第25回:Webサイトは新規顧客の窓口

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年11月26日

「Webサイトからの問い合わせなんて、年間通じてほとんどありません。サイトを工夫しても、意味の無い業態ですから・・・。」

ネットを通じた顧客獲得のご相談を受ける現場で、そんなご意見をお聞きすることが少なくありません。

顧客が一般の消費者ではない、いわゆるBtoB(ビジネストゥビジネス)業態のメーカー企業などでは、営業先はすでに絞られていたり、場合によっては、顧客は親会社やグループ企業一本という所もあります。お客様自らがネットから検索してきてくれるというイメージがもてないというのです。

しかし、現在のような景況下では少しでも可能性のある顧客接点を確保したいのも事実。本当に「問い合わせは発生しない」のか、真剣に検討してみることは重要です。

冒頭のようなご意見をお持ちのご担当者には、試みに現在のアクセスログを分析してみることをお勧めしています。本当にアクセス自体がないのでしょうか?現顧客からのアクセスが100%で、見知らぬユーザーはいないのでしょうか?検索キーワードに自社製品やサービスを指定して来訪されているケースはゼロでしょうか?

実際にはそのようなケースは稀です。問い合わせや反応がないのはサイトがそのように作られていないから、という場合がほとんどです。

Webサイトは、基本的にセルフサービスのメディア。よほど工夫しないと問い合わせや受注につなげることはできません。サイトを訪れるユーザーが興味を持っている事は何か、困っている事は何か、今何を解決したいと考えているのかを想像して、それに応えていくこと。あたりまえの「サービス発想」が重要になります。

インターネットで商品やサービスを検索しているのは、一般の消費者だけではなく、日常業務で課題解決のために行うネット「検索」は、みなさんの企業でも日常になっていることでしょう。その時の「顧客視点」を大切に発想すれば、BtoBのビジネスでも新規顧客と出会うことはできるはずです。

Webサイトは365日、常に新規顧客との窓口になっており、戦略的に構築されたものでも、そうでないものでも、運用コストに大きな差はありません。売り込みによる販路拡大が難しい今、目的意識をもってWebサイトを訪れてくれたビジネスユーザーは大きな可能性。

彼らへの「接客」をせず、追い返してしまっているとしたら、これほどもったいないことはありません。

(2009/11/25 中部経済新聞掲載)

第24回:ネット展示会の可能性

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年11月19日

ニューヨークの最新広告業界視察から帰ってきました。

今回は、アドテック・ニューヨークの展示会場で「展示会場」をデモしていたバーチャル展示会運営サービスを展開する「Unisfair」を紹介します。

バーチャル展示会と聞いて「セカンドライフ」を思い起こす方もいらっしゃるでしょう。2007年に大きなブームとなったセカンドライフは、非常に自由度の高いバーチャル空間サービスとして注目を集めました。自由な表現、リアルな価値交換のシステムをが話題となり、多くの大手企業がビジネスチャンスを求めて参入しましたが、自由度が高すぎたのか「楽しみかたが分からない」一般ユーザーが離脱してしまったため、企業ブースの運営などは下火になってしまいました。

それに対し、Unisfairのサービスは企業の展示イベントに機能を特化したもの。「自社製品をアピールし理解を進める」「興味層を獲得しその後のセールスにつなげる」といった従来の展示会の機能に加え、「来場者の反応を計測する」「来場者同士のコミュニケーションを促進する」「来場者からの口コミを拡大する」といった、ソーシャルネットワークならではの新しい価値提供ができる部分に可能性を感じました。

画面上の展示ホールには、実際に対応するスタッフが立ち、来場者の質問に答えます。対応スタッフが「オンライン」の状態であれば、リアルタイムに返事ができるうえ、1対1だけでなく、来場者全てにオープンで回答できます。

ツイッターやフェイスブックのサービスとも接続し、より少ない労力で、より広い到達範囲の、効率的な対応ができる仕組みになっているそうです。「動画プレゼンテーション配信機能」「投票・集計機能」「来場者同士の情報交換機能」などで、展示会としての機能を確保するだけでなく、「どのユーザーがどこのブースにどれだけの時間滞在し、誰と何を話したか」といった、実際の展示会では計測しづらいマーケティングデータの抽出が可能なのもWebならではのメリット。

経費削減で展示会の開催数が減少している昨今、主催者側は展示運営コスト、参加者側は移動コストが削減でき、長期間開催できるこのようなイベントは、今後増えていくかもしれませんね。

(2009/11/18 中部経済新聞掲載)

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