第26回:入力フォームのわな

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年12月3日

「Webサイト上のコンバージョンを向上したい。」

企業が運営するWebサイトには必ず目的が存在します。昨今、設定されるゴールとして最も多いのは「コンバージョン」つまり顧客転換率のの向上です。

具体的には「商品購入」「会員登録」「見積依頼」「資料請求」「サンプル請求」「問い合わせ」などの直接成果にあたりますが、これらの成果を上げるための「Webサイト上の最後の難関」といえば、やはり入力フォームでしょう。

Webサイトは基本的にセルフサービスのメディアですから、上記のような成果を上げるためには、お客様自らのお手数で入力フォームへの記入をしていただく必要があります。

お名前、ふりがな、企業名、部署名、郵便番号や住所、電話番号やファックス番号、メールアドレスといった基本情報の他に、お問い合わせ内容の文章、企業規模、認知媒体や、製品導入後の利用用途などなど、実に様々な入力をいただかなくてはなりません。

本来であれば自社の営業マンがお聞きするべき作業を、お客様に代行していただいていると考えれば、できる限り気を遣って設計すべきところですが、実際の入力フォームには不親切なもの、時には失礼なものも多く存在し、提供している企業の姿勢を疑ってしまうような場合もあります。

大量の情報を入力させられた上、確認画面に移った瞬間に「※電話番号は半角数字で記入してください。」「※メールアドレスの形式が間違っています。」「※ご要望は200文字以内で記入して下さい。」「※生年月日はyymmddの形式で入力してください」と大きな赤文字でびっしり注意され、問い合わせする気も失せてしまう・・・

そんな経験のある方は少なくないでしょう。

頑張って一通りの修正を終えて「次へ」のボタンを押したつもりが、実は「リセット」のボタン。今までの苦労が水の泡になってしまい、まるで罠にかかったようです。なんで、こんなボタンがあるのか分かりません。もう一度頑張って記入すると、住所欄に書いた「桜通大津KTビル6F」に「※住所は全角で記入してください」のコメント。反省しながらどこが半角だったか書き直したりしているうちに、もう少し接客のいい店に移ろうかと考えてしまいます。

御社Webサイト、入力フォームからの離脱率は大丈夫でしょうか?まずはWebのご担当者以外の方に協力をいただき、お客様の気持ちでの問い合わせをしてもらいましょう。

(2009/12/02 中部経済新聞掲載)

第25回:Webサイトは新規顧客の窓口

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年11月26日

「Webサイトからの問い合わせなんて、年間通じてほとんどありません。サイトを工夫しても、意味の無い業態ですから・・・。」

ネットを通じた顧客獲得のご相談を受ける現場で、そんなご意見をお聞きすることが少なくありません。

顧客が一般の消費者ではない、いわゆるBtoB(ビジネストゥビジネス)業態のメーカー企業などでは、営業先はすでに絞られていたり、場合によっては、顧客は親会社やグループ企業一本という所もあります。お客様自らがネットから検索してきてくれるというイメージがもてないというのです。

しかし、現在のような景況下では少しでも可能性のある顧客接点を確保したいのも事実。本当に「問い合わせは発生しない」のか、真剣に検討してみることは重要です。

冒頭のようなご意見をお持ちのご担当者には、試みに現在のアクセスログを分析してみることをお勧めしています。本当にアクセス自体がないのでしょうか?現顧客からのアクセスが100%で、見知らぬユーザーはいないのでしょうか?検索キーワードに自社製品やサービスを指定して来訪されているケースはゼロでしょうか?

実際にはそのようなケースは稀です。問い合わせや反応がないのはサイトがそのように作られていないから、という場合がほとんどです。

Webサイトは、基本的にセルフサービスのメディア。よほど工夫しないと問い合わせや受注につなげることはできません。サイトを訪れるユーザーが興味を持っている事は何か、困っている事は何か、今何を解決したいと考えているのかを想像して、それに応えていくこと。あたりまえの「サービス発想」が重要になります。

インターネットで商品やサービスを検索しているのは、一般の消費者だけではなく、日常業務で課題解決のために行うネット「検索」は、みなさんの企業でも日常になっていることでしょう。その時の「顧客視点」を大切に発想すれば、BtoBのビジネスでも新規顧客と出会うことはできるはずです。

Webサイトは365日、常に新規顧客との窓口になっており、戦略的に構築されたものでも、そうでないものでも、運用コストに大きな差はありません。売り込みによる販路拡大が難しい今、目的意識をもってWebサイトを訪れてくれたビジネスユーザーは大きな可能性。

彼らへの「接客」をせず、追い返してしまっているとしたら、これほどもったいないことはありません。

(2009/11/25 中部経済新聞掲載)

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