第07回:「WiMAX」サービス2

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年7月23日

前回は7月1日にスタートしたデータ通信サービス「UQ WiMAX」をご紹介しました。

モバイルWiMAX(IEEE 802.16e)は、室内で使用されている無線LAN(IEEE 802.11系)の技術と兄弟関係にある、無線MAN(Metropolitan Area Network)の規格。「すごく遠くまで電波が届く無線LANのようなもの」とご説明しました。

それでは、次世代モバイル環境が生み出す、新サービスの可能性やビジネスインパクトとは、どのようなものでしょう?

キーワードは「2つのオープン化」です。

WiMAXは、多くのメーカーから搭載端末の発売ができるよう、規格をオープンにしています。無線LAN搭載のPCやゲーム機などをイメージしていただく分かりやすいでしょう。メーカーや端末カテゴリをこえて、簡単に接続ができますよね。

これが1つめ、「端末のオープン化」です。また、Wimaxでは「仮想通信事業者(MVNO)」として接続サービスにも参入が可能。さまざまな業種業界から、それぞれの強みを活かした通信サービスの登場が期待されています。2つめは「ネットワークのオープン化」という訳です。

では、端末とネットワークがセットでオープン化するとどうなるでしょう?

「エレベータや空調などの監視システム」、「次世代カーナビ」、「映像広告ディスプレイ」、「ポータブル情報家電」など、専用端末と通信機能が組み合わさった新しいサービスがシンプルに実現しそうです。

ユーザーの行動も、大きく変化するでしょう。

例えば、街中どこからでもユーザ同士がつながる携帯ゲームでは、ますますコミュニケーション機能が充実しそうです。撮影データがそのままアップできる動画デジカメが登場すれば、撮影結果はは手元でなく、常にYoutubeで保存して・共有するスタイルに。誰の所有物かという意識がなくなるかもしれません。

データをネットからダウンロードしながら聞くことを前提にした音楽プレーヤーやサービスはどうでしょう。おっと、これはまるでラジオですね。バスの待ち時間に見られる番組は、ワンセグTVよりもネット映像という事になりそうな気もします。

「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」がネットワークにつながるユビキタス社会の到来。社会インフラの進化とユーザーの行動様式の変化を想定し、いち早く顧客ニーズに応える、各企業独自のネット戦略が必要なのです。

(2009/07/22 中部経済新聞掲載)

第06回:「WiMAX」サービス1

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年7月16日

モバイルがわからなくなってきました。

といっても、「最近のケータイは難しくて使いこなせない!」という話ではありません。「モバイルの概念を整理する」必要があると思ったのです。

7月1日、データ通信サービス「UQ WiMAX」がいよいよサービスを開始、中部圏でも利用できるようになりました。WiMAXは「IEEE 802.16e」と呼ばれる技術による、屋外でのインターネット接続サービスの仕様。現在の3G携帯電話データの通信速度である最高7.2Mビット/秒にくらべ、理論値で40Mビット/秒と、より高速なモバイル通信環境として注目されています。

これだけお話すると単に「モバイル接続サービスが速くなった」という印象ですが、重要なポイントは別にあります。今回登場した「UQ WiMAX」、実は「ケータイ事業者による新しいネット接続サービス」ではありません。

ところで、「IEEE 802.」といえば、聞き覚えがある方はいらっしゃるでしょうか?「IEEE802.」はネットワークに関する標準規格。IEEE 802.11といえば、みなさんのオフィスやご自宅にある「無線LAN」の規格ですね。ノートPCをはじめ、iPhoneをはじめとする通信端末、WiiやNintendo DSi、PlayStation3やPSPなどのゲーム機、プリンターやデジカメ、ポータブルミュージックプレーヤーなど、今では様々なデバイスがIEEE 802.11の無線LANでつながっています。

モバイルWiMAX(IEEE 802.16e)は、この無線LAN(Local Area Network)の技術と兄弟関係にある無線MAN(Metropolitan Area Network)の規格。少し乱暴に言ってしまうと「すごく遠くまで電波が届く無線LANのようなもの」です。「ケータイで電話をかけてネットにつないでもらう」のではなく、「街じゅうに電波が届く無線LANのオバケに直接つなぐ」サービスだと言えるのです。

「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」がネットワークにつながることで様々なサービスが提供され、人々の生活をより豊かにする。いわゆる「ユビキタス社会」のイメージにより近づいたように思います。

さて、次世代モバイル環境が生み出す、新サービスの可能性やビジネスインパクトとはどのようなものでしょうか?(次回に続く)

(2009/07/15 中部経済新聞掲載)

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