第03回:SEOは企画段階から

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年6月24日

インターネット経由の顧客を増やす手段としてSEO(エスイーオー)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

SEOは「サーチエンジン最適化」の略で、「検索エンジンで利用者が検索をした際に、結果画面の上位に表示されるよう手段を講じる」こと。人々の興味の導線上に、自社の商品やサービスを出現させるためにとても重要であり、「○位までに表示されなければ世の中に存在していないのと同じ。」という意見もあるほど重要なこととなっています。

そのため、どうしたら検索エンジンから高い評価が与えられるかについては、ネットの現場では常に議論がなされています。
例えば
・キーワードをページのタイトルとして使用しているか
・本文内にキーワードが適切な割合で含まれているか
・人気のあるサイトから、良質なリンクを集めているか
などが評価対象となる、という話はご存じの方も多いでしょう。

残念なのはSEOが、主に技術的な視点を中心に語られてしまうことです。「最適化」の対象が、あくまで検索プログラムとなっており、テクニックとして紹介をされているのです。

しかし、ウェブサイトの究極的な目標は、企業が顧客と出会うこと。

顧客の求める情報と、企業が提供したいサービスや商品をつなぐことだと思います。SEOが、興味のある顧客を絞込み来訪に結び付ける技術だとすると、大切なのは企業が対話したい「キーワード」で、探しているユーザーにより探しやすくしてあげること。逆に言えば、ユーザーが求めていないキーワードで来訪される無駄を減らしてあげることかもしれません。

そう考えれば、まずウェブサイトの企画の段階で、「どのようなキーワード群を対象にするのか」を検討することは、ターゲット顧客について検討するのと同様に重要だと気付くはずです。この「キーワードを考えていくこと」は、サイトの目的やビジネスの目標に具体性や広がりを持たせる、大変重要な工程となります。

残念ながら、このようにキーワード群を決定してからサイト構造やコンテンツを設計する手法は、まだあまり一般的ではありません。しかし、多くの人が競合するビッグなキーワードを技術的な手法で対策するよりも、他のサイトが使っていないがターゲット顧客にぴったりするキーワードを発見し、それらをサイトの構造にうまく取り入れるほうが、有効なSEO施策である場合が多いのです。

さて、御社のサービスに興味を抱くお客様はどんなストーリーで、どんなキーワード検索をするのでしょうか?

(2009/06/24 中部経済新聞掲載)

第02回:ネットは企業の必修課目

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年6月17日

「まるで世界中の脳が接続されているみたいだ!これまでの生活や思考のスタイルは全て変わる!」

1994年のある深夜のオフィス、広告代理店のマーケティング局で、初めてインターネットに触れた新入社員はすっかり興奮していました。広告のマーケティングやクリエイティブを志す当時の私にとって、この新しいメディアはとてつもなく魅力的だったのです。

まだ短い文章や小さな画像を公開することぐらいしかできなかったインターネットという仕掛けは、それでも強烈なインパクトを与えるに十分でした。自分自身が制作した小さなウェブサイトが世界中に公開されるという体験は、これからおこる様々なサービスの可能性や生活者の変化を一気にイメージさせ、私の人生に鮮やかな目標を与えたのです。

以来15年、企業のコミュニケーションを取り巻く環境は、インターネットによって完全に変化しました。そして、その意味に気づいている人、気づいていない人の間に圧倒的なビジネススキルの格差を生み出しています。

ネットを活用することで、集客のための広告は効果測定が容易に正確になり、ユーザの「行動属性」に合わせた高効率なキャンペーンが少ない金額から実施可能です。

動画や音声など、顧客に提供する情報は非常に低額で配信でき、ユーザーの購入や問い合わせ窓口としても24時間機能。月額数万円から利用できるSaaS型の顧客管理システムは、数週間で本格的なCRM環境を実現できますし、商品開発に必要なユーザー調査も設計から集計まで48時間あれば十分。全ての企業がマーケティングや顧客管理を科学的・効果的に実践できる時代が到来しています。

しかし、企業経営者にとって重要な話は、最新情報の中に身を置き、高いITリテラシーを持たない限り聞こえてきません。ネット時代の「ブランド構築」、「マーケティング」、「営業戦略」、「システム運用」は、企業が自ら実施すべき必修科目。「全体を俯瞰し、一気通貫するわかりやすい体系が提供できれば中小企業の経営はカイゼンできる。」その想いからこの連載をさせていただくことにしました。

インターネットの現場から、わかりやすい事例とともにお届けしようと考えています。時代の変化を肌で感じながら、企業経営に本当に必要なネット活用について、ご一緒に考えていきましょう。

(2009/06/17 中部経済新聞掲載)

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