄積してきた過去の資産をきちんと生かしながら、Webサイトの流入に寄与していたキーワードやコンテンツを押さえ、不足している部分は強化するなど対策をしましょう。適切なコンテンツ設計をおこなうのが流入数を減少させないポイントです。
お問い合わせや資料請求の件数が減少してしまうケースは、いくつかの理由が考えられますが、ここでは主な要因として2点押さえておきましょう。
Webサイトのデザイン変更が操作性やレスポンスに悪影響を与えると、コンバージョン(お問い合わせや資料請求などの成果)が減少する可能性があります。
例えば、以下のようなWebサイトはユーザーにとって使い勝手が悪いといえます。
お問い合わせや資料ダウンロードに誘導するナビゲーション、ボタンの位置などが分かりにくいと、ユーザーが求める情報にスムーズにアクセスすることができません。また、スマートフォンで閲覧するユーザーも多いため、ページが重くなかなか表示されないこともストレスとなるでしょう。
使い勝手が悪いと、ユーザーは手間や面倒くささを感じてすぐに離脱してしまいます。サイトリニューアルの際は、デザインだけでなくユーザビリティにも注力し、ユーザーがスムーズに目的に到達できるようにしましょう。
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Webサイトのコンテンツ内容が、ユーザーの期待やニーズに充分に応えられていない場合も、お問い合わせや資料請求の減少につながります。サイトを訪れるユーザーが求める情報や関心事を的確に捉えたコンテンツを充実させることが必要です。
例えば、商品やサービスをただ売り込むだけではなく、ユーザーが抱えている悩みを分析し、その悩みを解消するためのホワイトペーパーや動画を提供することで、ユーザーの興味や検討をさらに高めることができるでしょう。役に立つ情報を提供することで、ユーザーからの信頼も得ることができます。
情報量はもちろんのこと、情報の質にも注意しながら、効果的なアプローチにつなげられるように意識しましょう。
Webサイトのリニューアルは3〜5年ごとにおこなうのが一般的です。しかし、期間・費用・人員などを多く必要とする大プロジェクトなので、なかなか着手ができず、10年ぶりのリニューアルとなるケースもあります。
その間にも企業や市場の状況は変化していきます。企業の「今」を伝えるためには、ユーザーが企業のWebサイトを訪れたときには常に新しい情報を提供することが必要です。
リニューアルを行わない期間も、市場やユーザーの需要変動に対応し、自社の最新の情報を発信するために、Webサイトの更新のしやすさは必須です。
リニューアルの際には更新のしやすい管理画面やCMS(Contents Management System)を導入すると、掲載情報の更新や運用もおこないやすいでしょう。定期的にコンテンツの更新や改善を続けていくことで、Webサイトの真の効果を発揮することができます。
関連記事:Webマーケター必見!自社サイト制作に最適なCMSの選び方
Webサイトのリニューアルが失敗しやすい背景として、大きく4つの理由が考えられます。
サイトリニューアルが失敗しやすい理由として、「新しさ」が目的になりやすいことが挙げられます。「古臭く感じるから」や「しばらくリニューアルしていないから」といった抽象的な理由から出発すると、新しいデザインや機能の導入が目的そのものになりがちです。そうすると、サイトが抱える具体的な課題や目標が見失われ、外見の変更だけに着目しやすくなります。
サイトリニューアルを成功させるためには、単なる「新しさ」だけでなく、具体的な課題や目標に焦点を当て、それらを解決・達成するための変更を行うことが不可欠です。新しい要素やデザインの導入は目的ではなく、あくまでも手段であるということを認識したうえで、有効に組み込むことが肝要です。
トレンドに合わせたデザインへの変更はリニューアルをしたことが分かりやすく、ついこだわってしまいがちです。
本来のサイトの目的や課題解決がおろそかなままデザインだけ刷新しても、ユーザビリティの低下につながることもあります。サイト訪問者にとって欲しい情報が得られること、企業側が伝えたいメッセージが届けられること、この両軸をかなえた情報設計があって初めて、デザインの刷新が最大限に活かされるのです。
企業のWebサイトの価値は、どれだけ事業活動に貢献しているかが重要です。リニューアルをおこなう場合は成果の高いWebサイトを制作したいものですが、これは経験則だけで対応できるものではありません。最新の知見や分析に基づいた戦略が必要です。
例えば、SEO対策はキーワード選定とコンテンツ制作が想起されやすいですが、コンテンツ設計はサイト構造や内部システムとも連携も考慮する必要があり、結果サイト全体と関わるため、企画段階から十分な考慮が必要です。
自社の顧客ニーズ、導入するソリューションやリニューアル後の活用などビジネス観点を持ちながら、最新のデジタルトレンドやSEO・システム知見をふまえてサイトを最適化することが成功の鍵といえます。
Webサイトリニューアルは、目に見えて自社サイトが新しくなるため、ビジュアル的な変化に注目しがちです。もちろん、時間、費用、人を多く必要とする大プロジェクトなので、初めに充分な議論が行われることがほとんどです。しかし、時間が経ち、デザインを確認する頃には、当初決定したはずの要件や方針が薄れてきます。
長い期間を必要とするプロジェクトであるがゆえの難しさともいえますが、推進していくうちに関係者がそれぞれの主観で意見を出しはじめ、本来の目的を見失うこともあります。スムーズに進めていくのは難易度の高いプロジェクトといえるでしょう。
Webサイトリニューアルは推進の難しい大プロジェクトですが、企業の成長には欠かせないプロセスでもあります。Webサイトの価値を引き出す効果的なリニューアルをおこなうにはどうすれば良いのか、失敗しないためのポイントを押さえておきましょう。
Webサイトのリニューアルは、企業のマーケティング戦略の一環です。成功するためには、全体的なマーケティング戦略を理解し、課題に対するアプローチを明確にする必要があります。その中で、自社にとって優先すべきポイントや解決すべきポイントを事前に決定しておくことがリニューアル成功の肝といえるでしょう。
例えば、集客を目的としているなら、アクセス数、ユーザー数、問い合わせ数などの達成したい目標に基づいて、具体的なKPI(Key Performance Indicators)を設定します。その目標を達成する手段として、SEO対策やユーザビリティ改善の方針を決めていきましょう。
Webサイトリニューアルの際には、現サイトの課題を徹底的に把握し、解決すべきポイントを明確にすることが不可欠です。そして、その上で更に改善できるのが理想ですよね。Webサイトリニューアル後の理想的な姿を明確にするために、具体的な調査分析の手法をチェックしましょう。
現サイトの課題を明確に把握するためには、Google Analytics(グーグルアナリティクス)などを活用し定量的な分析を行いましょう。流入経路・被リンク先、検索キーワード、滞在時間などの指標を確認することで、ユーザーのアクセスデータや行動パターンを把握し、サイトのパフォーマンスを分析することができ、Webサイトの導線改善や最適なコンテンツ戦略のヒントとなります。
加えて、定性分析手法としてアンケートやユーザーテストを導入することで、ユーザーの意見やニーズを収集し、数字だけでは分からない課題を明らかにすることができます。ユーザー視点からのフィードバックを得ることで、改善ポイントの補完が可能です。
SWOT分析などのフレームワークを用いた競合分析は、自社のポジションの明確化やコンテンツ戦略に役立ちます。サイトの設計やデザインだけでなく、競合の商品やサービスの特徴、ターゲット層、訴求ポイントも把握することで、ユーザーが比較検討する際の要点を押さえ、自社の強みや差別化ポイントを引き立てられるでしょう。
分析をもとに、自社の強みを活かし、打ち出すべきポイントやコンテンツを考えましょう。
これまでも述べてきましたが、集客を目的とするWebサイトリニューアルにSEO対策は欠かせません。ドメインの評価や流入に貢献しているコンテンツなど、現サイトで蓄積した資産を残しつつ、現状分析や競合分析から洗い出したキーワードから新たな集客コンテンツを強化しましょう。
コンテンツ制作やWebサイトの設計にも分析から得た課題やヒントを活かし、戦略的に進めていくことが必要です。
企業がユーザーへ伝えたいことをただ羅列するだけでは魅力的なWebサイトとはいえません。商品・サービスの売り込みだけでなく、Webサイトを訪れるユーザーの抱える悩みや知りたいことに応えたコンテンツを網羅できているかどうかを意識しましょう。
さらに、コンテンツを通じた情報提供がスムーズにできているかも重要です。ユーザーが目的とする情報に迷うことなくたどり着き、そこから自社サービスや商品の購入へつなげられるように設計しましょう。ユーザーが意思決定するまでの過程を考慮した導線が必要です。
Webサイトリニューアルは、リニューアル後にきちんと運用していくことが重要です。コンテンツを継続的に更新していくために使い勝手の良いCMSを導入したり、担当者の配置やトレーニングも考える必要があります。
最近では、Webサイトで獲得したリードの営業フォローを円滑に進めるためのCRMや、マーケティングオートメーションの導入も一般的になってきました。安定してWebサイトの運用を続けていくためには、社内の運用体制を整えるのはもちろん、イレギュラー対応時の外部委託先や費用についても公開前に整理しておきたいですね。
ここまで、失敗を回避するためのポイントを例をあげて述べてきました。何度もお伝えしているように、Webサイトリニューアルは時間、コスト、人員を多く必要とするプロジェクトです。工程も多く、決定するべきことも数多くあります。
まずはどこまで社内で対応できるかを把握し、外部に委託する内容を決めていきましょう。詳しい手順については、「ホームページ(Webサイト)リニューアルの進め方と成功事例」もご参照ください。
当初に定めたWebサイトリニューアルの要件から外れないようにプロジェクトを進めていくためには、プロジェクト推進者は委託先と連携を取りつつ、社内調整に力を注ぐ必要があります。そのためにも委託先がきちんと要件を汲んで、チームの一員として「リニューアルの目的や成果」にこだわることができるかが大きなポイントです。
外部に委託する際は、制作実績や得意分野、ネームバリューはもちろんですが、自社の成果のためにどれだけ尽力してくれるか、親身に行動してくれるかを意識して選ぶのがおすすめです。委託先がチームとしての意識を持ってプロジェクトに関わることで、プロジェクト推進者の負担も減り、スムーズな進行が可能になるでしょう。
せっかくWebサイトリニューアルをするなら、よりよい成果をあげて自社ビジネスの成長に貢献したいものです。今回お伝えしたように、リニューアル後のWebサイト公開で判明する「失敗」を避けるためには、事前の準備と強力なプロジェクトチームを結成することが大切です。
私たちタービン・インタラクティブでは、事業拡大に貢献するWebサイトとなるために、企業の魅力を伝えるコンテンツや、ターゲットのアクション導線を考えた戦略のご提案、サイト制作、CRMやマーケティングオートメーションの導入支援など多数の実績がございます。
制作中もリリース後も、プロジェクトチームの一員として、お客様のニーズに寄り添って支援をおこなってまいります。リニューアルをすべきかどうか、どのようなソリューションがあっているかなど、まずはお気軽にご相談ください。
貴社のWebサイトについて「今のままで十分だろうか」「リードが獲得できていない」と悩んでいませんか?
専門アナリストが、貴社のWebサイトのユーザビリティ評価やSEO対策状況、
コンバージョン最適化、競合他社との比較など幅広く診断し、
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ぜひ一度お試しください。