第37回:Webが朝礼を有意義にする

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2010年2月18日

「みなさんおはようございます!まずは今日の担当坂根より『Webブランディングの評価軸』について発表させていただきます。」

毎週月曜日、当社で行われている朝礼の光景です。持ち回りで担当を決め、各自の専門分野を中心にテーマ設定した、10分間のスピーチ。新しい技術の発掘や、社内の情報共有が進む取り組みとして、実施されている企業も多いかもしれません。このような場でも、ネットを活用することで価値や効果が向上します。

漫才選手権の「M1グランプリ」をまねて、「S1グランプリ」というタイトルで実施している私たちの朝礼は

・顧客に対するプレゼンテーションレベルの向上
・各メンバーが持つノウハウの共有
・互いにプレゼンスキルを上げるための切磋琢磨

に目的をおいています。

聴き手にまわる社員は、内容を共有するだけではありません。質問役、審査員役として、仲間のプレゼン力向上に貢献する重要な役割を担います。もちろん、当社ではWebの技術も重要な役割を担います。S1グランプリを楽しく、わかりやすく機能させるため、イントラネット上には「S1グランプリホームページ」が用意され、各回のスピーチ内容の確認と、投票が「いつでも簡単に」できるようになっています。

事前に準備した「ネタ」を、大型スクリーンを使った「スピーチ」で表現した直後から、各社員のPCから「投票」が始まります。

切り口の面白さや構成、資料のクオリティといった内容に関する評価から、発表の際の姿勢や表情、声の大きさや滑舌のよさといった表現に関する評価まで。それぞれを6段階評価でサイト上から投票し、感想やアドバイスを書き込みます。こちらは無記名で表示される仕組みになっているため、先輩・後輩も関係なし。「次回のクオリティ向上につながる意見」はお互いに投げ合うエールのようなものです。

投票されたデータは、リアルタイムに処理され、グラフ化されます。もちろん選手権ですから、順位によって表示が並び替えられるという、少々シビアなゲームシステムです。

データベース化され、蓄積されたスピーチの価値は、確認・改善の段階で発揮されます。各スピーチは、録画・エンコードされ、各参加者がWebでいつでも確認できるように準備されています。自分のスピーチを自分で観察する機会というのは意外と少ないものですが、S1ホームページでは、投票の結果やアドバイスと合わせて観ることで、自分の癖や改善ポイントを見つけることができるのです。

多くの人数、貴重な時間をかけて行う朝礼。コストに見合うプロジェクトになるよう、Webを使ったアイディアを取り入れてみませんか?

(2010/02/17 中部経済新聞掲載)

第36回:AR、拡張する現実

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2010年2月11日

AR(オーギュメンテッド リアリティー)と呼ばれる、「拡張現実」技術が注目を集めています。

私たちの現実感覚に「ネット経由の情報」を付加し、より便利で楽しい体験に変化させる。少し前までは、SFやマンガの世界と思われていたサービスが、無料で提供され人気を博しているのです。

道ばたでiPhoneを掲げて、カメラ越しに景色をのぞく人たち。写真を撮っているわけでもなさそうだし、何を見ているのかな・・・。という状況に出会ったら、それは人気のソーシャルARアプリ「セカイカメラ」かもしれません。

セカイカメラは日本製のiPhoneアプリケーション。彼らが見ている町の景色には、「エアタグ」と呼ばれる情報の「吹き出し」が浮かんでいます。あのビルに入っている飲食店の口コミ情報やクーポン情報が表示されるとか、あの美術館で今開催されている展覧会の情報や作品のビデオが見られるとか、そんな具合に「情報が付加された現実」が画面に映し出されているのです。

これは、iPhoneが装備している

1.カメラとモニタ
2.インターネットにつながる機能
3.位置情報を確認できるGPS機能
4.見ている方位を確認でいるジャイロや加速度センサー

によって実現しており、ユーザーは無料のアプリをダウンロードするだけで、すぐに利用することができます。実際に吹き出しになっているタグ情報には、ユーザーが書き込んだものも多く、もちろん自分も書き込めます。ユーザーの参加によってどんどん面白くなるこのプラットフォームは、より現実社会に近い「ソーシャルメディア」だと言えるかもしれません。

iPhoneをお持ちの方は、ぜひ体験してみてください。カメラ越しに街をぐるりと見渡したとき、ユーザーが投稿した吹き出しがフワフワと浮かんでいる様子、「インターネット社会がリアルに再現」されている感覚が実感できます。

携帯端末やPC向けのサービスとして、他にも多く発表されているAR。今のところ、ゲームやコミュニケーションの分野での活用が多いのですが、今後はビジネス活用も拡がると考えられています。例えば楽天トラベルは、国内2万3千件の施設情報をセカイカメラに提供しており、視界に入っているホテルの上に浮かんでいるエアタグで、宿泊料金やお部屋情報を見て、実際に予約ができるそうです。

携帯端末やPCで培われた技術は、専用のデバイスに置き換えることでもっと面白くなりそうです。「ARメガネ」をかけているだけで、レストランやバスの路線が検索でき、地下鉄で向かいに座った人のプロフィールやブログが見られる。そんな生活も、そう遠くないかもしれませんね。

(2010/02/10 中部経済新聞掲載)

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