先日行われたINBOUND2018の発表で、HubSpotのプロダクト機能や新規料金プランが発表されました。
これまでのHubSpotはマーケティング関連のプロダクトがメインでしたが、今回、マーケティング、セールス、サービスの全てにStarterからEnterpriseまでの各プランが用意されました。
またマーケティング、セールス、サービスすべてを包括したプラン「Growth Suite」が登場するなど、マーケティングオートメーションという位置づけから、顧客を中心とするビジネスプロセス全てを管理する「プラットフォーム」へと大きく変貌を遂げました。
今回は、その詳細についてお伝えします。
これまでのHubSpotには、サービスHubがなく、セールスHubにはEnterpriseやBasicがありませんでした。下の図のように、フルプランを用意しているのはマーケティングのみで、マーケティングを中心としたサービス設計になっているのが分かります。
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【これまで】
これが今回から、「マーケティング」「セールス」「サービス」の全ての領域で、Starter、Professional、Enterpriseのプランが登場しました。ビジネスに必要な機能のフルラインナップ化です。
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【これから】
マーケティング領域だけの対応では、企業は顧客に十分な満足を提供できません。
ユーザーの購買体験にはマーケターも営業もサポートチームも関わります。ユーザーは、サービスを見つけ、情報を調べ、営業担当者とやりとりをし、購入をしたあともカスタマーサポートを利用するからです。
HubSpotはカスタマージャーニー全体をカバーできるように変わってきているのです。
マーケティング、セールス、カスタマーサービスの各ツールは単独で利用するよりも、それぞれを連携する事で、より大きな効果を出すことができます。
そこで、3つすべてを利用できる「Growth Suite」が今回新しく登場しました。
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このGrowth Suite、単独で契約するよりも25%もお得です。さらにコンタクトやユーザーの追加も25%の割引になります。
また、それぞれ3つのプラン(Starter、Professional、Enterprise)が用意されているので、企業の成長に合わせてプランを選ぶ事が出来ます。
このようにHubSpotがマーケティングオートメーションからプラットフォームへと変化しているのは、従来のファネルの考え方から「フライホイール」という新しい考え方にシフトしているからです。
INBOUND2018のキーノートで紹介された、フライホイールという考え方が今回のプロダクトに大きく影響しています。
テクノロジーの普及で、ユーザーの購買行動は変化し続けています。
HubSpotがインバウンドマーケティングを提唱したのは、ユーザーが情報を「自分で集められるようになったから」でした。
ところが近年のユーザーは、情報の質を確保するために営業やマーケターではなく、同じカスタマーの口コミをより信用するようになりました。
HubSpotの調査によると、いろいろな職種の中で「企業の営業やマーケティング担当者を信頼する」と答えた回答者は3%に過ぎませんでした。営業担当者やマーケターにはかなりショックな結果ですよね。
(引用:HubSpot)
この結果から、企業は「カスタマーの口コミをどう起こすか」がより重要な戦略になってきたと言えます。
従来のファネルではマーケティングの成果としてカスタマーを生み出しますが、カスタマーがその後のビジネスの成長にどのような影響を与えているのかを考慮できていません。
その点フライホイールでは、カスタマーを中心に置くことで、顧客の満足が継続的にビジネスを成長させるエンジンになっています。マーケティング、セールス、サービスすべての接点で顧客満足を上げれば上げるほど、それが口コミになって新規顧客獲得にいい影響を及ぼすということですね。
日本企業において「顧客満足の追求」は以前から当たり前のように言われていますが、マーケティング&セールス大国のアメリカで今まさに提唱されているというのが面白いですよね。
人が介在しない、AIの時代到来だからこそ効率的に顧客満足度を高めることが可能になったということでもあるのでしょう。
いずれにせよ、いわゆる「マーケティングオートメーション」から2歩も3歩も先を行くHubSpotの進化は日本の企業にとっても飛躍の大きなチャンスであることは間違いありません。