展示会は、出展さえすれば安心というものではありません。自社ブースに来てもらい、そこから見込み客や商談を増やすためには、事前準備や集客が必要不可欠です。
展示会における事前計画から当日の施策、アフターフォローまで、効果的な集客のための重要なポイントやアイデアをご紹介します。
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目次
まずは、展示会での集客が上手くいかない理由を押さえて、失敗を回避するための対策を立てましょう。
展示会成功の基盤となるのは、明確な出展目的と効果指標の設定です。目的やターゲットが不透明なままでは、集客施策や伝えたい企業メッセージの方向性を見失います。毎年恒例となっている展示会への出展など、成功か失敗かの定義すらあやふやになっているものは目的を見直し、何を達成したいかを具体的に定めましょう。
展示会に出展する際には、明確な目的と効果指標の設定が重要です。企業やサービスの認知拡大、新規リード・商談案件の獲得、既存顧客との関係性促進など、展示会の目的は多岐にわたります。
展示会当日のブース設計や戦略にも関わるため、目的が複数ある場合でも、メインとなる目的をきちんと設定しておきましょう。例えば、来場者の層が幅広いのか、専門分野に絞られているのかなどを把握し、来場者と自社の展示の方向性にずれがないかも押さえておきましょう。
また展示会の効果指標を「成約」に期待したい場合も効果検証に時間がかかる場合、出展直後の当日集客結果などで振り返ることが多いです。その場合は、リード数、商談数、受注数などをサブ指標として設定し、振り返りの際に具体的な数値で評価することが必要です。例えば、リード数なら交換した名刺の数などを計測すると良いでしょう。
さらに、その後成約につながっているのかなど進展を追って振り返ると、今後の出展に向けてより自社と相性の良い展示会や企画の内容、ターゲットなどが見えてきます。
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毎年恒例の展示会などは、いつも同じ装飾や配置で出展しがちです。しかし、展示会の集客が成功するか、失敗するかは、ブースのコマ取りの段階から分かれると言っても過言ではありません。
来場者の興味を引きつけ、効果的な集客を実現するためには、「位置・レイアウト・デザイン」の軸で設計が必要です。展示会の成功には、入念なブースの設計や戦略が必要不可欠です。
展示会のブース設営で失敗しないためには、自社ブースへの集客を増やすための戦略を練りながら設計することが成功の鍵となります。具体的なポイントを確認していきましょう。
ブースの位置取りは集客の第一歩です。人通りの多い場所に設置することで、来場者の目に留まりやすくなります。特に、出入り口付近やメイン通路に面した場所は人が集まりやすく、ブースも目立ちやすいでしょう。
ブースの内装や目を引く装飾も大切ですが、まずは早めに出展予定の展示会主催者に連携するなど、人通りの多いエリアや目立つ場所にブースを設けるよう動くことが最優先です。予算によりコマ数やスペースが限られる場合も、ターゲットである来場者の目につきやすい位置を最大限狙いましょう。
ブースのレイアウトは来場者の立ち寄りやすさに直結します。ウィンドウショッピングをイメージすると想像しやすいですが、開放的で見やすいデザイン、通路から中が見渡せる配置など、気軽に足を運べる印象を演出することがポイントです。逆に、一度入ってしまうと出にくそうだと感じられるブースは敬遠されやすいので注意しましょう。
基本的にブース商談では、その場で商品やサービスを契約してもらうことよりも、来場者のニーズを聞いたり、製品の説明をすることがメインです。商談席も、しっかり座るものだけなく、さっと立ち寄って少し製品説明をする場を設けるなど、ブース内で製品やサービスに触れやすくするための工夫も重要です。
しかし、気軽に立ち寄るといっても入り口に人が集まってしまい、奥まで入りにくいブースレイアウトでは、集客に取りこぼしが発生します。ブースのデザインや配置に工夫を凝らし、当日の導線はしっかりとシミュレーションしましょう。
ブースデザインは、展示会で着実にターゲットを呼び込むための鍵となります。当日は多くの来場者が会場内を歩いて情報収集をしていますが、ここで意識したいのは自社のブースが目立つことではなく、確実にターゲットを呼び込むことです。
例えば、キャッチコピーは遠くからでも読みやすくするだけでなく、自社が何を提供しているかを明確に伝えることが大切です。一言で端的にどんな製品・サービスなのかを表すことでターゲットの興味を引き、印象にも残りやすくなります。
また、人通りの多い通路に面していれば来場者の目に留まりやすいですが、そうでなければ呼び込みの人員を配置する、コマ数を増やすなど工夫をしましょう。集客に大きく影響するため、予算に合わせて最大限の効果を出せるように検討することが大切です。
展示会出展の目的が新規顧客の獲得だとしても、当日の会場のみの集客に頼るのは心細いものです。来場者は、展示会の前にあらかじめ立ち寄るブースを書き出したリストを作成することも多いので、まずはそのリストに入れてもらえるようにアプローチしましょう。
日頃、接点が薄い見込み客も、展示会への来場予定があるかもしれません。展示会は、改めて自社を知ってもらう良い機会です。当日の来場者確保にばかり焦点を当てず、既にやり取りのある見込み客や既存顧客にしっかりと案内をすることも効果的な集客施策です。展示会開催の数週間前から積極的に動き、参加を呼びかけましょう。
以下では、来場者を増やすためのアイデアをご紹介します。展示会の事前におこなうものと、当日におこなうものに分けてチェックしていきましょう
まずは、展示会の事前準備としておこないたい、事前集客のアイデアをご紹介します。
これまでのマーケティング活動や営業活動で蓄積してきた見込み客の情報を、ハウスリストとして活用しましょう。リストの見込み客へのアプローチの方法としては、集客メールや案内状を配信するのがおすすめですが、その際に意識したいのが、展示会を知ってもらうというより、自社のブース出展を知らせ、立ち寄ってもらうということです。
ただ展示会に来場してもらうのではなく、自社のブースに立ち寄ってもらうためには、展示会開催の詳細に加え、自社ブースで発表する展示予定の商品・サービスの詳細なども添付し、魅力的な展示内容を伝えることや、ブースの設営位置などをお知らせすることがポイントです。
また、時間と手間はかかるものの、既に自社と関係が構築できている顧客に対しては、併せて電話でもコミュニケーションをおこなうと、自社の新製品や情報を伝えるだけでなく、相手の反応や最新の課題、ニーズを聞き出すことにもつながります。事前にコミュニケーションを取ることにより、展示会に来場した際の立ち寄りリストに加えてもらえる可能性も高くなるでしょう。
展示会によっては、事前に参加登録した来場者へ特典が付与される場合があります。特典としては、展示会限定の割引やプレゼント、セミナーへの無料招待などが一般的です。特典がある場合はメールの件名にも表記して、相手にとってのメリットを伝えましょう。
特にVIP特典などがある場合は、「日頃お世話になっている貴社へ特別なご案内」など、特別感を伝えることも大切です。営業目的のメールとして埋もれてしまう可能性がある場合は、案内状の送付も検討しましょう。
案内状を送付する際は、展示会の内容だけでなく、展示予定の商品やサービスのチラシ、担当者の名刺を添付することがポイントです。普段から関わりがある企業であれば、「いつもの担当者が特別に誘ってくれた」と展示会へ意識が向きやすくなります。
また、展示会の魅力や自社の取り扱い商品について具体的な情報を知らせることで、相手企業が展示会に来場する目的を明確にすることができ、自社ブースへ足を運んでもらいやすくなります。
さらに、メールと案内状を組み合わせたアプローチも効果的です。案内状が相手に届いたタイミングで、メールで確認や補足情報を送るなど、アプローチを重ねることで自社の展示会への出展や製品・サービスについて印象付けることができます。特典や案内状を工夫して展示会の魅力を伝え、見込み客を引き込むことは、展示会での集客を高める有効な手段といえます。
展示会を成功させるためには、展示会主催社の集客支援だけでなく、自社でも積極的に情報を発信し、幅広い視野から自社ブースへ来場者を呼び込むことが重要です。
ハウスリスト以外の目にも触れるよう、自社の展示会出展の情報を広めるためには、さまざまなメディアを活用していくことがポイントです。自社サイトの掲載やプレスリリースの発信はもちろん、業界関係者が目にするメディアにも広告を出稿することで、展示会の告知を強化できます。
業種によっては、WebサイトやSNSよりも印刷メディアでの宣伝が有効な場合もあります。業界誌や専門誌、イベント関連の冊子への広告出稿を検討し、ターゲット層にアプローチします。
自社のWebサイトやブログなどのオウンドメディアを活用した告知も重要です。事前にバナーを作成してサイトに掲載することで、既存の顧客やサイト訪問者に展示会への出展をアピールできます。また、マーケティングオートメーションを活用し、展示会の特設ランディングページにタグを設定すれば、訪問者の行動を追跡し、展示会出展のリマインドメールなどを配信することも可能です。
展示会での発表内容や、集客目標の規模に合わせてこのような手法を組み合わせることで、より効果的な情報発信が可能となります。予算や準備期間が限られている場合も最大限に活用し、集客の成功につなげましょう。
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展示会集客の成功には拡散性のあるSNSを巧みに活用することが不可欠です。自社アカウントから展示会情報を発信するのはもちろん、主催社の告知も引用しましょう。社内にフォロワー数やつながりの多い人がいれば協力を仰ぎ、告知をしてもらうのも1つの方法です。
発信する内容は展示会の告知だけではなく、リンクの貼り付けなどをおこなって企業や製品に関する詳細情報を提供することも大切です。既存顧客にシェアを促進することで新たな見込み客を引き込む可能性があります。
たとえば、X(旧Twitter)ではリポストや広告機能を利用して広告をシェアしてもらうことで新たな層にもリーチすることができます。情報を広く拡散させることが鍵となるため、SNS運用中はこまめに新しい情報を提供していきましょう。
展示会では、来場者はさまざまな企業のブースを回ります。当日、来場者に自社のブースに足を運んでもらうためには、効果的にノベルティやフライヤーを配布することも重要なポイントです。フライヤーやノベルティは、来場者がブースに立ち寄るきっかけとなり、展示会後も形として残るため、自社を印象付ける効果があります。
フライヤーは、紙に印刷された広告で、イベント会場や映画館などでも見かけますよね。持ち帰りやすいように1枚に両面印刷したものが多いですが、二つ折りにして見開きの仕様とするなどデザインや内容を工夫することで、自社の製品やサービスの魅力を簡潔に伝えることができる便利なツールです。
展示会の来場者は情報収集を目的として来ているため、その段階で大量のカタログや詳細な製品資料を渡してしまうと「押しが強い」という印象を持たれる可能性があります。
フライヤーであれば気軽に受け取ってもらいやすく、来場者が会社内で情報共有する際にも要点がまとめられているので製品やサービスの魅力が伝わりやすいでしょう。
一方、ノベルティを配布する場合は、来場者が思わず手に取りたくなるようなグッズを用意することが大切です。たとえば、オフィスで使えるボールペンや付箋、メモ帳などは持ち帰るのもかさばらず実用的なので手に取ってもらいやすいでしょう。クリアファイルも自社製品やサービスのチラシを入れて渡せるのでおすすめです。
ユニークさで目を引きたいなら、自社のぬいぐるみマスコットやキーホルダーなどもインパクトがあります。他にも飲料やお菓子、昨今利用シーンの多いカード型除菌スプレーなど、普段から使えるノベルティやユニークなグッズは、来場者だけでなくその周囲の人の目に触れる機会も多いので、自社の認知拡大につながります。
また、ノベルティを配布する際にはアンケート回答と引き換えにノベルティをプレゼントする手法もあります。ただアンケートを実施するよりも回答してもらいやすいため、ノベルティを活用した集客方法として取り入れるのもおすすめです。
来場者は多くの企業ブースを一日で回るため、よほど興味を持った場合でなければ記憶が薄れてしまいます。展示会が終わった後も自社の製品・サービスを来場者の記憶に残すために、展示会当日はあらゆる部分に工夫を凝らすことが必要です。
まず、ブースの装飾は来場者へ伝えたいメッセージを明確に打ち出しつつ、パネルやバナー、ディスプレイなどに使用するカラーとデザインを統一しましょう。さらに、来場者に強い印象を与えるためには、配置するスタッフのユニフォームもカラーを揃え、統一感を出すことが大切です。
また、先述したノベルティについても自社のロゴや商品名、社名を入れることはもちろんですが、一目見てどの企業なのかを思い出してもらえるカラーリングやデザインが良いでしょう。自社のブランドやサービスを強く印象付けることで、潜在顧客の獲得につなげることができます。
展示会の規定に問題がなければ、ブース内でのイベントも来場者を引き込む効果的な方法です。立ち止まらずさらっと通過してしまう来場者でも気になるようなコンテンツを用意するのが理想的です。具体例をご紹介するので、参考にしてみてください。
ブース内の展示は来場者が触れてみたくなるようなディスプレイを心がけましょう。また、実際のデモンストレーションや体験で商品やサービスの良さが伝わりやすくなります。来場者が気軽に参加・見学できるミニイベントとすることも、興味を引きつけます。
展示会のメリットである対面でのコミュニケーションとして、セミナーやプレゼンテーションを開催します。事前に出展の案内をする際、合わせてお知らせをしておくことで、よりブースへの集客が促進されます。
展示会規定などでイベントの実施が難しいときは、ブース内でのプロモーション動画を用意すると良いでしょう。動画には来場者の興味を引くようなキーワードやメッセージを盛り込みます。音声や映像がブース外にも自然な形で情報を届けてくれるため、来場者を引き込むことにつながります。
どのコンテンツも、ターゲット層である来場者が求める情報を提供することがポイントです。たとえば、自社サービスを導入した企業の成功を紹介した動画の放映や、実際に製品やサービスを体験することで、検討段階である来場者が、導入した際の成功やメリットをイメージしやすくなります。
展示会の期間中に、会場の様子を発信するのもおすすめです。たとえば、FacebookやInstagramなどで配信すれば、会期中に来場予定の人や、当日現地に向かっている途中の人にも生の様子を伝えることができます。自社ブースの様子を映し出すことで、来場した際に見つけてもらいやすく、集客につながります。
また、SNSやメルマガ配信でも初日の賑わっている様子を発信し、会場やブース内のイベントの様子などを写真付きで伝えることで、来場を悩んでいる企業や予定していなかった担当者が訪れるきっかけにもなります。
展示会当日のスタッフの役割は、基本的には呼び込みなど自社ブース前での集客がメインです。しかし、ブースにいるスタッフの人数があまりにも多いと、入りづらい印象を与えます。威圧感を与えない程度の人員配置に加え、自社ブースへ呼び込むスタッフ、ブース内で接客するスタッフなど役割を区別しておきましょう。
自社ブース前のスタッフは来場者に積極的に声をかけ、ブース内のスタッフはすぐに接客できるようにスタンバイしておくとスムーズです。また、呼び込みをおこなうスタッフは明るい印象で親しみやすい雰囲気、接客するスタッフは質問や要望に迅速に対応できるベテランスタッフなど、適材適所の人選をおこなうと良いでしょう。
また、昼食時などの来場者が減る時間帯も有効に活用し、他社ブースのアイデアや工夫を積極的に参考にすることが必要です。より多くの集客のためには、スタッフの配置や声かけの工夫が欠かせません。スムーズに来場者を誘導し、効果的なコミュニケーションを築くことを意識しましょう。
展示会でいくら名刺を集めても、有効活用しなければ無駄になってしまいます。展示会終了後は、各スタッフが集めた名刺を一括管理して、適切な部署がスムーズにフォローできるようにしましょう。アンケートや対応記録などと合わせて管理することで、その後の営業活動に生かすことができます。
展示会終了後すぐに、来場者情報のQRコードや名刺情報をスキャンしてデータ化し、CRMにとりこみ活用するケースが増えています。CRMに顧客情報を入力することで、後述するお礼メールやDMを利用して、見込み客の行動解析やフォロー履歴の管理に役立ちますので、ぜひ活用しましょう。
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展示会では、来場者は数多くの企業から製品やサービスの紹介を受けています。自社をより印象付けるためには、早い対応が肝心です。たとえ既存顧客であっても、信頼関係の構築につながるので迅速な対応を心がけましょう。
また、時間が経つほど展示会での体験や記憶は薄れてしまうので、早い段階で事後フォローをおこない、しっかりとリードを育てることが大切です。
まずは、お礼メールを送ります。メールを送るタイミングは、来場者がブースを訪れた翌日が理想です。このメールには来場者からの返信がないことも多いですが、マーケティングオートメーションやメール配信ツールを活用すれば、送付したお礼メールが開封されたか、製品やサービス詳細についてのリンクをクリックし、ページを閲覧したかなどの行動データを読み取ることができ、その後のフォロータイミングや内容の精度があがります。
フォローの手法としては、ほかにも展示会の感想やアンケート、メルマガやパンフレットの送付、テレアポなどがありますが、きちんと顧客情報を管理・共有し、フォローアップすることが展示会の成果につながります。併せて振り返りや効果検証もおこない、次回の展示会の出展にも生かしましょう。
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