第24回:ネット展示会の可能性

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年11月19日

ニューヨークの最新広告業界視察から帰ってきました。

今回は、アドテック・ニューヨークの展示会場で「展示会場」をデモしていたバーチャル展示会運営サービスを展開する「Unisfair」を紹介します。

バーチャル展示会と聞いて「セカンドライフ」を思い起こす方もいらっしゃるでしょう。2007年に大きなブームとなったセカンドライフは、非常に自由度の高いバーチャル空間サービスとして注目を集めました。自由な表現、リアルな価値交換のシステムをが話題となり、多くの大手企業がビジネスチャンスを求めて参入しましたが、自由度が高すぎたのか「楽しみかたが分からない」一般ユーザーが離脱してしまったため、企業ブースの運営などは下火になってしまいました。

それに対し、Unisfairのサービスは企業の展示イベントに機能を特化したもの。「自社製品をアピールし理解を進める」「興味層を獲得しその後のセールスにつなげる」といった従来の展示会の機能に加え、「来場者の反応を計測する」「来場者同士のコミュニケーションを促進する」「来場者からの口コミを拡大する」といった、ソーシャルネットワークならではの新しい価値提供ができる部分に可能性を感じました。

画面上の展示ホールには、実際に対応するスタッフが立ち、来場者の質問に答えます。対応スタッフが「オンライン」の状態であれば、リアルタイムに返事ができるうえ、1対1だけでなく、来場者全てにオープンで回答できます。

ツイッターやフェイスブックのサービスとも接続し、より少ない労力で、より広い到達範囲の、効率的な対応ができる仕組みになっているそうです。「動画プレゼンテーション配信機能」「投票・集計機能」「来場者同士の情報交換機能」などで、展示会としての機能を確保するだけでなく、「どのユーザーがどこのブースにどれだけの時間滞在し、誰と何を話したか」といった、実際の展示会では計測しづらいマーケティングデータの抽出が可能なのもWebならではのメリット。

経費削減で展示会の開催数が減少している昨今、主催者側は展示運営コスト、参加者側は移動コストが削減でき、長期間開催できるこのようなイベントは、今後増えていくかもしれませんね。

(2009/11/18 中部経済新聞掲載)

第23回:SNSをマーケティングに

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年11月12日

「ソーシャルネットワークを、マーケティングに活用しよう!」

ミクシィやフェイスブックのような、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)が流行している昨今、活用するのは当然・・とは思っていても、実際にどうすればよいか具体的にイメージできるマーケティング担当者はまだまだ少ないのではないでしょうか?

今週、私は広告テクノロジーの現在を見るためニューヨークに滞在中。世界最先端の広告技術カンファレンス「アドテック・ニューヨーク」の会場には全米から、広告代理店、マスメディア、ネットメディアや広告主企業の担当者など、多くの関係者が集まっています。

見渡す限りに並んだ展示ブースでは、マーケティング効果の測定や最適化から、動画のソリューション、調査サービスやコンテンツ配信、広告配信ネットワークや、その配信ネットワーク向け最適化サービスまで、実に様々なジャンルのサービスが紹介されているのですが、昨年の展示と比べて感じるのは、多くのサービスで、「SNSとの連動」がアピールされているということです。

SNSは、利用するユーザー間の「人と人とのつながり」を強化するサービスともいえますが、この「人と人とのつながり」の機能を、マーケティングのサービスに結びつけようという動きが増えているのです。

SNSは外部のアプリケーションと連動できるよう、ユーザーデータの接続仕様を公開しているものが多いため、コミュニティでの登録データや活動データを利用して、ユーザーに便利でマーケティングにも効果のあるサービスを提供しようと、各社アイディアを競っていました。

昨夜ホテルで見ていたテレビの討論番組には、ツイッターのアカウントやフェイスブックのコミュニティが表示されていました。フェイスブックやマイスペース、ツイッターなどの、ソーシャルネットワークサービスの利用者が激増し、彼らがネットワーク上で「互いに影響し合っている状態」です。これをいかに企業のマーケティングに活かし、ゴールにつなげるか。アメリカの企業にとっては、最も関心の強い課題となっているようです。

(2009/11/11 中部経済新聞掲載)

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