引越しサービスに見積もりをお願いすると、通販カタログがもらえたりするものです。
ページを開けば、カーテンや家具など、新しい生活で必要なものが満載。普段はあまり興味のない商品も、転居のタイミングには大変魅力的に見えるから不思議です。「引越しを考えている人」=「新居のインテリアを考えている人」という公式に従ってユーザーをターゲティングすることで、普段であれば「邪魔な広告」が「必要な情報」に変化するのです。
今、そのサービス領域に興味のあるユーザー(例えば引越しを考えている人)を探しだす方法として、検索連動広告はわかりやすい例です。ズバリ「引越し会社」と検索しているユーザーは、きっと必要に迫られているのでしょう。ニーズ型の商品やサービスにとって、「検索結果に表示できる」検索連動広告が重要なのは当然です。
しかし、それだけで十分でしょうか。実際に引越しを検討している人の行動を考えてみましょう。彼は、「引越し」というキーワード検索を毎日のように繰り返すでしょうか?また、検討期間中に、引越しサービスのサイトを毎日訪れるものでしょうか?
答えはもちろんNO。ほとんどの時間は「引越し以外」のサイトを見ているに決まっています。となると、実は「それ以外の閲覧時間」が重要であるのもまた事実です。
ユーザーの閲覧履歴をもとに「この人は引越しを必要としている」といった嗜好性を分析し、そのメニューに出稿された広告を表示するのが「行動ターゲティング」広告。ユーザー行動に着目した技術は、検索連動型広告とは異なり、「引越し」と無関係の場面で広告を表示できるのが特徴です。
従来、「広告」の使命は、ユーザーの認知を獲得し、興味を持ってもらった上で売り場にお連れすることでした。この場合でいえば「ユーザーが引越について調べていないときに、引越しサービス会社について想起してもらう」ことにあたります。
「ニュースのサイトを見たり、料理のサイトを見ているときに、引越しの広告がよく表示される。」
「今ちょうど、引越しを考えているので、いつもなら気にしない内容も、魅力的で便利な情報になっている。」
この「幸せな偶然」を、意図的につくりだす技術が、行動ターゲティング。
さて、御社の顧客との関係性には、どんな「幸せな偶然」が待っているのでしょうか。
(2009/08/12 中部経済新聞掲載)