「Webサイトからの問い合わせなんて、年間通じてほとんどありません。サイトを工夫しても、意味の無い業態ですから・・・。」
ネットを通じた顧客獲得のご相談を受ける現場で、そんなご意見をお聞きすることが少なくありません。
顧客が一般の消費者ではない、いわゆるBtoB(ビジネストゥビジネス)業態のメーカー企業などでは、営業先はすでに絞られていたり、場合によっては、顧客は親会社やグループ企業一本という所もあります。お客様自らがネットから検索してきてくれるというイメージがもてないというのです。
しかし、現在のような景況下では少しでも可能性のある顧客接点を確保したいのも事実。本当に「問い合わせは発生しない」のか、真剣に検討してみることは重要です。
冒頭のようなご意見をお持ちのご担当者には、試みに現在のアクセスログを分析してみることをお勧めしています。本当にアクセス自体がないのでしょうか?現顧客からのアクセスが100%で、見知らぬユーザーはいないのでしょうか?検索キーワードに自社製品やサービスを指定して来訪されているケースはゼロでしょうか?
実際にはそのようなケースは稀です。問い合わせや反応がないのはサイトがそのように作られていないから、という場合がほとんどです。
Webサイトは、基本的にセルフサービスのメディア。よほど工夫しないと問い合わせや受注につなげることはできません。サイトを訪れるユーザーが興味を持っている事は何か、困っている事は何か、今何を解決したいと考えているのかを想像して、それに応えていくこと。あたりまえの「サービス発想」が重要になります。
インターネットで商品やサービスを検索しているのは、一般の消費者だけではなく、日常業務で課題解決のために行うネット「検索」は、みなさんの企業でも日常になっていることでしょう。その時の「顧客視点」を大切に発想すれば、BtoBのビジネスでも新規顧客と出会うことはできるはずです。
Webサイトは365日、常に新規顧客との窓口になっており、戦略的に構築されたものでも、そうでないものでも、運用コストに大きな差はありません。売り込みによる販路拡大が難しい今、目的意識をもってWebサイトを訪れてくれたビジネスユーザーは大きな可能性。
彼らへの「接客」をせず、追い返してしまっているとしたら、これほどもったいないことはありません。
(2009/11/25 中部経済新聞掲載)