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BtoBマーケティングの基本プロセス:効果的な戦略立案・手法まで全体像を解説 | BtoBマーケティングならタービン・インタラクティブ

作成者: タービン・インタラクティブ|2024年10月20日

本記事では、BtoBマーケティングの必要性や基本的なプロセス、具体的な施策や手法について解説します。よく活用されているデジタルマーケティングツールもご紹介しますので、BtoBマーケティングの全体像を知りたい方におすすめです。

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BtoBマーケティングとは?

BtoB(Business to Business)マーケティングは、企業が顧客となりうる企業に対して
、製品やサービスの検討・導入を進めてもらうためのマーケティング活動のことです。
展示会やWebサイト、ウェビナー、メールマガジンなどを活用し、見込み客を獲得して信頼関係を構築し、検討段階を引き上げて成約へ導く幅広い活動を指します。

BtoBマーケティングの特徴

生活者向けマーケティングであるBtoC(Business-to-Consumer)は「商品への所有欲や悩みの解消、体験への期待」を高めるアプローチとなりますが、BtoBマーケティングでは「顧客企業の課題解決」が重視されます。
取引額も大きく、複数の意思決定者が関与するため、検討期間が長期化しやすい特徴もあります。契約後も継続的な利用や他製品の導入など長期的な取引が理想です。

そのため、BtoBマーケティングでは「顧客である企業のニーズや課題」を深く理解し、適切なタイミングで効果的な提案をおこない、信頼関係を構築し続けることが重要となります。

BtoBマーケティングが必要とされる理由

昨今のBtoBマーケティングにおける変化としてポイントは2点、「顧客の購買行動のオンライン化」と「営業スタイルの変化」です。

1.見込み客の購買行動がオンライン化

インターネットの普及により、見込み客の89%が購入前にWebサイト上で検索・検討しているというデータがあります。さらに、BtoBマーケティングの検討プロセスのうち、57%は営業担当者と接触する前に完了しているとされています。

2.営業スタイルの変化

これまでBtoB企業では、テレアポや対面での顧客対応が主流でした。
顧客が自分のタイミングで情報を収集できるようになった現代では、一方的な電話営業や約束のない訪問といったアウトバウンドな営業スタイルは、しばしばネガティブな印象を与えかねません。
顧客の購買行動がオンラインにシフトする中で、BtoBにおけるWebサイトの重要性は増し、非対面での営業コミュニケーションも活発になっています。

加えて、企業は新規事業や海外進出に伴う「新規顧客の獲得」を目指す一方で、人手不足や働き方改革を背景に「営業活動の効率化」も急務となっています。

このような背景から、オンラインも含めた見込み客の行動や興味のシグナルをとらえ、いかに質の高い引き合いを創出・育成できるかが、企業の競争力を左右する重要な要素となっており、BtoBマーケティングが必要とされる理由でもあります。

BtoBマーケティングの基本プロセス

BtoBマーケティングは長期的なアプローチになりますが、基本のプロセスは5つです。
施策も多岐にわたり、企業側も顧客側も多くの部署や人が関わるため複雑に見えますが、マーケティング担当者として「顧客のニーズと課題を深く理解する」という視点を持っていれば大丈夫です。

基本のプロセスを、ひとつずつご紹介いたします。

1.マーケティング戦略の立案

複雑化するBtoBマーケティングでは、多くの施策を並行して動かしますが、全体の戦略を整えることで成果をぐっとひきあげることができます。
マーケティング戦略とは、誰に(ターゲット)、何を(自社の製品・サービスの価値)、どのように提供するのか(アプローチの手法)を定めることです。

戦略を立案するためには、市場の調査や分析を行い、顧客のニーズを理解することから始めます。さらに、自社の強みや弱みを洗い出しながら、アプローチ方法を定めていくのです。

マーケティングリサーチ

戦略のためのマーケティングリサーチは、主に以下の視点で行います。

  • 市場や顧客の理解
  • 自社の強み、弱み
  • 競合分析による自社のポジショニング

これらの調査・分析にはフレームワークの活用が有効です。
例えば、3C分析では顧客・競合・自社が置かれた環境を評価して成功要因を探ります。SWOT分析でも内部環境と外部環境にわけて強み・弱み・機会・脅威を評価し、セールスポイントや対策すべき課題を洗い出します。

他にも、市場からターゲット、自社の立ち位置を明確にしていくSTP分析など、さまざまなフレームワークがあります。

ターゲットおよびペルソナの設定

自社の強みや弱み、顧客のニーズを把握したら、具体的にアプローチすべき顧客像を絞っていきましょう。

ターゲットとは、想定する顧客を年齢や性別・消費傾向などからセグメントした「集団」のことで、BtoBでは「マーケティング対象となる企業や業界、職種」などを設定します。先ほどの市場調査や競合分析、既存の顧客分析をもとに、自社製品やサービスが最も効果的に提供できる市場を見極めます。
BtoBマーケティングにおいて、直接コミュニケーションをとる相手は「担当者」であり、「人」です。業界や企業規模が見えてきたら、さらにアプローチ対象への理解を深めましょう。

ペルソナは「サービスや製品を利用する典型的な顧客像」を指し、BtoBの場合は企業ペルソナと個人ペルソナの2種類を設定します。
実在する個人のように顧客像を作り上げるため、ターゲット内の具体的な購買担当者や意思決定者の詳細なプロフィール(職務内容、役職、課題、ニーズ、購買プロセスなど)を設定していきます。

ペルソナの作り方は、こちらに手順とテンプレートをまとめているので、合わせてご覧ください。

バイヤージャーニーの策定

「バイヤージャーニー(Buyer Journey)」とは、顧客が自社製品・サービスを認知してから成約に至るまでの道のりを指します。

バイヤージャーニーを作成することで、顧客がどのような課題を抱えて情報収集を行い、最終的に成約に至るのか、各過程ごとの顧客のニーズや行動を理解できるため、タッチポイントやコンテンツの最適化につなげることができます。

例えば、課題を自覚しているものの解決手段に気づいていない顧客には、オウンドメディアで役立つ情報を提供し、自社のサービスを認知してもらうために、SEOとコンテンツマーケティング施策に注力します。

また、自社Webサイトに導入事例を充実させることで、決定ステージにある顧客に具体的な課題解決のイメージを持ってもらうようにするなど、戦略的に施策を展開することができます。
さらに、具体的な顧客の思考や状態を考えていくことで、コンテンツの選定や事例の打ち出し方をより磨き上げることができるでしょう。BtoBマーケティングにおいて、バイヤージャーニーは、戦略と施策の質を高める重要な役割を持ちます。

KGI・KPIの設定

KGI(Key Goal Indicator)とKPI(Key Performance Indicator)は、目標達成のための重要な指標です。KGIは最終的な目標を示し、例えば売上増加や新規顧客獲得数などの数値を定めます。一方、KPIはKGIを達成するための具体的な活動や進捗を測る指標で、例えばWebサイト訪問数やリード数、商談率などがあります。

BtoBマーケティングの最終的な目標は、自社の売上や事業成長です。施策単体の目標を追いかけるのではなく、会社とマーケティング部門の目標数値がつながるように、しっかりと計画しましょう。
経営層や管理職だけでなく、担当者もKGIとKPIのツリー構造を理解してモニタリングすることで、マーケティング活動をより素早く最適化することができます。

2.見込み客の獲得(リードジェネレーション)

見込み客の獲得(リードジェネレーション)とは、自社の商品やサービスに興味を持ってくれる潜在客を特定しながら、関係性を構築していくマーケティング活動です。

効率よく見込み客を獲得するには、ターゲットやペルソナを明確化し、適切なチャネルを選んで施策をおこないます。作成したバイヤージャーニーにあわせて、自社にあった施策を取り入れましょう。それぞれ代表的な施策をご紹介します。

リード獲得施例

◾オフラインでのリード獲得施策

・展示会
展示会は自社のブランドや製品・サービスを広くアピールできる場です。展示会のテーマについて情報収集したい担当者や責任者が訪れるため、ニーズがマッチした見込み客を見つけやすく、多くのリードを集めることができます。また、会場内でのブース商談など、直接コミュニケーションを取れる点も魅力です。

関連記事:成果の出ない展示会を見直そう!効果計測方法と成功ポイントとは

・テレマーケティング
顧客からお問い合わせを受けて対応するSDRと、新規顧客との接点を作り出すためのアポ取りなど積極的にアプローチをするBDRの領域があります。リード獲得においては見込み客のターゲットリストを作成し、こちらから電話をかけるBDR領域のアウトバウンドコールが主流です。

◾オンラインでのリード獲得施策

・広告(リスティング広告・ソーシャル広告)
リスティング広告は、検索エンジンでのユーザーの検索行動に連動して表示される広告で、見込み客が情報を探している際に接触できるのが特徴です。
ソーシャル広告は、ターゲットとなるユーザーの年齢や関心などの情報を活用して、SNS上のマッチ度が高いユーザーに広告を表示することができます。まだ製品認知や課題を自覚していない潜在層にも、お役立ち情報などから興味を引くことが可能です。

・ウェビナー
インターネットを通じて開催されるオンラインセミナーをさします。見込み客とオンラインで信頼関係の構築ができることや、開催場所にとらわれず全国からリード獲得を狙えるメリットがあります。また、動画のアーカイブ配信や複数社との共同開催によって、リード獲得のチャンスの拡大や自社の認知度向上も狙うことができます。

・コンテンツマーケティング
企業が見込み客に対して、ブログ記事や動画などの有益なコンテンツを配信することで、製品・サービスの認知や、信頼関係の構築を行える手法です。
SEO(検索エンジン最適化)と組み合わせることで、課題解決を自覚・検討する前の潜在客にもアプローチでき、より多くの見込み客に必要な情報を提供できます。
これにより、リードの量を拡大し、より効果的なマーケティングが可能となります。

BtoBマーケティングのリード獲得手法は多岐に渡ります。
施策の選び方や、他の手法もご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。

3.見込み客の育成(リードナーチャリング)

獲得した全リードのうち、実際の売上に至るリードはわずか2割と言われています。獲得後にフォローをおろそかにすると、競合への導入が決まってしまうことも少なくありません。

そこで、見込み客の購買意欲を高めるリード育成が欠かせません。顧客に必要なタイミングで情報を提供することが大切で、施策を組み合わせて使うことも有効です。
とはいえ、闇雲にコンテンツを提供するのでは意味がありません。アプローチする担当者の状態や抱えている課題を考え、次のステップに引き上げるために必要な情報は何かを見極めながらアプローチをしましょう。

リード育成施策例

・メール配信
見込み客と定期的にコミュニケーションを取り、信頼関係を構築したり、自社の製品やサービスについて理解を深めてもらうための施策です。定期的なメールマガジンのほかに、資料ダウンロード後に、関連する有益な資料を配信して顧客側の理解を促すことができるステップメールがあります。

・自社セミナー/ウェビナー
潜在客に対して、自社製品・サービスに関する知識やノウハウを提供するための施策です。参加者とコミュニケーションが取れるため、顧客の質問やニーズを直接把握することもできます。

・オウンドメディア
コーポレートサイトとは別に、自社で運営するWebサイトやブログのことです。自社製品の紹介だけでなく、潜在客が抱えやすい悩みの解決策やトレンド・ナレッジ情報を提供することで、潜在客が自然とサイトに辿り着き、自社との信頼関係を築くことができます。

詳しいポイントや他の施策については、こちらをご覧ください。

4.見込み客の抽出(リードクオリフィケーション)

リードクオリフィケーションとは、見込み客が商談に進む準備ができているかを判断するプロセスです。マーケティングから営業担当へ、質の良い見込み客を引き渡すことができれば、営業の効率化が格段にあがります。

見極めるポイントとしては、企業担当者が抱えている課題が明確か、自社製品・サービスが課題解決に有効と感じているかをチェックします。実際に自社のWebサイトを訪れて料金プランや導入事例などを閲覧していれば、検討が高まっているシグナルといえるでしょう。

リードを商談へ発展させる方法

定期的にフォローアップを行い、興味が高まってきた見込み客を商談に発展させるためには、商談のきっかけ提供が大切です。見込み客の検討段階にあわせて、次のような手法があります。

5.商談・成約

BtoBでは、情報収集段階で現場担当者が参加し、導入候補が絞られた後に決裁者同席のもとでプレゼンが行われるなど、複数回の商談を実施します。
営業担当者は商談の質や受注確度を評価するために「BANT情報」というフレームワークを使用して、予算・決裁者・ニーズ・導入時期の4つの要素を確認することで、効率よく商談を進めることができます。

しかし、情報収集している担当者と最終決裁者である経営層の課題感が異なったり、導入の障壁になっているのは社内部門の建て付けが課題など、初めからすべてを話してくれる顧客が少ないのも実情です。顧客のニーズや状況を理解し、信頼関係を構築しながらヒアリングし、最終導入まで伴走していきましょう。

BtoBマーケティングにおける基本の手法

ここでは、BtoBマーケティングにおける基本的な手法について、概要とポイントを解説します。

デマンドジェネレーション

デマンドジェネレーションとは、新規案件創出までの一連のプロセスをさします。前述した「BtoBマーケティングの基本プロセス」がこれにあたり、見込み客を獲得し、課題の自覚や解決策としての自社製品への興味を引き出し、検討が高まったタイミングで営業に引き渡す活動のことです。

アカウントベースドマーケティング(ABM)

アカウントベースドマーケティング(Account Based Marketing)は、大口顧客や既存顧客など特定の企業(アカウント)に対し、営業とマーケティングが連携してマーケティング活動をおこなう手法です。BtoBビジネスが抱える商談の複雑化やマーケティングリソースの効率化、顧客満足度の向上といった課題に有効とされています。
ABMを成功させるにはアカウントデータ分析や関係性のマネジメントが非常に重要となっています。

従来のBtoBマーケティングは、このABMが主流でした。ところが、既存市場の限界などの背景から、自社製品で課題解決ができる見込み客を見つけにいくデマンドジェネレーションも欠かせなくなり、それぞれ取り組まれています。

インバウンドマーケティング

インバウンドマーケティングは、企業が顧客に向けて価値ある情報を提供し、顧客自らが企業の製品やサービスに興味を持ってもらう手法です。
具体的には、ブログやホワイトペーパー、ウェビナーなどのコンテンツで顧客の課題や解決策を提供することで、情報を探している見込み客を自然な形で自社のWebサイトに呼び込み、リードの獲得・育成へとつなげます。

BtoBにおける新規顧客獲得は、これまで対面の飛び込み営業やテレマーケティングなどのアウトバウンドが主流でした。見込み客の情報収集・検討がオンラインシフトしていることを考慮しても、インバウンドマーケティングによる質の高いリードの獲得と営業効率の向上が期待できるといえますし、実際に、インバウンドマーケティングで92.7%の企業が見込み客獲得で効果をえているという結果もあります。

インバウンドマーケティングで獲得した見込み客の増加率

インバウンドマーケティングの効果が出やすい企業

BtoB企業のインバウンドマーケティングで効果が出やすいのは、ソリューション型サービスの中小企業やベンチャー企業、大手企業の新規事業です。
事業や会社の認知度が低い、もしくはニッチである場合、アウトバウンド型の施策では効率は悪く、見込み客獲得から顧客化まで非常に時間がかかるでしょう。

関連記事:インバウンドマーケティングとは

インサイドセールス

インサイドセールスは、電話やメールなどで見込み客にコミュニケーションをとり、商談を創出する部門です。従来の営業活動のように対面で顧客を訪問するのとは異なり、効率的に多くのリードと接触することができます。

インサイドセールスの主な役割は、リードの育成と選別です。見込み客と定期的に接点をもち、現在の課題をヒアリングしたり、自社製品・サービスに関する情報提供をおこなうことで、見込み客を次の検討段階へと引き上げ、商談を創出します。

このプロセスにより、提案の機会を逃さず営業効率が大幅に改善されるだけでなく、見込み客が抱える潜在的な課題に気づかせることも可能です。結果として、マーケティング部門が獲得したリードの質を高めることができます。

1to1マーケティングと顧客のデータ活用

1to1マーケティングとは、それぞれの顧客のニーズや課題を深く理解し、興味や関心に合わせたパーソナライズされた提案やコミュニケーションをおこなう手法です。

デジタルツールやデータ分析の活用により、顧客の行動や検討度を詳細に把握し、最適なタイミングで最適なメッセージを届けることが可能となります。これにより、顧客を次の検討段階に引き上げる機会を逃しません。

特にBtoBマーケティングにおいては、顧客ニーズの把握と信頼関係の構築が重要です。しかし、細やかなフォローには多くのリソースが必要です。ここで、デジタルマーケティングツールを活用することで、顧客フォローに必要な人材、時間、コスト、情報といったリソースを効率的に活用することができます。

次に、よく活用されているデジタルマーケティングツールをご紹介します。

デジタルマーケティングツールの活用

顧客関係管理ツール(CRM)

CRMは「カスタマーリレーションシップ マネジメント(Customer Relationship Management)」の略語です。

CRMツールは顧客との信頼関係を構築・維持し、売上向上や業務の効率化を実現するために用いられます。主な機能としては顧客情報の管理があり、さらに顧客分析にも利用できるため重宝するツールです。

リードを獲得した際には、部門ごとや営業担当者ごとに顧客情報が散在することを防ぐために、CRMツールを活用して部門横断的な情報共有の基盤を構築することが重要です。

マーケティングオートメーション(MA)

「マーケティングオートメーション(Marketing Automation)」とは、マーケティング活動の自動化・効率化を目的としたツールです。
顧客情報の一元管理、メール配信の自動化、Webサイトの分析、リード育成、顧客分析など、さまざまな機能を備えており、売上向上の効果も期待できます。

マーケティングオートメーションによって獲得したリード情報を営業に連携することで、質の高いリードを見極められ、営業の効率を大幅に向上させることが可能です。

関連記事:マーケティングオートメーションとは

コンテンツ・マネジメント・システム(CMS)

「コンテンツ・マネジメント・システム(Contents Management System)」は、Webサイトのコンテンツを効率的に作成・管理・更新するためのツールです。専門知識がなくても直感的に操作できるため、様々な企業や組織で幅広く導入されています。

CMSは、コンテンツ作成・編集に加え、メディア管理やユーザー管理などの機能があり、Webサイト運営の効率化や情報発信の強化が期待できます。自社のコーポレートサイトやブログ管理など、Webサイトに広く活用できるツールです。