第01回:アクセスログは訪問者の声

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年6月10日

中部経済新聞

新聞記事

「平均何人、どのような方がこのコーナーを読んでいるのですか?」。

この連載を引き受けるにあたり、少々間抜けな質問をしてしまいました。担当編集者に苦笑いされた通り、紙面のどの領域を、どのような人が読んでいるかをつかむなど無理難題です。

しかしWebサイトでは「アクセスログ」という基礎データを活用することで、閲覧者の行動を読み解くことが可能。「訪問者の足跡」ともいえるアクセスログから行動パターンを分析するアクセス解析は、より良い訪問者サービスのためのマーケティング活動の基本となっています。

アクセスログの解析ツールは、無料・有料の物で数多く存在し、その利用方法も簡単。「Google」が無料解析ツールの提供を始めたこともあって、現在ではほぼすべての企業サイトが何らかの解析手段を持っているといって良い状況です。しかしながら、これらのデータが有効に利用されているケースは非常に少ないのが現実。その理由は2つ考えられます。

(1)「このデータから訪問者の行動をどのように推測し、より良い結果に結び付けるのか?」
データを読み解く側に「マーケティング」や「システム」、「ネット広告」といった異なる領域の知見が必要とされるため。

(2)「いったいどの数値を上げれば(下げれば)良いのか?」
そもそもWebサイト自体の目的や評価指標が設定されておらず、改善の方向が決められないため。

よくある「アクセス数を増やしたい」という要望にも注意が必要です。なんでも増えれば良いというわけではありあせん。

例えばユーザーが困った時に訪れるQ&Aコーナーなど、複雑な内容を分かりやすく誘導すること、つまりサイト内の導線を整理してあげることで、来訪者のページビューを格段に”下げる”ことが目標になる場合もあります。

アクセスログ解析の目的は「閲覧者の声を聞き、Webサイトの効果を上げること」です。冒頭の私の質問は言い換えれば「このコーナーを読んでくれる読者層を把握することで求められる内容を提供し、価値と満足度を最大限高めるにはどうすれば良いだろうか?」ということです。

さて、御社のアクセスログは何を語っているでしょう。専門家と一緒に、自社Webサイトの訪問者が何を考え、どのような行動を取っているのか、そのシナリオをイメージしてみてはいかがでしょうか。

(2009/06/10 中部経済新聞掲載)

目次

カテゴリ:ネット活用実践講座 – 2009年6月9日

第01回:アクセスログは訪問者の声

第02回:ネットは企業の必修課目

第03回:SEOは企画段階から

第04回:フリーダイヤルは誰が鳴らす?

第05回:クラウド化によるビジネススタイル変化

第06回:「WiMAX」サービス1

第07回:「WiMAX」サービス2

第08回:アドネットワーク

第09回:ターゲティング技術

第10回:幸せな偶然をつくる技術

第11回:リターゲティング広告

第12回:オバマ大統領誕生支えた戦略

第13回:「AIDMA」から「AISAS」へ

第14回:Webサイトは企業を映す鏡

第15回:Web戦略が課題にできないワケ

第16回:マーケティングと営業の連携

第17回:動員・継続のための「仕掛け」

第18回:ソーシャルな欲求引き出し

第19回:Web担当者に必要な資質

第20回:サイト刷新予算は計画的に

第21回:ネットで楽しく走る方法

第22回:ネットだからできるお手軽「別注」

第23回:SNSをマーケティングに

第24回:ネット展示会の可能性

第25回:Webサイトは新規顧客の窓口

第26回:入力フォームのわな

第27回:悪い評価は伝わらない

第28回:Webリテラシー

第29回:メッセンジャーを活用

第30回:09年のネットトレンドを振り返る

第31回:無料モデルのインパクト

第32回:PDCAが回らないわけ

第33回:つぶやく人々、つぶやく企業

第34回:ベトナムIT企業オフショア開発のこれから

第35回:読書が変わる?iPadと電子書籍

第36回:AR、拡張する現実

第37回:Webが朝礼を有意義にする

第38回:コミュニケーションは変化する

第39回:スルーする技術

第40回:ネット情報取得の変遷(最終回)

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